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夕方になった、遊園地の閉園時間が迫っている。
今朝みたいにぎゅうぎゅう詰めの電車に乗るよりかゆっくりと帰る方がいいだろう。
夏海も遊び疲れてヘトヘトだ。
「もうそろそろ帰ろうか」
「…うん、名残惜しいけどね」
遊園地をでて電車に乗った、だが思った以上に人が多くてまた僕だけ座れなかった。
今日1日の疲れとともにため息を一つ、明日も仕事かと思うとともにため息がもう一つ。
夕日に照らされた夏海の寝顔は今日1日を満足したかのような充実感を得たものだった。
白い髪が夕日に照らされてとても幻想的な美しさだった。
◇
家に着いたのは午後9時頃だった、家に着くと夏海が料理を作ってくれた。
凄く美味い、ここ1週間毎日夏海の手料理を食べているが全く飽きることが無く常に美味いと感じれる。
ご飯を食べ終わり食器の片付けを手伝って風呂に入った。
風呂からでて缶ビールにありつく、人生最高の瞬間だ。
夏海は机の上で楽しそうにノートを書いていた。
気になったのでテレビをつけてバレないようにチラ見した。
『遊園地に行きたい』『海に行きたい』『パフェが食べたい』などそこには普通の人なら誰でも一度は経験したことがあるような内容が箇条書きされていた。
「何書いてるんだ?」
「これ?これは生きてる間にやってみたいことを書いたノートだよ」
「そうか、………今日は楽しかったか?」
「うん!楽しかった!」
夏海は笑顔で答えてくれた。
「よかった、……ちょっとそのノート見せて」
「う、うん。恥ずかしいけどいいよ」
手渡されたノートの見た、ノート一冊分のやってみたいこと。
夏海はあまりにも辛い運命を背負わされた、だがそれでもこんなに優しい笑顔を浮かべられることができる強い人間なんだ。
僕は涙が出そうで最後まで見ることができなかった。
「ありがとう」
「うん」
「一つ聞きたいことがあるんだけど、この質問は答えたくなかったら答えなくていいよ」
「どうしたの急に?うん、いいよ」
「『イノセントチャイルド』として生まれてきて嫌じゃなかった?」
夏海は少し黙り込んでしまった、やっぱりこんな質問するんじゃなかった。
「別に辛くないよ」
「どうして?」
「だってね、『イノセントチャイルド』として生まれてきて、親に捨てられたことを知った時は辛かったけど。でもね、それ以上に命の大切さと尊さを知ることができたの、この心臓が止まるまではやりたいことを全部やっておきたいって思えるようになったの。だからね、辛くないんだよ」
夏海は終始笑顔で答えた、だけどその笑顔を見ると僕が辛い。
強がってない、装っていない、嘘をついていない。
正直でまっすぐな言葉は現在進行形の弱い僕の心を映し出す鏡みたいに思えた。
「と、透さん!どうしたの!?」
「ん?」
気づくと僕の頬に涙が伝っていた、夏海の儚い強さとこれまで歩んできた人生を思うと涙を堪えたくても堪えられなかった。
「夏海は、強いんだね」
僕は涙ながらに震える声で言った。
すると夏実はまた笑顔で答えてくれた。
「強くなんかないよ、こうすることでしか自分を保てない弱い人間なんだよ」
この日を持って僕は決意した。
弱い僕、すぐに涙を流す僕、辛いことは簡単に諦めてしまう僕。
そんな僕を捨てて夏海の支えになれるような強い僕になろうと。
夏海の弱い心を全て受け止められる僕になろうと。
そう決意した。




