二章:事前準備のすり合わせを。8
恐る恐る、思い至ってしまった事をミルキィは口にする。
「冒険者ギルドルビナリオ支部、機能不全というか、仕事放棄してない…?かなり不味いのでは…?」
「おかげさまでこちらが動かなければならなくなったが、周囲の冒険者ギルド支部が支援するにも限度があるんじゃ。
冒険者ギルドノルキスタ支部としては、うちにもダンジョンが出来たから、その対応に人手がとられるからの。冒険者ギルドルビナリオ支部の後始末ばかりしとられんのじゃよ。
そもそも、ギルドマスターや副ギルドマスターが報告をしとらんのは罰則対象になるの。冒険者が知っとるのに、ギルドマスターや副ギルドマスターが知らんというのは問題しかないの。更に言うのならば、冒険者ギルド本部が本格的に調査の為に動き出すのぅ。
…情報、期待しておりますからの?」
…おこである。トラおじじも冒険者ギルド本部もおこである。笑顔だけど目が笑ってないタイプのおこである。きっと、ドレグもおこなのであろう。
なんなら、トラおじじから若干怒りの圧が漏れ出てるもんな!?
あ、それで密偵の許可がなんだかんだと降りたのか。容赦なくやれ、という事なのだろうか。根こそぎ情報をこそいでこねば。…やばい情報を掘り起こしたらどうしようかしらね。
いやまぁ、魔法使いに下手に手を出したら、割と容赦ない制裁が後見の冒険者ギルドからやってくるのだが。冒険者ギルドが一枚噛んだ状態で魔法使いを派遣する、というのならば、そういうことだろう。…不良な身内だから容赦なくぶったぎるのかしら。
「…我々がおりましたら、軽くスタンピートも平らげてしまうのですが。」
「それをしましたら、色々と計画も破綻しますので、やめましょう?」
ウィルフェアが少し悩ましい表情を浮かべてぼつりと呟いた事に、速攻でアヤナがツッコミを入れた。
その間も、ずももももも、と、トラおじじから若干の怒りの圧が放たれている。
「わかった、ちょっと話を変えよう。
冒険者ギルドルビナリオ支部をいかに、魔法使いに手を出させるかを考えよう!」
「ミルキィ、あんまり話題変わってないのだ。」
「ちょっと前を向いた話をしようって事なんだけどね?」
いやまぁ、容赦なくまだ会ったことのない人をぶったぎろうとしている話を、前向きな話と言ってもいいものか。まぁ、少なくとも、トラおじじやドレグにとっては前向きな話になるんじゃないだろうか。
ただでさえ、ダンジョンがエルグラン大森林郡に発生したからその対処もしないといけないのに、別方向から更に仕事を増やされて、冒険者ギルド本部に至っては、権力者から睨まれる事になったという。
そりゃあね、怒りの圧をずももも、と出す程度にはストレスが溜まる。
うーん。やっぱり考えると考えるだけ、結論は一つにまとまっていくのだが。
「…やっぱりさ、小屋建てるべきだわ。」
「…その心は?」
「先手打ってスタンピートの小集団に攻撃を加えるのが対スタンピートにおいて被害を抑えるのに有用なのか否かを検証する、ってお題目で、ルビナリオ入りして。検証のために、っていうお題目で、他の支部から来た冒険者の人にも協力して貰えるとありがたいかもしれない。
で、その拠点として、小屋建てよう。
食堂になるところと、治療できるところと、休憩所は必須かな。利用するならちょっと利用料をもらう事になるけど、これを徴収するために冒険者ギルドルビナリオ支部の人がでてこないかな、って考えてる。で、利用料を取る事を、それとなーく冒険者ギルドルビナリオ支部に情報を流す必要があるんだけど。
それで徴収しにくるなら、魔法使いの財産に手を出してる事になるから、冒険者ギルド本部が手を出せる範疇になるかな。」
にっこりにこにこと、ミルキィが話し続ける。
だって、普通にダンジョン潜りたかったんだよ!!!
読了ありがとうございます!
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