〜 道来の記憶 〜
「えっ、道来さん本当ですか?ペドスドラコに行かないだなんて」驚き声をあげたのはジョー
「状況が変わった」
太一の鼓動が加速する
「道来さん、俺は未だに信じられない、あの一斎が現在に生きていて、真の兄貴と文太の兄貴の情報が掴めるなんて」
「私もだ太一」
「でも、ペドスドラコに向かうみんなはどうするんです?」心配そうな顔をするジョー
道来はそんなジョーに振り返り言った
「心配するな、光堂がついてる」
道来の光堂を信頼している姿勢に、ジョーは、ハッと自身の姿を客観視する。
「そうでした。出発しますよ、プラネットアー(地球)の日本へ」
そうだ、光堂さんが居る。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオオオーー
その頃
惑星ペドループ
「さあ、我の背中に乗れ」
白龍の大きな背中が皆の目の前にくっきりとその姿を現した
その時だった「お姉ちゃん」
背後から聞こえる、その声の主はポッポ
「ポッポ」何かが引っ掛かっていた様な、バルベインの表情が一変したのにタケルは気付いていた。
「お姉ちゃん、なんでか分からないんだけど、僕お姉ちゃんと一緒に居たいんだ、僕は独りぼっちだし、一生懸命朝から晩まで寝ないで働いて、お金は稼ぐから、僕と一緒に居てくれませんか?」
それは自身の魂の内から感じた、ポッポの真っ直ぐで素直な想いだった。
ポッポの過去世を垣間見ていたタケルは、何故その様な言葉がポッポから出てくるのかが、すぐに分かった。
現在のポッポには、何故会ったばかりのバルベインとこんなにも一緒に居たいのか理由は分かっていないだろう、でもポッポの魂は覚えているのだ、過去バルベインの魂が自身の姉であったことを、何度も共に人生を歩んでいた記憶を。
バルベインは今にも泣きそうなのを堪え、振り返らずに言う
「お姉ちゃんみたいなのと一緒に居たら駄目なんだ」
もしかしたら…また
ポッポを、また同じ様な目に合わせてしまうかも知れない事が、バルベインにはとてつもなく恐ろしかった。
「どうして?」
「その方が色々と安心なんだよ」
「それにお姉ちゃんにはやらなきゃいけない事があるんだ、だから行くよ」
「やだよ、行かないで。どうしてだか分からないけど、今一緒に居なきゃずっと会えなくなる気がする」涙を流しながら引き止めようとするポッポ
躊躇するバルベインは歩き出す
駄目だ、これからの時代、私の持つ霊力が、また様々な悪霊を引き寄せるとも限らない
「私と居たら危険なんだよポッポ、あっちに行きなさい」
タケルはバルベインからこぼれ落ちた涙を見逃さなかった
ポッポ理解しろ、私だって本当は…本当は………
それに次は助けられないかも知れない…
その時だった
「光堂さん、バルベインのクリスタルスカルは今そんなに必要なんすか?」
バルベインの様子を見ていた光堂も、状況を何処か察していたのだろう、光堂が返事する
「いや、問題無い」
するとタケルは続けた
「だとよ、バルベイン。力が必要な時また迎えに来る、スカルは創った本人が内に隠せば誰にも探知出来ないって聞いたぜ、それによ、私と一緒に居たら危険だって?笑わせんな」
「?」
「俺達は友達だぜ、お前になんかあったらすっ飛んで来る、だから心配いらねえよ」
タケル…………
周りの、光堂、マナ、ペレーも微笑んでいた。
その表情はこう語っていた 「当たり前だろ」
ありがとう
ありがとう
私の友達
白龍は出発する、バルベインをペドループに残し。
「お姉ちゃん、なんかあの人達、僕が会った中の誰よりも暖かくて、強い気がした」
「ああ、その通りだポッポ」
「僕、将来あんな人達の様になりたい」
バルベインは微笑んだ。
「さあ、今日はお姉ちゃんの特製料理を作ってあげよう!!」
「やった〜〜」
白龍の背に乗るタケル達
白龍はこんな事を感じていた。
先程の流れを黙って見ていたが、コイツラからは陽の気を感じる。
だが一人、この男からは並々ならぬ陰の気が流れている。
目に映るのは神井の姿
何故これ程までに正反対の波動を持つ者が一緒に居るのだろうな。
まったく、不可思議な奴等だ。
「おい、お前達、我が背に人間を乗せるのはリタドラゴン以外、初めてだ、光栄に思えよ」白龍は笑う。
「リタドラゴン?誰ウキ?」
「惑星ペドスドラコに住む龍使い、龍の未来を担う者、我の主人でもある」
「龍使い?」聞き慣れない言葉が気になるタケル
「龍使い、ペドスドラコは龍と共存する惑星なの、その中でも龍使いって呼ばれる人達が居て、彼等は龍と特に親密な関係を築いてるの」
「ふははは、親密な関係と表現するか、中には力で支配するとんでもない者も居るがな」
「へ〜っ、龍使いね。楽しみだな、はやく行ってみたいぜ」
光堂は考えていた。
白龍、こいつはタケルの正体を何処となく気付いている様な感じがした。
この流れ、果たして吉と出るか凶と出るか………
その時、テレパシーが届く
「みんな聞いてるか?」それは太一の声
「悪りぃんだが、俺達は訳あって地球の日本に向かってる」
「太一さん」
この頃にはタケルも徐々にだが、しっかりとテレパシーを感じられる様になってきていた。(実際会話の際もテレパシーの様なもので言葉の壁を越えコミュニケーションを可能にしているのだが、同じ場所に居ない者同士とのやり取りのテレパシーはタケルはまだ苦手)
「すまない、みんな。私達は日本に向かう、訳はまた合流した時に話す、そちらも気をつけろ」
「日本?俺の生まれた国じゃねーか」
一瞬、タケルはふと、我に返り、今自分が何処に居るのか良く分からなくなった、こないだまで宇宙人など全く信じていなかった自分が、今や色々な惑星の存在と地球外を旅しているのだから。
「了解!!」
タケル達は進む、ペドスドラコへ
宇宙船の中、道来は目を瞑り意識を集中させていた
思い返すのは真堂丸と最期に会った時の事
それは、大帝国との戦で死んだ後に見た世界だった
意識は遡る
己はどうやら死んだ様だな、しかし、こうして死しても尚、意識は存在し、残っているのだな、さて、己はこれからどうなるのか?
そんな事を冷静に感じた瞬間、眩い光が全てを包んでいく
その直後、道来は今まで自分が居た世界を映像を見るかのように眺めていたのだ
「みんな」
その後、大帝国との戦の全てを映像を視るかのように見届けた道来
そして、全てを見届けた後
目の前に立っていたのは真堂丸だった
「真堂丸、どうやらお前もこちら側に戻って来た様だな」
「ああ、驚いた。人は死んだら終わりだと思っていた」
それから二人は、ここの世界に戻って来た仲間達と再会を果たす
「先生、道来殿」
「一之助」
「あっしは、あっしは?」
「どうやら死は終わりではなかったらしいな」
「なんと」
真堂丸と道来は微笑んだ
その表情は一之助に、一刻もはやく自らの家族に会いに行ってこいと物語っていた
頷く一之助は、二人に頭を下げてから消えた
それから、どれくらい経ったのだろう?
まだ文太、太一、しんべえが戻ってくる前の出来事だった
それは起こる
「この場所は凄いな、すべてが揃い、またなんとも平和で調和のとれた感覚、お前も、はやく文太に会いたいんじゃないか?私も太一が戻って来たらこの場所を案内でもしよう」
「ああ、そうだな」
その時だった、その空間全体に響き渡る悲鳴にも似たような叫び
「タスケテ 助けて誰か………………」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオオオオーーー
「真堂丸」
「ああ、行くぞ道来」
突如、平和な空間を斬り裂いたのは、とてつもない悲壮感に満ちた「助けて」と言う悲鳴にも似た叫び声だった。
〜 アンブラインドワールド 〜




