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夏海に連れ回されてジェットコースターやバイキングなどの絶叫マシンを拒否権もなくひたすら乗り続けさせられた午前中。
僕の体力と精神とその他諸々がボロボロになっていた。
夏海は相変わらずテンションが落ちることなくひたすら笑っていた。
僕この午前中で一つだけわかったことがある、それはどんなゆっくりとした乗り物であっても乗る人によって絶叫マシンへと変貌するということだ。
コーヒーカップに乗った時は三半規管がもはや本来の意味をなさなくなっていた。
普通なら楽しいであろう遊園地という場所が僕にとっては地獄でしかなかった。
そんな地獄でさえお腹は減る、夏海は「乗りたいものがまだたくさんあるから乗ってくる!」と言い残して去っていった。
「あぁ〜お腹減った〜」
夏海がお腹を抑えながら僕が座っているベンチに向かってきた。
「僕もちょっとお腹減ったところだ、どこかで飯にしよう」
「うん!」
だが遊園地のご飯は財布にはとてつもなく厳しかった、なので僕は我慢して夏海に好きなものを食べさせてやった。
ささやかな誕生日祝いだと思ってくれれば嬉しいのだが。
「フゥ〜お腹いっぱい!あれ?透さんは食べないの?」
「うん、まだ酔いが残っているからね」
「大丈夫?」
心配そうに見てくる夏海、その表情も本気で人を心配しているように見えた。
「大丈夫だよ、だから好きなの乗っておいで」
「うん、でも今度は透さんでも大丈夫なのにする」
「いや、僕のことは気にしないでいいからね」
「私は透さんと乗りたいの…」
臆面もなくそういうことを言われるとかえってこっちが恥ずかしくなる。
純粋な気持ちならなおさらだ、16歳の女の子相手に顔を赤らめてしまう僕はとても情けない。
「それじゃあお言葉に甘えるよ」
「うん!」
午後からは絶叫マシンは乗らなかった、夏海はそれでもずっと笑顔だった。
まだ乗りたいものがたくさんあったのだろう、それでも僕に合わせてくれた。
こんな冴えない僕と表情の豊かな彼女が生活を始めてまだ1週間しか経っていない。
まだ僕は夏海のことなんて全然わからない、夏海だって僕のことを何一つ知らない。
それでも、夏海の笑顔は僕の宝物になっているんだ。
まだ2年も夏海をたくさん知ることができる、僕はそれがいつの間にかこの1週間のうちでたまらなく嬉しく思えるようになった。




