〜 闇の主 〜
ウゴオオオオオオオオーーウゴゥオオオオオオオオーー
宇宙全土が不気味な予感に震えていた。
なんだ…… 一体なんなんだ、この恐ろしい程に内側から激しく迫ってくる様な、圧迫感、恐怖心、不安、こんな感情今迄味わった事の無い…なんだ?この言い知れぬ感覚は…
これは、まさか?
闇の主の影響
たった一つの存在
そんな一つの存在が、宇宙にこれ程までに影響を与えてしまうものか?
闇の主が目覚めた後、宇宙は、こんなにも変化してしまうものなのか?
自分の足で地面に立っている気すらしない……
自分が自分で在れない、そんな…
外だけではない、内側からもの支配
とある惑星、それは闇の主から一番近くにあった惑星の一つ
そこに咲いていた植物、木々は一瞬で根から腐っていった。
そこに住む、全ての動物も、言い知れぬ恐怖にかられ、一匹残らず震えだす。
中には自ら死を選ぶ動物達も、あまりの恐怖に気が狂い、突然共食いを始める動物も、しかし、それは序章に過ぎなかった
肉体から抜けた魂は、本来次の転生に進む、しかし、それすらも許されなかった、宇宙中に存在する全ての魂は肉体から出た時点で即、闇の主の元へ吸い込まれていく
まさに神とも呼べる程の所業
その魂達は、これからどうなるか見当もつかず
闇の主からは、死すら、逃げおおせる事は出来ない
永遠に支配され続ける
文字通り永遠
この瞬間から全ての魂は闇の主の奴隷となったのだ
ウゴゥオオオオオオオオッ
この出来事に猛烈な怒りを抱いている者が宇宙に存在した
宇宙の中でも、圧倒的な力と権力を持つ、四者の存在
闇の王の一人
ルシ・サタン
何が 闇の主?
我こそ闇の真の王
あるじ とは、ふざけた名前だ
ルシ・サタンは闇の主に、今まで自ら、決して攻撃を仕掛ける事は無かった
それは何故か?
目覚めてもいない、者を倒した所で、何の楽しみも無かったからだ
しかし、これからは違う
奴が目覚めたのなら、話は別
現在、ルシ・サタンの周りには、多くの宇宙連合の隊長達が取り囲んでいた
「サタン、勝手なまねはさせない、お前が動けば宇宙はとんでもない被害を被る事になる」
ギロリ
何処の馬の骨だ? この宇宙の王に指図するのは?
「今、ペドスドラコで龍神が、何かをしようとしている、もしかしたら闇の主の復活が止まる可能性があるのかも知れないのだぞ」
「お前にとっても好都合のはずだ」
「?」
「復活を止める?好都合?笑わせる、それをさせない為に、幹部をペドスドラコに向けてるのだ」
「奴が目覚めた後、このサタンが直々に殺すからだ、それを邪魔する者は全て敵とみなす」
サタンを囲む、連合の隊長達の背後から、サタンの配下の大幹部達が顔を出す
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオオオーー
現在地球の大気圏の外では、死神率いる闇の軍隊が、地球に張られた結界を破ろうとしていた
「地球にも中々上手に霊力を操れる能力者が居るようですね」死神は笑っていた
この結界を張る者達は、世界中に居る自身の能力に目覚めている霊能力者達、それに北條、それと世界中に居る北條の弟子達や、友の面々も支えていた
地球に住む多くの人間が、こんな事が現実的に行われている事など知らない状況であった
北條の予知能力による、この状況の予測は、見事に現実化してしまった
「北條さんの言った通りになりましたね、結界を張っておいて本当に良かった、しかし、いつまで持つか……敵もかなりの霊力を持ってる者達みたいですね」
「ここは正念場ですよ」
しかしこの異常な事態に、地球に住む、世界中の人々も、何処か違和感を感じていた
「なぁ、なんかさっきから不安が抑えられないんだけど、怖いんだ、なにか、とてつもなく怖くて仕方が無いんだ、俺変なのかな?」
地球にも、闇の主の目覚めの影響は、既に起こっていたのだ
しかし、多くの地球人は自分の知っている現実以外に
何も知らない、闇の主、目に見えない存在、霊的能力、自分達以外の星に、他の生命体が存在する事すら、彼らの意識にはカーテンの様な覆いがあり、全てを隠されていた
この広大な宇宙銀河の中にある惑星の一つの地球に住む者達は、宇宙で現在何が起こっているのかも全く蚊帳の外の状態であった
しかし、これは偶然や地球に住む人々の問題でも無かった、全ては仕組まれ、それを知らせんとさせる者達がこの宇宙には存在した
それは後の物語となるであろう
舞台は再び現在のペドスドラコの惑星に戻る
この時、龍神が動く
上空高くに飛び上がり、何か合図を送ろうとした。
その時だった、龍神目掛けて、四方向から激しい攻撃が放たれる
攻撃を放っていたのは、かつて、地球の日本と呼ばれる場所に存在した、真堂丸と言う人間に倒された怪物達の面々だった
鬼神、女狐、蝿王蛇、烏天狗
「この宇宙を闇の時代にする為に、俺達は現世に集結した、これから闇の時代が始まる、全ての存在に絶望を」
その攻撃を防いだのは二匹のレインボードラゴン
「やれやれ、次から次へと」
その頃、龍神の後方から一匹の黒い龍と、一人の男が迫っていた
黒龍とペダである
「龍神め、殺してやる。全ての龍のトップに立つのはこの黒龍」
「俺は最高の龍使いとして、宇宙全土に名を響かせるのだ」ペダは叫んだ
その二つの影の前に立ちはだかる者達がいた
「やはり、現れたか」
そう、それはリタドラゴンと白龍
「龍神様には手出しはさせぬ」
鋭い目付きで睨む、白龍は戦闘態勢に入る
「ペダ、君とはこんな形で、争いなどしたく無かった」リタが言った
「笑わせる、一番の龍使いがどちらかを決めようじゃないか」ペダは待ちわびていた時の到来に不気味にほくそ笑んだ
ヒュオオオオオーーッ
上空高くに飛び上がった龍神は、何か動きを見せようとしたのだが、一瞬躊躇した、何故か?
それは、この直後に起きる、宇宙の歴史に残るであろう大事件の映像が、脳裏に一瞬浮かんだからだった
そう、龍神はこの瞬間、それに気付き、全ての行動を止めてしまったのだ
「龍神様」レインボードラゴンの一匹が龍神の予想だにしていなかった行動に声を上げる
「気をつけよ、皆のもの とんでもない事が 起こるぞ……」
「なんですと?」
そう、この時点で 唯一の希望は躊躇無く足を止めた
宇宙に存在する四つの王
それは闇の王として呼ばれ、宇宙に君臨した
闇の波動を操るその存在達は、あの宇宙連合でさえも、迂闊に手を出す事は許されない、宇宙の秩序が乱れるからだ
この何千億年と言う永い年月の中、宇宙では、光と闇のバランスは保たれていたのだ
光在るところ、闇在り
闇在るところ、光在る
まさにコインの裏表
その均衡は 保たれていたのだ…………
ほんの数分前までは
その秩序は音も無く、簡単に崩れ去り、バランスは失われる事となる
目に見えぬ、ナニカガ クズレタ
次の瞬間、龍神の見た世界は見事に現実化する事となる
宇宙連合全ての隊員に緊急のテレパシーが流れていた、無論、このペドスドラコには届いてなかったが、しかし、連合の隊員で無くとも、殆どの宇宙存在達が異変に気付いていた
なんだ? この宇宙が震える様な怒りの声は?
ヴオオオオオオオオオオオオヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーグゥオオオオオオオオオオオオオオオーーー
全ての惑星が揺れ動くほどの、霊力
「これ、なんなんウキー」震え上がるペレー
戦っていた全ての存在が、戦闘を止め、宇宙空間を見上げるほどの事態が、起こっていたのだ
なんと、それは 闇の王の一人、ルシ・サタンの雄叫びだった
ルシ・サタンはなんと、惑星のサイズ程ある闇の主の目ん玉の前に立っていた
「お前が闇の主か? 意識を持った途端、目の前に、このルシ・サタンが立っていたのだから、さぞかし驚いたろう、お前はルシ・サタンが直々に消してやろう」
宇宙中の存在の声は、こう響く
まっ、まじかよ、あのサタンが、闇の主と戦おうとしてる
おい、一体、闇の主とサタン、どっちが強いんだ?
ええい、何でもいい この際だから、誰でも良い、闇の主を倒してくれるなら誰でも良い、頼む、勝ってくれ
もし、サタンが勝てば、まだ今まで通りの宇宙で済むんじゃないのか?
こうなりゃ、まだましだ、サタンが勝てば良い
闇の主は、目の前の宇宙を知覚する
目の前に何かが立っている
この瞬間、知った
目の前に、在るものの姿により
我と言う存在
別々の違うものが存在する
我と別
こんな思考が世界を知覚し、始めて生まれた
観測者から、我を持った
そして、事もあろうに初めて知覚する他者と言う存在は、己と言う存在に殺意を向けている
思った
何だこれは?
何だ?
次の瞬間、闇の主は自身が攻撃を受けると言う体験をした
ああ? 何だ?
この感覚は?
心地良く無し
心地良く無し
ズゴオオオオオンッ サタンの猛攻は休む事なく続いていた
宇宙中の存在達は思った、これが闇の王と呼ばれる存在の力、先程意識を持ったばかりの存在に、勝てる筈がないのだ
恐るべきルシ・サタン、恐ろしい程の力、これが闇の王
「思った以上に呆気ない、完全に存在、魂ごと消滅してやろう」
「デス ブレス」
サタンの口から、悍ましい程の異様な、黒い霊気が放たれる。
闇の主は全てをくらい、跡形も残らず、木っ端微塵に消滅した
そう、こうしてルシ・サタンの完全なる勝利で呆気なく戦いは終わったのだ
確かに闇の主は、消滅した、消滅したのだ……
だが
闇の主は、この時点で 既にこの宇宙の主となってしまっていたかの様に、平然と在った
どういう事か?
肉体が滅んだ今も
闇の主は存在していた
肉体無き今も、先程と変わらず ここに 存在しているのを感じる
姿無くして、先程の意識状態のままに我ここに在る
次に思った事はこうだった
我は、この宇宙の主 なのだ
我は絶対的な創造主
赦せぬ
サタンは闇の主の波動が、消えずにそこに在る事に気付く、さすがに闇の王と呼ばれ、宇宙に君臨する程の存在、この程度の事で驚く事は全く無かった
死と言う概念を既に超越して、この時空間にとどまれるならば、霊体、魂、そのものをもっと深くから根絶やしに根絶させてやろう
サタンの両手を紫色の霊気が包む
闇の主は思った
目の前のこいつは、何故
この宇宙の主である 自身に逆らうと言うのだろうか?
唯一の主である、我に何故逆らうのだ?一体何の為
「デス グラブ」サタンの冷たい囁きの後、目の前の宇宙空間にそのエネルギーは充満する
それは闇の主だけに向けられたエネルギー攻撃
ズグギャウアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンン
次の瞬間
この宇宙から、闇の主の存在は消えたのだ
波動、霊気、先程まで、そこにあった闇の主は消えた
「この程度で、闇の主と名乗られていたとは、笑わせる」
圧倒的な勝者はルシ・サタン
強過ぎた、強過ぎたのだ、これが宇宙に存在する四者の王の一人の力
サタンは次の瞬間、ピタリと止まる事になる
勝利の余韻に浸ったのか?
違う
感じたのだ 闇の主の霊気を、再び
闇の主はこう感じる
自身と言う存在の確かな実感
我不滅なり
無限で無敵の永遠たる存在
快感 快 快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快
この様な感覚が生まれた
何をしよう?
感覚は続く
我と他者、我が主なら、他は?
ああ、我の思うがままのただの遊具
何しよう?
宇宙に存在する全存在は、目の前の驚異に震え上がった
〜 アンブラインドワールド 〜




