二章:冒険者ギルドノルキスタ支部のギルマスの言う事にゃ。4
そもそも、スタンピートとはなんぞや。元々の世界の用法と間違っていないかの確認で、ミルキィはスタンピートの説明を求めた。言葉や背景を知らないと、齟齬が生まれかねないからね。
トゥエラ曰く。スタンピートとは、魔獣が大挙してまるで波のように襲いかかってくる現象のことを示すのだそう。原因は主に、魔獣を狩っていない事による、魔獣の増加。
例えば、エルグラン大森林群であれば、ノルキスタから行きやすいところだけで魔獣を狩っていると。人の手が入りにくいところで魔獣が増加し、最終的にスタンピートとなりうるとの事。当然、ダンジョンでも同じことが言える。
そも、ダンジョンとは何か。
階層で分かれた環境が形成されている、魔獣が特に発生しやすい地帯であり、時に希少な素材を採取することができ、時に宝箱から希少な道具を入手する事のできる、人知の及ばない領域である。宝箱から入手できる魔剣とかこの領域だと現状の技術では再現不可能だし、そもそも人種には1級の魔石までしか付与の核として加工できないので、それ以上のものだと割と人種の知らない領域である。なお、噂によれば、ダンジョンマスターがいるとかいないとか。
なお、ダンジョンに入る度に地形が変わる、なんて事はなく、基本的に地形固定、大人数でダンジョンに入る事も可能である。不思議な事もないし、パーティーごとにチャンネルが違うなんて事はない。
さて、話題を戻すのだが。
ダンジョンはぽこぽこと魔獣が発生する領域である。だからこそ、魔獣を狩るポイントとして重宝されるのだが。冒険者が少なくなると、狩られる魔獣もまた少なくなり、結果、スタンピートに繋がりかねない。
故に、魔獣の発生しやすい領域やダンジョンを抱えている冒険者ギルド支部は、冒険者を志す人を支援したり、他の地域から冒険者を集めれるように創意工夫するのが普通じゃぞ、とトラおじじがぽつりと呟いた。
つまり、今冒険者ギルドルビナリオ支部がやっている事はセオリーから思いっきり逆走していると。で、更にスタンピートの予兆が出るのが早すぎるというトラおじじの意見もあると。
うーん、これはやっぱり。
「…やっぱり、何かしらの思惑も一緒に絡んでる気がする。」
「そうじゃないと、もう説明つかないよな。どう考えても冒険者ギルドルビナリオ支部のやってる事って公益性がひとっっっっつもないんだが。
ただただ、自分の短期的な利益しか見てないよな?」
ミルキィの結論に、呆れた顔のロヴェル・スルガが容赦ない言葉を連ねていく。
将来性が何も無いっていうのは、まぁ。
ちょっとまずい可能性に思い至ったんだけどさ、と、スノゥ・ホワイトがおそるおそる推論を口にする。
「これさ、最終的に街を統治するお貴族様出てくる可能性あるよね?
だって、冒険者ギルドルビナリオ支部のせいで冒険者が流出して、依頼をしてくれる人が少なくなって生活が回らない部分がある。更にスタンピートの予兆が確認されたのだって、そういう部分があるじゃん…?」
「こちらの一件は、既に領主であるディノーテ伯爵様にはうちの実家経由で全て報告してあるので、ある程度把握されており、既に怒ってらっしゃいますね。」
スノゥの懸念に、あっさりとドレグが答える。おこなんじゃん!?
「今回の一件については、なぜこのような人物をギルドマスターや副ギルドマスターにしたのか、という事はおっしゃられており、冒険者ギルド本部に手紙を出そうか検討中と聞いております。」
「それはね、そうなる。」
「そもそも、任命するにあたって適性検査を行っているんですよ。
それなのに、適性検査を合格してから任命したにも関わらず現状に至っている。それが、ルビナリオ周囲の支部のギルドマスター、及び副ギルドマスター全員疑問なんです。」
果たして猫かぶっていたのか、何かしらの勢力からの接触があったのか。
よく考えたら、就任してから一年ぐらいあったのに、ここ最近から軽視し始めた、というのもなにかしら引っかかる点ではある。
うーん、情報が足りない。こうなると。
「…密偵担当にお仕事してもらうべきでは?」
自分達でも、情報収集に乗り出すタイミングかもしれない。人員増やすか。
読了ありがとうございます!
また次話お会いできると嬉しいですっ。




