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ついおくご

「なぜあんな事をした自分。」


朝になりシーダのベッドの上で眠っていたリヒトーは起きてすぐそう言った。


敵であるはずの吸血花に近づき絵本を読み聞かせたり贈り物を渡したり。

夢の中で見た過去の自分の行動の意味が全く分からないからだ。


腑に落ちない気持ちのままリヒトーはベッドから出てシーダの部屋から出ていく。


朝の身支度を済ませ、食事を終えて、飽きるまで自主鍛錬をして、地面に寝っ転がって日光浴する。

その間、リヒトーはずっと考え事をしていた。

なぜ自分は敵である吸血花のシーダにあそこまで気にかけていたのか。過去の自分のとった行動の意味を知りたかった。

しかし一人で考え続けても答えは出ない。


明確な答えが出ないまま夜になり、この日もリヒトーはシーダのベッドで眠る。

花の匂いに包まれながらリヒトーは目を閉じて夢を見る。



◆◇◆◇◆


 

鉈を振るって人の手足を不自然な位置で生やしている吸血花を切り割る。吸血花は断末魔を上げて息絶える。

リヒトーは鉈を振るって吸血花の体液を可能な限り払い落とす。


リヒトーの周りには数多くの吸血花の死骸が切り割られた状態で放置されている。

リヒトーは吸血花の死骸に気にせず無線機を使って状況の報告をする。


「報告にあった吸血花は全て始末した。…分かった。戻る。」


相手から基地に戻ってくるように言われたリヒトーはそう答えると無線機をしまい鉈を持って周囲の警戒しながら基地へ戻ろうとした。

その途中、無線機から緊急の連絡が入った。


人型の吸血花が一般人を襲っている。


「場所はどこだ。」


それを聞いたリヒトーはすぐに無線機の向こうにいる相手に吸血花の場所を聞き出す。教えられた場所はリヒトーが今いる場所からそう遠くなかったためリヒトーは急いでその場所へと向かった。


そして向かった先で見たのはリヒトーの知っている人型の吸血花が集落の人達を蔦で絡め身動きを封じ、先端が針のように固く鋭く細い蔦で腕や足を刺しそこから吸血している姿だった。


リヒトーは吸血花に向かって走り、鉈を振るって救助対象である人達を捕らえている蔦を叩き切る。


「…え?」


蔦が切られた事に遅れて気がついたら吸血花。

反応が鈍い吸血花に対してリヒトーは躊躇なく吸血花との距離を詰めて鉈を振り落とす。


「うわ!」


吸血花は驚異的な身体能力でリヒトーの攻撃をかわしすぐに距離をとる。


「リヒトー?」


名前を呼ばれたリヒトーはすぐに周りに目を向ける。

蔦から解放された人達は血を吸われた影響で意識が朦朧としていたり気絶している。吸血花の言葉に反応している者は一人もいない。

今回は剪定士はリヒトーただ一人。

吸血花の発言を聞いている者は誰もいない。


リヒトーは何も言わずに鉈を握り直し再び吸血花に攻撃を仕掛ける。


「わっと?!」


吸血花はリヒトーが攻撃してきた事に驚きながらも蔦を使って攻撃を防ぎ、あるいは身体能力のみでかわしていく。


「リヒトー、そっか。リヒトーは剪定士。俺の敵だよね!」


そして悲しそうに、今にも泣きそうな表情で吸血花は蔦を使ってリヒトーに攻撃を仕掛ける。

リヒトーも吸血花からの攻撃を鉈でいなし、または蔦の動きを見切ってかわしていった。


動きに迷いの無いリヒトー。

悲しい感情に体が支配され思うように体が動かない吸血花。


吸血花が最も活発になる昼間にも関わらずリヒトーの方が優勢だ。リヒトーは動きの鈍い吸血花に対して容赦なく攻めていく。

吸血花の方は思うように動けずともなんとか防御に徹しひたすら耐えていた。


二人の戦いは別の剪定士が到着するまで続いた。


別の剪定士達が現場に到着した直後、他の剪定士達の声に一瞬気を取られたリヒトーの隙をついて吸血花は撤退した。

遠ざかっていく吸血花の背中をリヒトーは追いかけず見えなくなるまで黙って見続けた。



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