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そいね

リヒトーは夢から覚め、暖かな日差しを感じ目を開ける。

起き上がり横を見るとシーダが隣で眠っていた。手には眠る前にシーダが読んでいた絵本がある。リヒトーはまた絵本の表紙を見るが題名は読めないまま。


しかし今のリヒトーにとっては文字が読めない事よりも先ほどまで見ていた夢の方が重要だと感じていた。

夢というには鮮明だったそれにリヒトーは失ってしまった記憶の手がかりだと感じた。  


夢で見た顔と同じだと思いながらリヒトーは再び横になりシーダの顔を間近でじっと見つめる。

しばらくした後、シーダが目覚める。


「…あれ。リヒトー。」


少し寝ぼけている様子だが、リヒトーの顔を見つめた後、ベッドの上から転がり落ちる。


「どうした?」

「ご、ごめん! あの後眠くてつい、君の隣で寝ちゃって。」


顔を赤くして弁明の言葉を早口で言う。


「ご飯用意してくるから待っててね!」


そして慌ててベッドから離れていくシーダ。

引き止める間も無く離れていくその後ろ姿を見ながらリヒトーは思う。


あの夢が自分の過去の記憶であるならば、どうして今まで見れなかったのだろう、と。


リヒトーはここに来てから夜になれば必ずベッドの上で眠っていた。

しかし過去の記憶と思われる夢を見れたのは初日と今日だけ。それ以外の日は夢を見る事なく熟睡していた。

なぜ今日は夢を見られたのだろうとリヒトーは考える。


食事。

天気。

気温。


夢が見れた日とそうでない日の違いを考える。そして一つの違いに気がつく。

夢を見れたの日はシーダと一緒のベッドで眠り、そうでない日は別々の部屋で寝ていた。

まだ二回しか見ていないため確証はないが、リヒトーはシーダと一緒に眠れば夢を見られるのではと考える。


「ごはんできたよー。」


シーダの声を聞いたリヒトーは一旦考えるのをやめてベッドから下りシーダが落とした絵本を拾い上げベッドの上に置くといつも食事をしている場所へと向かった。



◆◇◆◇◆



「いただきます。」

「いただきます。」


そう言って果実を齧ろうとした時、リヒトーはある考えを思いつきすぐに実行に移した。


「シーダ。」

「何?」

「今日から自分と一緒に寝ろ。」

「そういっしうれぃ?!」


リヒトーからの思いかがない提案に驚きのあまり奇声をあげて手に持っていた果実を握りつぶしてしまうシーダ。果汁がポタポタと皿の上に滴り落ちる。

それに構わずリヒトーは言葉を続ける。


「読み聞かせをした後、眠いのだろう。だったら読み終わった後すぐに寝られた方がいいだろう。」

「え、いや、そりゃあ眠いけど、だからっていっひょ。一緒に寝るのはさすがに」

「お前と一緒に寝ると心地よくてな。」


顔を赤くして動揺しているシーダに対してリヒトーは畳み掛けていく。相手が自分の事を惚れていると知った上での発言だ。


「一緒に眠ってくれたら自分は嬉しい。」


嘘は言っていない。


リヒトーがそう言うとシーダは顔をさらに赤くして固まってしまう。

しばらくの間お互い無言でいたが


「…君が、いいのなら。」


シーダが顔を赤くしたまま視線を下に向け小さな声で呟く。

シーダがリヒトーから目線を逸らしている間、リヒトーは面白そうに口元を緩め顔を真っ赤にしているシーダを見つめる。


リヒトーは思った。これでまた過去の記憶の夢がみられるかもしれない。と。

リヒトーは思った。見れなかったとしてもうぶなシーダの反応が見られるのでそれはそれでいい。と。


リヒトーの考えを知る術が無いシーダは少し落ち着いたのか潰れた果実を口にし、ふとリヒトーと一緒に寝る妄想をしてしまい再び顔を赤くして視線を下げる。

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