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二章:微精霊入りの人形は夢も見る。1

ミルキィがぽつりと呟いた言葉が、冒険者ギルドノルキスタ支部のギルドマスター実にぽとりと落ちた。

トラおじじ、ドレグ、〈森の輪〉が何を言っているんだ、という表情でミルキィの方を見る。反対に、旅人達はその手があったな、という表情でミルキィの方を向いた。


「密偵とは…どうやって…?」


恐る恐る、ドレグがミルキィに問う。

まぁ、密偵できる知り合いなんていないと思われてても、こっちの領域だと間違ってないのだし。そもそもだいたい〈森の輪〉と一緒に過ごしていたのだし、知らない人と知り合う隙間があるかと言われたら、そんな隙間はない。

では、どこから密偵役を連れてくるのか。答えは単純明快。


「えーと、元々の世界から?」

「あの…どうやって…?」


元々いた場所から連れてくれば問題なし。

何言ってるんだ、と言いたそうな表情を〈森の輪〉に向けられたが、トラおじじの視線が何だか鋭くなった気がする。

何か言われる前に、説明してしまおう。最近冒険者ギルドで色々勉強もしてるし、その知識も使おう。


「えーと、〈泥人形〉系統とか、〈鉄律動人型〉系統の魔獣…は知っているよね。」

「ええ、もちろん。」


ミルキィの説明に、ドレグが一つ頷く。

魔獣をよく知っているドレグだから、この辺りにいないような魔獣もしっかり知っている想定ではあった。トラおじじはギルドマスターだしそれなりに魔獣についても知っているだろうし、〈森の輪〉はトゥエラとエデュライナがある程度魔獣について知っていそうである。この二人は元々ノルキスタの出身ではないので、この辺りに出現しない魔獣も知っているどころか、いっその事、討伐したことすらありそうである。

いや、トゥエラはその頃巻き込まれ苦労人してて、まだ疲労困憊の頃か。

さて、〈人形〉系統と〈律動人型〉系統の魔獣であるが。前者はゴーレム型の魔獣で、後者は機械人形…アンドロイドとかオートマタ系と言った方が近いだろうか。では、この両者の共通点は何か、と言うと。有機物ではない人型の何かが、動いているという点である。


「わたしの知る密偵は、人ではなく、さっきあげた魔獣によく似た感じの存在かな。

厳密に言うと、わたし達の元々いた世界にいる、人によく似た姿の、自ら動くことができる人形、かな?」


ミルキィが説明すると。何言っているんだ、と言う表情を浮かべている人もいれば。その手があったか、という表情を浮かべている人もいる。

通称:オートラナ、と旅人達が呼んでいるその存在は、旅人達が元々いた世界で微精霊から育った存在が魂として入った、進化型の人形である。


「だがしかし、姿が見えないあたり、こちらには来ていないのだろう?」

「…〈召喚〉のスキルがあるよね?」


ドレグの指摘も想定内である。確かに、旅人達がこの領域に来た時は11人であった。

では、どうやって元いた世界にいる存在をこの領域に呼ぶのか。それをどうにこうにかできる手段はそれなりに存在するのだ。要マナではあるが。

その手段の一つが、〈召喚〉スキルである。エルグラン大森林群でキュウヤが動物保護したスキルである。

この領域では、一般的に知られている動物や力ある動物である幻獣と絆を結んだり、魔獣に対して力を示し屈服させ縁を結ばせることで、〈召喚〉スキルの契約が結ばれる。そうして、〈召喚〉スキルで呼び出せるようになるのだ。なお、〈召喚〉スキルで契約した相手は、〈召喚〉スキル内に準備されている亜空間に移り住む事も可能である。当然、そのままの場所で暮らし続けることも可能である。

ちなみに、契約が結ばれた魔獣は浄化され、それまでの魔獣の特性は所有しつつ、ヒトへの攻撃性が薄れる。そうなった魔獣は召喚獣と呼ばれるようになり、冒険者ギルドへ届け出が必須になり、また、召喚獣の証となるアクセサリーの着用が義務付けられている。動物は不要、幻獣は申し出は自由であるが、申し出ていない幻獣関連のトラブルがあった際には冒険者ギルドは問題解決に協力しない、と但し書きがされていた。

なお、これらの〈召喚〉スキルにまつわる情報は、初心者講義の際にもらった冊子の中に載っていた。それ以外にも重要そうな情報が色々あったから、読んどくべきだねぇ。


「…いるんですか?」

「〈召喚〉可能だね。」


ドレグの言葉に、〈召喚〉スキル持ちのキュウヤがけろりと答える。

読了ありがとうございます!

また次話お会いできると嬉しいですっ。

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