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ハーレム主人公を嫌うクラス一の美少女は、なぜか俺と友達になりたがる  作者: リーズン


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15話 踏み抜いた地雷

「あはは、いきなり言われても訳わかんないよね」


「うん」


 ぶっちゃけ思い当たる節が全くない。


 もし唯一あるとすれば、最近は蒼月さんの来訪回数が増えたから、宅配や出前だけでなく、家で料理を作って食べさせていることだろうか?


 一応、栄養バランスとかもそれなりに気を使っているので食育と言えなくもない。絶対違うだろうけど。


「あのね。私達この間、ちゃんとお互いが思ってる事を全員で話したんだ。それでね、その時真白ちゃんに聞いたの。天城くんに聞いて貰えたから話す勇気が出たって」


 それは違う。


 俺がしたのは無遠慮に踏み込んだだけ、自分の気持ちを素直に認めて、今までの関係が崩れるかもしれないのに話す勇気を出したのは、蒼月さん自身のものだ。


 何より……蒼月さんにとって二人は、本当の意味で自分の気持ちをさらけ出していいと思える相手だった。ただそれだけの事。


 普通の関係性でただ本音をぶちまければ、仲良くなるどころか全く逆の結果になってもおかしくない。


 その関係性を築いていた彼女達の力であって、俺のおかげだなんて厚顔無恥な事は思はない。


 武本さん達が言うような俺の関与なんてものは、彼女らが思うほどないだろう。


「それでもだよ」


「蒼月さん?」


「だって天城くん。困惑と否定の感情出てたから、自分はなんにもしてないって思ってそうだったんだもん」


 見事に当たってる。


 じゃれあっていた二人にも聞こえていたのか、いつの間にかまっすぐ俺の事を見ながら否定する。


「うん。天城くんがどう考えてても、私達は天城くんのおかげだと思ってる」


 日向さんは俺の手を取り両手で握り締め、ずいっと顔を近付ける。


「だからね。私も天城くんともっと仲良くなりたいし、お友達になって欲しいの!」


 ラピスラズリのような青い瞳が真っ直ぐと俺を見る。


 近い。目が大きい。まつ毛長い。いい匂いがする。


 あまりにも突然アップになった日向さんの顔に、俺の頭の中は盛大に混乱する。


 しかしこの距離の詰め方に、視線を合わせるためにまるで祈るように膝をつき、自然に下から見上げる位置取り。


 近い近い近い!? やばい。心臓がうるさい。


「う、うん」


 それでもなんとか頭を無理矢理回転させて、返答だけは口から捻り出す。


「ス、ストーップ。琥珀、近すぎ! 天城くんもドキドキしない!」


 物理的に引き剥がし、割って入った蒼月さんがキリッとした顔で日向さんに言うと、そのまま俺に振り向き頬を膨らませてそんな事を仰る。


 んな無茶な。


「傍から見てると告白してるみたいだったものね」


「告っ!? 天城くん?」


「いや、睨まれましても……」


 星宮さんが笑いを堪えながら爆弾発言を投下すると、何故か俺が睨まれる。


 とても理不尽だと思います。


「へっ? あっ……ち、違くて、こ、告白とかそんな事しないよ!」


 んー、わかってはいるけど面と向かって言われると少し来るものがあるなぁ。


「あーまーぎーくーん。なんでそんなに残念がってるのかな?」


 クソぅ。感情が色で判断されるから断定されてる。


 蒼月さんに嘘は通じない。ならばここは素直に認めるしかあるまい。


「そりゃ、日向さんみたいな綺麗で可愛い子に、面と向かってそんな事をキッパリ言われると来るものはあるよ」


「まあ、それはそうよね」


「むぅ……それなら……」


 なんとか切り抜けた。


 俺がそう安心した瞬間、次なる爆弾が投下された。


「あっ、ち、違うよ。天城くんが好きじゃないとか、そんなんじゃないからね! だって私も真白ちゃんが言ってるのが天城くんだって聞く前から、天城くんは優しくていい人だし、ちょっといいなって思ってたから!」


 一拍遅れてきた否定の言葉。


 その内容に全員がピシリと固まる。


「……琥珀。それだと今度は本当に告白よ?」


「へっ? あっ、あぅ〜……」


 待って。そこで黙って赤くなられると俺も反応に困───。


「二人共? 何をそんな空気を出してるのかな? かな?」


 氷点下の空気を纏いながら蒼月さんの冷たい声が響く。


「えっと、真白ちゃん? 違くて」


「もぉー、そんな色の空気出しといて違うも何もあるかぁー!?」


「そんな色ってどんな───いや、待って言わなくていいや。とにかく色々と手違いがね?」


「うぅ。天城くんも嬉しそうだし」


 恨みがましい目で俺を見る蒼月さん。


「やっぱり、天城くんもおっきい方が好きなんだ」


 悲しそうに下を向き、胸に手を当て───いや、ちょっと揉みながらそんな事を言う蒼月さん。


 その容姿の人がこんな所で胸揉むの止めなさい!?


「ふえっ!?」


「……へぇ。そうなのね」


 その様子を見た日向さんは、隠しきれない部分を腕で隠しながらちょっと距離を取り、赤い顔でこっちを見る。


 そして今までからかっていた星宮さんも、何故か今回は冷たい視線で蔑むように俺を見る。


 反応にも格差が!? って違うそうじゃない。それより何も言ってないのに確定事項として進んでるのは、酷すぎないだろうか?


「ヒッ!?」


 しばらく自分の胸を触った蒼月さんが、日向さんをギロっと睨む。


「……オマえのむネモイでやロウか」


「もげないよ!?」


 無表情で手をゴキリと鳴らし恐ろしい言葉を呟く蒼月さん。


 仲がいいからこそ本気度合いが分かるのだろう。日向さんは若干涙目である。


「いい考えね」


「紫音ちゃんまで何言ってるの!? 全然いい考えじゃないから!?」


 やだ。二人とも目が本気なんですけど。って、しまった!?


 この話題に反応したら確実に被害が出る。


 そう確信した俺は空気に徹していたのだが、涙目になっている日向さんとバッチリ目が合ってしまった。


「天城くん助けて!」


 親友二人に温度のない目で脅され、恐怖で涙目になる日向さんはこの状況に更に一石投じ、俺との間に立つ蒼月さんをスルリとすり抜け、俺の腕に縋り付き助けを求める。


 この状況でこれはダメだと思います。


「ケす」


「ピャー!?」


 案の定、秒で沸点に達した蒼月さんに襲いかかられるひなさん。


 ダメだ。意識なんてしてはいけない。右腕に感じる柔らかさなどただのまやかしなのだ!


 しかし蒼月さんの反応がとても大きい。


 友達ってこんなだっただろうか? 


 そうは思うが、如何せん友達が居ないので正解がわからない。数少ない昔の友達と比較すると、だいたいこうだった気もするから困る。


「二人共その辺にしなさい。天城くんは後で問い詰めるとして……少し騒ぎすぎたわね」


 頑張って空気に徹していたのに全く逃げ切れてなかった件。


 というか少し待って欲しい。問い詰められる事は確定なの? 俺今回悪くなくない?


 しかも嘘と感情が見抜ける蒼月さんと、冷静に相手を追い詰める星宮さん、そして何気にさっきから天然トラップと化してる日向さんの三人から詰められるって、もう断頭台に登るようなものではないだろうか?


 と、言うか騒ぎすぎ?


「そうだね」


 いつの間にか星宮さんの隣に移動していた日向さんが、辺りに軽く視線を動かして同意する。


 確かに二人が言う通り遠巻きにこちらを見ている人が何人か……蒼月さんも視線を感じたのか俺の影に素早く隠れる。


 しかしこうやってすぐに話に参加する所は流石のコミュ力、場の空気を察するのが上手い。さきほどまでと段違いだと思う。


 さっきまで極上の柔らかさに包まれていた右腕が寂しいような気も少しす───あっ、すいません。気の迷いですから、脇腹つねるの止めてください。ごめんなさい。


「どっかでゆっくり話したいけど、この分じゃ何人かは着いて来そうよね」


「確かに同じ学校の子もいるからね」


 そう言って見回す二人だが、当然俺と蒼月さんは全くピンと来ない。コミュニケーション能力の差が出てる。


 まあ、二人が言うんだからそうなんだろうけど……でもそれなら。


「あの、だったら家来る? この後蒼月さんも来るし」


 口に出した瞬間、しまったと思った。


「あ〜ま〜ぎ〜く〜ん?」


 直後に放たれた氷点下の空気を伴った蒼月さんの声。


「すいませんでした!?」


 視線を向けると全員少し呆れてる。


 はい、やらかしましたね。俺、こんなに学習能力低かったっけ?


 そう思わずには居られない俺だった。

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