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アンブラインドワールド  作者: だかずお
68/84

〜 禁断の賭け 〜


その者は、やはり凄まじかった

名をルシ・サタン


闇の主と言う得体の知れない存在は、肉体が滅びたにも関わらず、その存在のエネルギーは死する事すらなく、我こそが全宇宙そのものだと言わんばかり、そこに未来永劫当たり前に在る様に全宇宙隅々から感じられていた

消滅させる事こそ不可能なこの無敵の存在を前にしても、ルシ・サタンに一瞬たりとも動じた様子は無かった


ルシ・サタンの心臓の鼓動は、僅かな動揺、0.0000001ミリすらの変化すら無かった

己が負ける事など、想像したことすらも無く、出来る訳も無かった

自らがこの宇宙に存在し、何十億年が経っただろう?

負けた事など一度も無かった。そう、生まれた瞬間から己は王として君臨していたのだ

王として存在する事を、宇宙が促し、許すかの如く自然に、王として君臨したのだ

その王の前に突如現れた闇の主?

笑わせる

まるで、全ての存在の頂点に立っている様な、呼ばれ名

笑わせる

このルシ・サタンを差し置いて、この宇宙の頂点など、滑稽


ルシ・サタンの肉体は煙の様な気体となっている、姿、形、大きさなど自由自在に変えられる

現在、闇の主のサイズに合わせ、一つの惑星サイズくらいの大きさとなっていた

が、闇の主の肉体は現在既に滅び、目の前には見えない

しかし、奴は確かに存在している、先程以上にありありと、何事も無かったかの様に平然と、目に見えぬとて、宇宙中、至る所に奴の意識が顕在してるかの様に

それは、まるで闇の主自身が、この宇宙そのものと、一体化してるかの様だった


そんな敵と、状況を前にしても、何一つ揺るがぬサタン

こいつもまた、遥か恐ろしい境地にいる存在である事は、間違いなかった


闇の主が、ルシ・サタンと言う本物の怪物に、産声をあげて早々喧嘩を売られると言う現実を前に、現在感じていた事、それは


快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快


存在の悦に浸りきっていた


我が主


我だけが主


この目に映る他は?


ようやく 目の前に自分とは違う、分離された存在、他者が映る


目の前に立っていたのルシ・サタン


惑星ペドスドラコに舞台は戻る


ヒュオオオオオーーッ


「光堂、感じるかな?このとてつもない程の霊力、ルシ・サタンが戦っている、我々がひっくり返っても勝てない、この絶大なる力」クラーケンはゆっくりと光堂に向かって歩き始める


「宇宙は余りにも不平等だと思わないかね」


クラーケンの鋭い拳を光堂は躱す


「なるほど、あれから更に、相当強くなっているようだな、では、いきなり全力で行くとしよう、こちらも時間が無いのでね」


「オマエ達は面白いな」光堂が突然口にする


「?」


「オマエ達は、闇の主に加担するかの様に行動を取るが、闇の主がオマエ達の面倒でも見てくれるとでも思っているのか?奴が目覚めた以上、他の存在は奴にとって」


「アッハッハッハ 笑わせる、笑わせるな光堂」


「我々が闇の主に加担するのは、我々のボスにでもなって、この宇宙の支配を手伝ってもらう為だと?奴にそんな意思はない」


「主は主なのだ、闇の主、主に支配しようなんて感覚は無い、何故なら存在した時点で、この宇宙を既に支配しているからだ」


「我々の望みは、この宇宙に存在する生命達を絶望に落としたい、ただそれだけなのだよ」


「ふっ、笑わせてくれるなクラーケン、オマエ達とて、

例外じゃないんだぜ、闇の主の奴隷になるって事ではオマエ達も同じ」


「言っただろう?全員同じ絶望に落ちる、不平等さが無くなるという点では、今迄よりも、ましな平等な世になるのではないかな」


「お前自身が既に絶望の中にいる、だから他の者も、と言う事か…考え方の相違だな、別に否定するつもりはないが、だが俺の意思とは異なる」

光堂の拳に光が集中し始める


「浄化能力か」


クラーケンの視界から光堂が消えた


予想以上に速いっっ

クラーケンは地面に両手をつける様に勢い良く倒れ込み、光堂の拳を躱す

そして、両手を地面につけると同時に、地面を両手で、押し出し反動で立ち上がり、光堂に頭突きを食らわせる


「予想以上に速いんで驚いたよ」

クラーケンは、ほくそ笑む

クラーケンの頬は切れ、緑の血が流れ落ちていた


場面は変わり、龍神の居る丘の上


ズゴゥオオオオンン


ラルフォート・ナザレとダークナイトは激しい攻防を繰り広げている


「ああ、邪魔だなラルフォート、貴様」


突如ラルフォートは、ダークナイトの顔の真ん前に立つ


「血迷ったか?俺の攻撃が最も得意とする位置に立つとは、死になグライアーファブス」ダークナイトの刀に雷が天から落ち、雷と刀は一つとなる、その刀はラルフォートに向かって振りかざされた。


「ぐぅおおおおっ、強烈」両手で防いだラルフォートの手は真っ黒になっている


「もう、お前は助からない 死にな」


次の瞬間全てを悟った

何故こいつが、俺の目の前に立ったのか?

ああ、そうか

視界を塞ぐ為

そして、何故俺の最高の技を避けずに受け止めたのか?

俺の気をそらす為


「ラルフォート貴様っ」


「さようなら」


ラルフォートは全力で高く飛び上がった。

その時だった、ラルフォートの背後から押し寄せていた光の波動が、ダークナイトの視界にようやく入った。


「ラルフォート貴様これを、龍神めええっ」


ダークナイトは跡形も無く消え去っていった


「相変わらず、凄い威力だ」


ラルフォートが龍神を見る


「何か言いた気だな龍神」


「ラルフォート」

龍神の背後からレインボードラゴンが声にする

「龍神様、あまり近づかない様に、ラルフォート何故我々を助けた?」


「警戒しなくて良い、借りを返しただけだ、これで終わりだ」

ラルフォートが歩き出す


龍神はラルフォートを黙って見つめていた

この時、龍神は見ていた

ラルフォート内で行われている、光と闇の戦いを

光を知り、地獄に落ちた者

光と闇の使者……


「龍神様、ラルフォートとは何者なのです?」


何故ラルフォートは龍神様を助けたのか?

そして、ラルフォート・ナザレとは?


「彼が何を選ぶかで、またこの宇宙の運命も変わるだろう、全ての予測し得る未来は、他のパラレルの世界で起こっている、しかし現在において未来は何一つ決まってはいない」


「今において、未来は選べるからだ、全ての存在は自らにその力があるのを忘れてはいけない」


ゴゴゴゴゴゴゴゴォォーー


「龍神様、計画はどうなさいます?」


「せざるを得なくなるだろう、だが、少し時間が欲しい、会っておきたい者がおる」


レインボードラゴン達は何かを悟る様に頭を下げる。

「探して参ります」


この宇宙の現在の大きな転換ポイント


ルシ・サタンと闇の主の勝敗


どちらが勝つかで、この宇宙は大きく変わる事になる

龍神には見えていた

両方の起こり得る可能性


実はどちらが勝つ事によっても、この宇宙は既に闇に傾く傾向は避けられなかった、サタンの勝った場合、サタンを崇拝する闇のエネルギーを持つ者達が一致団結を始め、新たな闇のエネルギーが増大していく事となる

一方闇の主が勝利し、完全に目覚めた時

この宇宙は即座に永遠に続く可能性のある地獄と化す


そして、一つ 他の可能性があった


それは龍神の導き出した、一つの策


しかし、それは希望への最小限の可能性でありながら、最大限の危険を伴った 最も危ない賭けの一つであった


それは手を出すには余りにも恐ろしくて、危険な、禁断の賭け




〜 アンブラインドワールド 〜




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