96テロル
誠達は会話を聞かれることを予測し、何枚かの防御シャッターを透過したのち、話しだした。
「どうすんの、あれ。
やばいで!」
高屋は声を抑えて叫んだ。
「難しい問題だな。
だが、我々の手元に既に起爆装置はない。
選択肢はそもそもない、という訳だ」
ミオは、やや強張った笑いを浮かべた。
「戦うんだな!」
レディが唸る。
「何か作戦があるの?」
美鳥の問いに、ミオは、
「作戦という程のものではないが、あの腰のバッテリーが力の源だろう。
あれさえ破壊できれば、無理に正面から戦う必要はない、1対多の図式さえ作れれば、このメンツなら、十分やれるはずだと思う」
「そ、そやけど…、後ろん甲冑はどうするの?」
誠は考え込んでいた。
「彼らは、外に出るならばとっくに出られる位置にいましたね」
確かに、1メートルのコンクリートを掘れる力があるのならば、誠達が本部に行っている間に、既に外に出ていてもおかしくはなかった。
全員が考え込んだ。
「何がなんでも、ここで爆弾を起爆させようとしているのか」
井口が、呆れたように言った。
「そのために全てを用意したんでしょう。
あのムーンライト号をシージャックするだけで、既に途方もない予算がつぎ込まれています。
ドールマスターの人形といい、その辺のチンピラ影繰りが暴れている、と言うよりも既にテロという次元の破壊活動です。
テロであれば、明確な被害を世界中に見せつけてこそ、初めて成功と言えます」
「そもそも中途半端に手打ちをするなど、最初から考えていない訳か…」
ミオも唸る。
テロルという言葉に出してみると、不思議なほど全てがしっくりと落ち着いた。
ドクターが爆弾にこだわっているのも、納得がいく。
「よし、戦うんだな!
じゃあ、どうやる?
カブトは俺がやってもいいか!」
いきり立つレディだが、
「どうでしょう。
カブトさんと蒼井さんは、それほどテロを起こしたいとは思っていないんじゃないでしょうか?
催眠術を解けば、ドクターとの間に亀裂が入るんじゃないですか?」
「大喜びで殴ってきそうだけどな」
レディは懐疑的だったが、ミオは賛意を示した。
「催眠を解く瞬間に隙が生まれる可能性がある。
そこを狙ってバッテリーを破壊できれば、可能性が高くなるはずだ!」
「でも、マッドドクターがいるのよ。
そう簡単に1対多の状況が作れるとは思えないけど」
相手は、朝鮮戦争から戦場に出続けている戦闘のスペシャリストだった。
「ボンなら、ぽーん、と落としてまえるんやないの?」
「アクトレス教官と戦った時も、何度も落とそうとして失敗しました。
強い相手は落とすのも難しいんです」
「で、どうするんだ?」
井口は一歩引いて意見を言っていた。
「まずは、ともかく甲冑男の合流を防ぎましょう。
それが最悪な訳ですから」
誠は、自分の止血が甲冑男、ナイトを行き長えさせてしまったことを悔いていた。
「僕が案内します」
誠は立ち上がった。




