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ついおくじゅうさん

シーダが女王の頭を叩き割った後、女王の周囲にいた吸血花達が突然苦しみだし、そのまま生き絶えていった。

女王との戦いでさらに負傷し、大量出血してもなおリヒトーは生きていた。辛うじて自分の足で立っていた。

しかし戦いによる疲れと大量出血したせいで頭がうまく動かない。

リヒトーは女王を守っていた吸血花が次々と突然死し倒れていく姿をただぼんやりと眺めていた。


リヒトーの周りにいた吸血花が死に絶えてから少し経った後、朝日の光を浴びて眩しさを感じたリヒトーはようやく思考が回復する。


「シーダ。」


名前を呼ぶが返事は返って来ない。


リヒトーがシーダの姿を最後に見たのは女王の頭をリヒトーの鉈で切り割る時。

それ以降は最後の悪あがきと言わんばかりに女王が力を振り絞って周囲の建物を破壊し、倒壊させたためリヒトーは咄嗟にその場から離脱してしまったためシーダを見失ってしまった。


「シーダ。」


もう一度、先ほどよりも大きな声で呼ぶが返事は返ってこない。

リヒトーはシーダを探そうとぼろぼろの体を無理矢理動かして歩き出す。


「シーダ。」


女王との戦いで崩壊しひび割れたコンクリートの上をなんとか歩きながら名前を呼びながら周りを見る。その度に吸血花の死体が目に入る。

一つ、二つ、たくさん。

多くの吸血花の死体がリヒトーの目に入っていく。

吸血花の死体を見るたびにリヒトーの中で不安の感情が大きくなっていく。


女王が死んだら吸血花も死ぬ。


リヒトーはそんな仮説を思いついてしまった。

女王の周りにいた吸血花。

この場にはいない吸血花。

女王を殺した吸血花。

女王が死ねば皆例外無く死ぬ。

そんな考えがリヒトーの頭の中に思い浮かぶ。


「シーダ。」


確証は無い。ただの思いつきだ。

そう自分に言い聞かせながらリヒトーは呼び続ける。

返事は返って来ない。


リヒトーは時間をかけてようやく女王とシーダを最後に見た場所まで辿り着いた。

周りにあった廃ビルは全て瓦礫の山となり、コンクリートの地面が陥没して大きな穴が出来上がっている。


「シーダ。」


リヒトーは穴に向かって歩き出す。根拠は無かったがそこにシーダがいると思った。落ちないようリヒトーは穴を覗き込む。


穴の中には瓦礫に半分埋まっている女王の死体。頭には依然と鉈が刺さっている。

シーダの姿は見えない。


「シーダ。」


リヒトーは名前を呼ぶが返事は返って来ない。

不安な気持ちがさらに膨れ上がる。心臓の鼓動が早くなる。胸の辺りがたとえようのない感覚を感じる。


「シーダ!」


それに耐えきれず、誤魔化すようにリヒトーは大声で名前を呼んだ。


「何?」


返事は返って来た。


女王の近くにあった瓦礫の中から出てきたシーダは何事も無さそうに上にいるリヒトーを見上げて返事を返して来た。


「リヒトー!」


シーダはリヒトーの顔を見た途端嬉しそうに笑い背中から蔦を生やしてそれを使って穴から出る。


「ぼろぼろだ。リヒトー。歩ける? 痛いよな。支えるよ。」


蔦をしまうとリヒトーに近寄り気遣う。


「…お前は、何とも無いのか?」

「俺は平気だよ。あちこち痛いけど、リヒトーに比べたら平気平気。」


シーダの言う通り、リヒトーと比べてしまえばシーダは軽傷だ。


「それよりもリヒトーだよ。早く医者に治してもらわないと。近くまで運ぶよ。」


シーダの元気そうな様子を見てリヒトーは一旦後ろを振り返る。

リヒトーが見たのは道中見かけた吸血花の死体の数々。穴の近くにも吸血花の死体が目立っていた。


「お前は本当に何とも無いんだな?」

「えっ。平気だけど、どうしたの? リヒトー。」


不思議そうにリヒトーを見るシーダ。


「…確かめたい事がある。シーダ。着いて来い。」

「えっと。どこに?」

「医者、に近い奴にお前を会わせる。」


リヒトーはシーダが生きていた事に安堵したと同時に疑問を感じた。


何故、吸血花であるシーダが生きているのか。


その疑問を解消する為にリヒトーは吸血花の専門家にシーダを会わせようと決めた。

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