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ハーレム主人公を嫌うクラス一の美少女は、なぜか俺と友達になりたがる  作者: リーズン


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11話 ブランコとアイスと、デートの約束

「はぁー、食べたぁ。結構苦しい」


「俺も……」


 議論に議論を重ねた結果、お互いにラーメン&餃子を頼み。チャーハン、焼肉、回鍋肉を頼んだが、正直調子に乗りすぎた感はある。


 それでもキッチリ食べ切るのだからいいだろう。

 

「さて、片付けるか」


「あっ、私も手伝うよ」


「じゃあそっちよろしく」


「うん」


 汁物を流しに捨て、軽く水で洗い流し、後でエントランスに持って行けるように、軽くまとめて玄関に置いておく。


 戻ると蒼月さんがテーブルをふきんで拭いてくれていた。


 なんとなくその姿を見ていると、こちらに気が付いた蒼月さんがニヤリと笑う。


 嫌な予感。


「もう、いくら私が可愛いからってそんなに見られたら恥ずかしいよ」


「あー、や、ごめん?」


「しょうがないなぁ。ほらほら、サービスはここまでだよー」


「そのスカートの端をチラチラするの止めてくれませんかねぇ」


「あっ、ピンク色になってる天城くんのエッチ」


「何この、回避不可能な必殺コンボ」


 全くその気はなかったのに。


 ここ最近何回か行われている不可避のコンボ攻撃だ。


 見ても見なくても結果は同じ。


 そもそも揺らし始めた段階で意識してるんだから、その時点で目を逸らしてもムッツリと言われ、ガッツリ見ても変態扱い、それならとチラ見したらこのザマだ。


 回避不可能なコンボ過ぎません!?


 しかも感情を見れる相手ではどう反応しても無意味なのだからどうしようもない。


「あはははは。それで、どうしたの?」


「ああいや、このところ結構家に来てるから、その……他の二人と遊んだりしなくて良いのかなぁ? と思って」


「大丈夫。ここに来ない日はいっつも一緒だから。明後日も遊ぶ約束してるしね」


「そうなんだ?」


「うん。前は教室でも普通に遊ぶ約束とかしてたけど、今は天城くんとも遊ぶようになったから、教室では言わないようにしてるんだ」


「……アレ対策?」


「うん、アレ対策。他の人となんて話になったら絶対詮索してくるから」


 マジでため息しか出てこない。


 チラリと見ると、先程まで楽しそうに笑っていた蒼月さんも顔を顰めている。


「まあ、そんな事より今日もアレやろ。今日こそ絶対勝つから!」


 空気を察したのか、蒼月さんは無理矢理話題をすり替えたので、俺もそれに乗っかる。


「……そう言ってすでに五連敗」


「ナニカイッタカナ?」


「いえなにも?」


 数日間で良くも悪くも遠慮の無くなったやり取りは、お互い笑いながら軽口を言い合える。


 ゲームをすればお互いに煽り煽られ、漫画やアニメは考察をしながら観る。


 意外なほどにウマが合うのか、漫画や映画の趣味も好きな物もほとんど同じ、好きな食べ物も同じだから、蒼月さんと友達になってからの日常は、正直すごく充実した日々だ。


 学校が終わると一旦家に帰り、着替えて家に来る。そしてゲームをしたり、漫画を読んだり、アニメや映画を観たりして過ごし、20時を目安に家を出る。


 平日、それを二日~三日ほどのサイクルで来れば、流石に今までの交友関係が変わり過ぎて心配にもなる。


 何より同性の友達ならまだしも、異性の友達でこのサイクルはどうなのだろうと思う。


 しかも外で遊ぶ訳でもなく家に招き入れて。


 まあ、本人が親にも言ってあるから大丈夫と言っていたし、俺も楽しいから良いのだが。


「エイ!」


「甘い」


「あれなんで赤いの当たんないの!? って、そんなところにバナナ置かないで!?」


「ゴール」


「えーい、クソゲーめ!」


「マンションだから台パン止めようか。下に響くし」


 追尾型の攻撃を避け、お土産にバナナを置くと狙い通り引っかかり、スピンしている間にゴールをかっさらうと、悔しさを隠そうともせず台パンする蒼月さんを止める。


「もぉー。って、あーあ、もうこんな時間かぁ。相変わらず時間経つの早いなぁ」


「そうだね」


 時計を見るともう19:40を回っていた。


 少し早いが今日はお開きという流れになり、いつも通り蒼月さんを家まで送っていく。


「あっ、今日はちょっと早く帰るし、コンビニでアイス買って公園で食べていかない」


「おっ、良いね」


 と、言う訳で早速コンビニへ。


「さっきはたまたま負けちゃったし私が好きなの奢ってあげる」


「全敗記録更新中のたまたまとは?」


「ナニカイッタ?」


「ゴチになります」


「うむ、素直でよろしい。どれにする」


「じゃあコレ」


 そう言って俺は迷わず一番お高いバニラアイスを手に取る。


「うん。迷いなく一番高いアイスを選び取るところ私、好きだよ」


「俺も自分のこういうところ結構好き」


 正確に言えば、こんな風に遠慮なく高い物を選べる関係性が……だが、流石に気恥しいのでそんなことは言わない。


「私一つのアイスを。友達と二人で分けて食べるのも夢なんだよね」


 蒼月さん達はいつも三人、そうなれば一つを二つに分けてというのは確かに難しいだろう。


 しかし───


「せっかく食べるなら一個普通に食いたい」


「それね。私もおんなじだから結局出来ないんだよね。私も同じのにしよーっと」


 アイスを買ってコンビニを出ると、蒼月さんの家からも近い公園へ。


 そして何故かブランコに乗って食べようと言う蒼月さんに従い、それぞれブランコに乗ってアイスを食べる。


 出資者の意向は大切。


「アイス美味しい」


「だね。初めて食べた奴だけど、流石高いだけある」


「……初めてなのに選んだんだ」


「うむ」


「まあ、私も初めて食べるけど。確かに凄く味が濃くて美味しいね」


「ああ、高いのにリピートしてしまいそう」


「同じく。ふふっ」


 何故か凄く上機嫌の蒼月さんにどうしたのと聞く。


「えへへ。こんな時間に公園で友達と二人、アイス食べるとかなんか青春っぽいなって」


「確かにそう言われるとアオハルっぽいなぁ」


 とぼけるように言うが内心はその言葉にかなりドキドキしている。


「うん。アオハル、アオハル。えへへ、男の子とこんなことするなんてドキドキするね」


「……友達だよね?」


 顔を赤く染めて嬉しそうに呟く蒼月さんに思わず質問する。


「そうだよ?」


 OK。大丈夫。勘違いなんてしてないんだからね。


「ま、まあ、アオハルっぽいけど、一歩間違えるとコンビニとかにたむろすマイルドヤンキーっぽいけど」


「あはは、そうだね。でも天城くんなら少し似合いそうかも」


「どうせ目つき悪くてジャージ好きですよ」


「偏見が凄い」


 アイスを食べながら、公園のブランコで他愛ない話を続ける。


「……よし。アイス食べてたら少し寒くなってきた。早く帰ろう」


「自由かよ!?」


 食べ終えると同時にそんなことをのたまう蒼月さんは、俺のツッコミを聞くとケタケタと楽しそうに笑う。


 楽しそうなことで何よりで。


「さっ、冗談はここまでにして帰ろうか」


「そうだね。本当はもうちょっと話したいけどしょうがないかぁ。家も近いし今日はここでお別れ……で、いいんだけど」


「いいんだけど、って、どうかした?」


「あのね。天城くんって明日暇?」


「まあ、暇だけど」


 強いて言うなら買い出しをするかどうか、しかもそれすらまだ余裕があるので特に急ぎということはない。


「じゃあ、明日も遊べる?」


「俺はいいけど蒼月さんは平気なの?」


 休みの日は二人と遊んでいると先程聞いたばかりなので一応質問する。


 蒼月さんから言ってるんだから平気だろうけど。


「うん、明日は平気だよ。じゃあ明日も遊べるんだね」


「良いよ」


「よし。じゃあ明日は駅前に10時に集合で」


「……えっ、外?」


「うん。たまには外で遊ぶのも良いかなって」


「いや、大丈夫なん?」


 主にストーカー案件で。


「大丈夫。ちゃんと分からないようにするから!」


 そこまでして出掛けたいか。


「まあ、蒼月さんがいいならいいよ」


「じゃあ明日はデートだね。楽しみにしてるねー!」


「……えっ、デートなの?」


 と、友達同士でも出掛けるとデートって言うの!?


  爆弾発言を残して走り去る蒼月さんの背を見送りながら、俺の呟きが誰にも聞かれず夜の中に溶けていった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


今回はちょっとゆるめの日常回でしたが、気付けばかなり距離が縮まってきましたね。

最初は「友達になりたい」と言っていたはずなのに、もう普通に家に来てゲームしてご飯食べて……冷静に考えるとだいぶおかしな距離感な気もします。


そして最後に飛び出した「デート」の一言。

本人はどこまで自覚して言っているのか、主人公はどこまで意識してしまうのか――。


次回はいよいよ外でのお出かけ回になります。

今までとは少し違う二人の空気感や、外だからこそ起きる出来事も描いていけたらと思っています。


引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。

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