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アンブラインドワールド  作者: だかずお
39/84

〜 バルベインとポッポの魂 〜



ああ、闇の主よ。

私はあなたの為なら死んでも良い、あなたの為なら何億と言う存在を殺し惑星ごと破壊してしんぜよう


男の名はクリストフ

いつからかこの世の全てを司る絶対的な存在に興味を持ち始める

そんな中、自身にとっての唯一無二、絶対の神を発見する事となる

闇の主

あのお方こそ絶対なる神

スフェアの惑星を支える光の柱の下、クリストフは口を大きく広げ笑っている。

自身の信ずる使命感と共に、彼は満足気であった

自身の命を捧げる、大いなる名誉、私は主の為に尽くすのだ

我こそ主に選ばれた者

他とは違う特別な選ばれし者

全ての命を主に捧げる為に……

惑星スフェアには三億程の存在達が住んでいる


「パパ、本当にあれ買ってくれるの?」


「お前の為にパパ休み無しで働いたんだぞ、当たり前だ、買ってあげるよ」


「やったーありがとうパパ大好き」娘の嬉しそうな姿に父は優しく微笑んだ

娘を心底愛する父


「お兄ちゃん待ってよー」


「ほら頑張ってついてこいー、明日試合なんだろ」

自身も明日大事なテストだったのだが、兄は明日の試合に真剣にかける妹を手伝っている

妹はいつも自分を大事にしてくれる、そんな兄が大好きだった。


「お母さんいつまでも長生きしてね」


「ありがとう、あなたも長生きして、これからも一緒に暮らしましょう」

どこにでもある家庭、家族、絆

愛する者達と共に、今を生きる大勢の命があった

それらすべての命が、主の使命を全うせよと思い込んでいる一人の存在により奪われようとしてる事をまだ誰も知らない

時は確実に迫っていた


「速くしろ、のろま共」 先頭を走るのは神井

あのクソガキ許さねぇ、俺を舐め腐りやがって。


「マタスーバ、その柱を爆破しようとしてる奴は今すぐにでも爆破する可能性があるんじゃないのか?」


「奴の名前はクリストフ、奴はこう言っていた。明日の宇宙時間ジャストゼロタイムに爆破すると決まっていると、信仰心の強い奴が、その時刻を守らないとは思えない、ゼロタイムは神聖な時だと奴は前々から言っていた」


「それが、本当ならまだ時間はあるな」


「いや、そうでもない」


「?」


「奴は君達がこの計画を知ったと言う事を知らされた今、柱にまで辿り着けなくなるセキュリティーシステムを発動させる、発動すれば柱までに辿り着くのは容易ではない」


「pipシステムか」


「そうだ」


pipシステム

主に貴重、重要なものを守る、警備する為に使われる宇宙で有名な防御システムテクノロジーの一つ、霊力や科学テクノロジーなども使われており、タイプや年式によって様々な種類が存在している。

無論、新しいものほどより高いテクノロジーが使われ突破する難易度はあがる。


「タイプは何型だ?」


「ティト302型」


「旧式だが時間内に奴等のもとに辿り着くのは難しいな」


「私が十万桁にも及ぶ解除コードを知っている」


「なるほど」光堂が前を見る


「奴等はpipシステムじゃなく、俺らを消すつもりみたいだな、その方が好都合」


前方に立つのは身長8メートルくらいの大きな巨体の男

「クリストフの計画は誰にも止めさせない」


マタスーバは驚く「あいつはこの惑星の無法者の大男のドゴワーフ、クリストフあんな奴まで仲間にしていたのか、どうすれば?奴にかかれば我々の骨なんて木っ端微塵にされてしまう」


ズドゥン


「立ち止まる時間は無いんじゃないのか」光堂がマタスーバに言った

なんと既に巨人は地面に頭をつけて倒れていたのだ


「雑魚が話にならん」神井が右腕に纏っていた霊力を消した

あの少年あんなに強かったのか?この惑星で凶暴で有名な、あのドゴワーフを一瞬で…


「急ぐぞ」

これが連合の力、マタスーバは驚きの余り、息を飲んだ。


その頃、タケル達のもとでは


「タケル、バルベインを追わなくても良いウキか?」


「あいつが、ほっとけって言ったんだろ」タケルは考えていた、バルベインを放っておくべきか、追うべきかを。

そんな時だった、バルベインの眠っていたベッドの下に薄っすらと光輝くものが視界に入る

それはなんとクリスタルスカルであった


「バルベイン、なんで………」


「タケル君、あれはバルベインさんの本心じゃない、きっと何か訳があるのよ」


「マナさん、ペレー、俺、バルベインを探しに行ってくる、あいつは俺の友達だから」


マナ、ペレーは微笑んだ

「分かった、バルベインは任せるウキ」

タケルは勢い良く部屋を飛び出して行った。


「バルベイン、馬鹿野郎。何を隠してやがんだよ俺たちに、俺たちダチだろ………」


バルベインはぼんやりする意識の中、過去の記憶が蘇っていた

何百、いや何万、私は転生した。

ずっと心に楔の様に巻き付く、心残り

何度も救おうとしたが失敗した

それは8000回程前の人生に遡る


「おーい、ペドロ、ご飯作ったよ」


「はーいサマンサ姉ちゃん」


彼女の名前はサマンサマドレアーナ、バルベインの過去世の姿、弟のペドロは現在のポッポの魂であった


「姉ちゃんの料理はいつも美味しいなぁ」


「ペドロがいつも褒めてくれるからね、そりゃもう腕によりをかけちゃうわ」

二人には両親は居ない、幼い頃に両親は戦で亡くなっていた。

だが、二人は全く寂しくなかった、何故なら姉、弟、お互いが居たから満たされ、孤独ではなかった。

二人は幸せな日々を過ごしていたのだ。

そう、その日が来るまでは………


男は産まれながらに他者を妬み、欲深かった。

何故奴らは沢山持っているのに、俺には無い?

何と言う理不尽な世界

男は世界に絶望し怒っていた

他者は己が持たない物を持てているように感じていた。

一日に一度は睡眠をとるかの如く、当たり前の様に、人から金を盗み、殺し、逃亡する生活を送っていた。

男にとって他人は道具、自分に利益を生む者を徹底的に利用し、用が済んだら、自分の都合が悪くなる前に殺す

そんな男がサマンサ達の家の近くにやって来ていた


「あ〜くそっ、あの警官俺の足を撃ちやがって」


「お兄ちゃん大丈夫?」

それはペドロの声

ペドロは傷をおった、その男を家に連れて帰り手当をする事に決めた。

そこへ仕事を終え、サマンサが帰ってくる

「ただいま」

男を初めて見た時、サマンサは何故だが嫌な予感がした。

なんだろう?

この人が怖い、身体が何故か勝手に震え出した

勿論優しいサマンサはそんな思いを顔に出さず、ペドロと共に手当をする

男は思う、こいつは好都合だ、いずれこいつらは俺がお尋ね者だと言う事に気づくだろう、その前に殺し、しばらくこの家に身を隠させてもらうとしよう


それは翌日の朝の出来事だった


「お姉ちゃん」


「逃げてペドロ」

ペドロの目の前には血塗れになった姉の姿が


「どうして?どうして?」


背後から男が現れる


「お前のせいだぜ、お前が俺を手当する為に家に連れ込んだせいだ、お前が姉を殺したんだよ」男は嬉しそうに笑った


「ペドロ、そんな訳がないだろ、私は大丈夫だ、逃げて」

ペドロは咄嗟に棚の下に隠してある護身用の銃を取り出した


「おいっ小僧、物騒なものを俺に向けるな、こっちによこせ」


「ペドロ、やめろ、こいつを殺しても仕方ない、お前はとにかく逃げろ」


「待てっ、撃つな、悪かったよ、俺はもう行くからよ」


「よせっペドロ」


パアンッ

次の瞬間男は床に倒れていた


「なんて事をペドロ」


ガタガタガタッ

「お姉ちゃん、ごめん僕のせいで」

ペドロの身体は小刻みに震えている


「あんたのせいなもんか、あんたは人を助けようとしただけなんだ、何も悪くなんかないよ」サマンサの口からは血が流れ出していた


「お姉ちゃん」


「私はもう助からない、私の分までしっかり生きてペドロ」


「お姉ちゃん、お姉ちゃん」

僕のせいだ、僕がお姉ちゃんを殺したんだ

幼きペドロの心を占める罪悪感がそこに彷徨う悪霊を呼び寄せる、それは姉を殺した男の霊魂


「そうだよ、お前は人殺しだ、とっても悪い奴なんだ、お前は姉だけじゃない、男も殺した、あの男もお前が殺したんだ、ああ最低な人間だよお前は、あの男にも家族がいたろうに、お前たちの様に」


「うわぁあああっ」


「永遠に逃れられない罪に苦しめ、永遠に取り憑いてやるからな」


 直後ペドロは自らの命を絶った


それからペドロの魂は何度も何度も転生した、内にどうしようもない罪悪感を抱えながら

サマンサの魂は何度も何度も弟の魂を探し、救おうとしたが、救えた事は無かった

何故なら背後にいつも居る、あの悪霊が邪魔をするから

だが、何よりもペドロの持つ罪悪感が悪霊に力を与えていたのだ


そして現在


「ポッポ………ペドロ。今世で今回こそ必ず、お姉ちゃんが絶対に助けてあげるから」バルベインは自身の瞳から溢れる涙を止める事が出来なかった。


「おーい、バルベインどこだあ〜〜〜」

惑星スフェアにタケルの声がこだましていた。





〜 アンブラインドワールド 〜



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