二章:事前準備のすり合わせを。5
はぁ、と、一つ、ドレグのため息が冒険者ギルドノルキスタ支部のギルドマスター室に落ちる。
「魔道具に関しても詳しいんですね。」
「ちょっと教えてもらったり、見学したりしてきたからね。」
にっこり、と綺麗に微笑んで。キュウヤが答える。その奥で、〈森の輪〉が先日の付与剣修復の時のことを思い出している表情を浮かべていた。トゥエラは改善点見つけれそうだなぁ、ぐらいには思っていそうである。
ま、魔道具に関するあれこれはヘルロットに色々教えてもらったからねぇ。
必要とあらば、文言から頑張って特定する所存。まぁ、その文言はこの領域の人に教えるわけにはいかないのだが。魔剣の修復と同じである。ましてや、文言特定の方が難易度的には、はるかに楽であるはず。通信系の魔道具の傍聴対策など、試行錯誤を重ねて頑張って特定して欲しい。
にこにこと、微笑みを崩さないキュウヤを見て。若干圧が放たれている気配を感じたのか、ドレグが魔道具に関する話題を引っ込めた。…可能性的に、魔道具の核の文言改良依頼出ててもおかしくなかっただろう。受けないけどね。
引き攣った微笑みを浮かべながら、トゥエラがドレグに声をかける。
「結論、出ました?」
「出る前に、驚く事が出てきてそれどころではなかったりしたんですよ…。
ですが、大体の方針は決まりました。良いですよね、ギルドマスター。」
「よいぞ。情報秘匿の観点から言っても、この手の方が安牌である可能性があるの。」
ドレグの確認に、うむ、とトラおじじが一つ頷いた。
「皆様方に依頼というか、相談じゃな。
オートラナを、わしら冒険者ギルドノルキスタ支部にお一方、〈森の輪〉にお一方、対ルビナリオ対策時限定でお迎えすることは可能ですかの?」
「それは連絡要員も兼ねて、っていう認識で大丈夫かな。」
オートラナを冒険者ギルドノルキスタ支部へ派遣する。オートラナが情報漏洩の危険性ほぼ皆無の独自情報網を構築している、という情報を提示した段階で、そういう声掛けはあるだろうなぁ、という想定は旅人達全員でしていた。
通信系の魔道具を使うよりも、情報漏洩の心配も盗難の心配もないし。オートラナの個人判断でリアルタイムでの情報共有をしてくれるし。戦闘力もあるし、文官としてもお仕事できるし、家事もわりかしできる。旅人達的にも、〈森の輪〉や冒険者ギルドノルキスタ支部が掴んだ情報は気になるので、割とオートラナの派遣に関しては有用な一手だという判断である。
なので、派遣に関しては旅人達的には否はない。ないけども。
交渉ならこっちの希望もしっかりと出さねば。
「そうじゃな。オートラナの情報網を使って連絡担当をしてもらいつつ、〈森の輪〉と一緒に行動してもらうオートラナには冒険者活動を。冒険者ギルドノルキスタ支部で働いてもらうオートラナには、ギルドマスター室付きの秘書として書類整理もしてもらう事になるかとは思っておる。」
「お聞きしたいのですが、身分証に関してはいかがされますか?」
「冒険者ギルドノルキスタ支部が後見となり、身分証に関してはどうにかする。冒険者活動してもらうオートラナには冒険者証も出せるしの。」
冒険者証が出るなら、保証要らずで街の出入りもどうにかなるね。軽い審査はあるだろうけども。
でもそれならば。
「密偵担当や、今回の冒険者ギルドルビナリオ支部対策や、スタンピートの対策の為の人員分も身分証欲しいかも…。」
「それはそう。街に懸念なく自由に出入りできるって大事だよね。」
「後ね、スタンピート対策用に小屋建てたいなぁ。」
というかね、そもそも冒険者ギルドはどんな感じでスタンピート対策してるんだろうか。
読了ありがとうございます!
また次話お会いできると嬉しいですっ。




