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ついおくじゅうなな

「アミリー。カネマル。ヨージ。ユウタル。笠松。寒川。ジョールド。」


シーダを抱えて麻井の研究室にやって来たリヒトー。


「寛太郎。雨川。スートゥ。ヤッチュリー。桃乃間。笹野木。灌流。ジョウ。ヤン。」


麻井は血相を変えて飛び込んで来たリヒトーと具合の悪そうなシーダの姿を見て大層驚いたが、すぐに冷静さを取り戻してシーダの治療を行った。


「伊羅。イーモン。アーチェ。タルバ。ハッシュ。サリー。カルマートゥ。美々美。」


麻井の手によってシーダの容体が安定し、体調は幾分か取り戻した。


「マチルダ。権圭。ただら。紗凪。真原。ボポール。」


そしてシーダが眠っている間、リヒトーは麻井にシーダが突然具合が悪くなるまでの様子を話した。


「タンカナ。マナ。夜也樹。星羅。来来。ラージャラー。」


ジュースを飲んだ後に血を吐いた事からジュースに異変があると思った麻井はリヒトーが回収していたジュースを受け取り調べる事になった。


「ニュールトミ。ヒューギル。野谷津。ララリリ。華夏。歓蘭。ドリームチェ。」


そしてその後、麻井は重く辛そうな表情でリヒトーに真実を告げた。リヒトーがシーダに会いに行った後の話だ。


「トトラ。タタラ。半宗。ラーリュペリー。テャンキィ。」


リヒトー以外の剪定士が全員死亡した。


「ナージャ。ククルバァ。タッチュン。魲。一騾馬。ミューザ。」


剪定士達とごく僅かな関係者達で行われた慰労を兼ねたお祝いのパーティの時。全員突然苦しみだしそのまま生き絶えていった。


「ビールバー。キキュリ。姫理。玉野。デット。ノーマナ。」


他の者達は剪定士達が死んだ原因は改造手術によって縮んだ事で訪れた寿命死だと決定づけようとしている。

しかし麻井はそうは思わなかった。剪定士達が死んだのは誰かの陰謀だと睨んでいた。証拠を掴む為に麻井は他の協力者達と共に徹底的に調べるつもりだと言っていた。


「リヒトー。」

「何だ。もう起き上がって大丈夫なのか?」


確認をしながら淡々と名前を口にしていたリヒトーに声をかけたのはシーダだ。血を吐いていた当時と比べてかなり顔色が良くなっていた。


「…リヒトー。大丈夫、じゃないよな。」

「問題無い。確認はちょうど終わっている。」

「でも、その人達は。…リヒトーの仲間なんだろ。」


そう言ってシーダは床に並べられている遺体が入った袋を見る。数は合計で六十。全員突然死した剪定士だ。女王との戦いで生き残った剪定士達だ。

なのに全員死んだ。ほぼ同時に。

麻井と同じように誰かに殺されたとリヒトーは考えついた。


「知り合いは数人ほどだ。他の奴らはあまり知らない。」


リヒトーは麻井から借りた死亡した剪定士達の事が記されている書類をもう一度確認する。書類には顔写真も載っておりそれのおかげで本人確認は容易だった。リヒトーを除いて生き残っていた剪定士達が何者かの手によって殺されたという事実を突きつけられた。


「それよりもまだ安静にしていろ。ベッドに戻れ。」  


それでもリヒトーは冷静だった。表面上は。


「俺は大丈夫。でもリヒトーは大丈夫じゃない。」


そしてすぐにシーダに見抜かれた。シーダはリヒトーに寄り添い手を握る。


「俺と同じ。」

「…同じか。」


吸血花と剪定士。

シーダとリヒトーは最後に生き残ってしまった同士になった。


「これは結構、きついな。」


握られた手をリヒトーは無意識に握り返した。



◆◇◆◇◆



ここで場面が切り替わる。


忘れてはいけない。これは夢。リヒトーの過去の記憶。

一方的に見せられ自分で見たいものが選べない。



場面は強制的に切り替わる。



◆◇◆◇◆



「やぁ季花。」


次に見たのは大嫌いな陽斗の笑顔。

場所はシーダとの待ち合わせによく来ていた廃墟のどこか。時間帯は夕方ごろ。


「…その名前で呼ぶなと、何回も言った。」


荒い呼吸を何度も繰り返し、ふらつく体を気力のみで支える。塞がりかけていた傷が開き血が滲んでいる。


「可哀想に。ぼろぼろじゃないか。だから言っただろ。剪定士なんてさっさと辞めなって。」  


陽斗は少しずつリヒトーとの距離を詰めようとするが、それに合わせてリヒトーが後ろに下がる為二人の距離は縮まらない。


「あの化物に唆されたんだろ。」


それでも陽斗は止まらない。


「早く居場所を教えて。そしたら君の体を治してあげる。」

「言うわけないだろ。」


何も気がついていない陽斗に苛立ついているリヒトー。この状況から逃げられないかと考えふと手元を見ると拳銃を握っていた。


「いい加減素直になりなよ。手遅れになるよ。」

「出来もしない事を出来るように言う奴の言いなりになるつもりは無い。」

「出来るよ。あの化物を利用すれば簡単だ。」

「やっぱり盗んだのはお前か。」

「…何の事かな?」

「麻井の研究室を荒らしたのはお前だろ。」

「証拠も無いのに犯人扱いしないでよ。」

「麻井が見つける。あいつを見下していると痛い目に合うぞ。」

「はいはい。」


後退りをしている時、突然リヒトーは膝をつく。すぐに立ちあがろうとするが、体に力が入らない。


「あーあ。もう逃げられないね。あっ。ここだよー。」


陽斗が手を振っている相手は数人の男達。全員陽斗の部下だ。


「じゃあ行こうか。君を捕まえたらあの化物も来るだろ。」


全員リヒトーを捕まえようと手を伸ばす。

リヒトーは手元にある拳銃に目を向ける。拳銃は陽斗の部下から奪い取った物だ。

弾は一発のみ。


「行こうかリヒトー。君を幸せに出来るのは僕だけだ。」


あと少しで陽斗がリヒトーに触れる。


「自分は」 

「え?」


そうなる前にリヒトーは拳銃の銃口を自分のこめかみに当てる。

リヒトーの行為を見て周りの者達は一瞬動きを止める。


「浮気はしない。」


リヒトーは拳銃の引き金を引いた。


銃声が鳴り響いた。

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