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シャドーダンス2 東京炎上作戦  作者: 六青ゆーせー
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92/166

92マッドドクター

防御シャッターの誠とは反対側に、小ぶりな扉が付いていた。

警備員の持つ解除カードと暗証番号を入力すれば、扉は開く。


美鳥たちが甲冑男から逃げるのに使ったのもこの扉だった。

甲冑男は、問答無用で押し上げて追ってきていたが…。


警備員が人質、という事は、考えてみればそれが使えるのは判り切っていた。

ただし内調の警備は自衛官でも優れた資質の人物が担当するはずで、そう簡単にカードを渡したり、暗証番号を自白するとは思えなかっただけだ。


ぎぃ、と扉が開いた瞬間、近くにいた井口が3羽のカラスを襲い掛からせた。

漆黒のスーツを身にまとった男は、身構えるが、カラスはカブトの飛ばした火の玉にぶつかり、消滅した。


「くそぅ、厄介な火だな!」


井口が叫ぶ。

高屋が、一瞬で雪だるまのような巨体に変化し、蒼井に殴りかかった。


蒼井は敏捷に身を屈めながら、高屋のパンチを交わすと、その姿勢のまま、高屋の顔面に手を突き出した。

それは位相的に高屋に届くはずのない距離のパンチに見えたが、蒼井の手から何かが飛び出してきた。


誠は、高屋に透過を使った。


高屋の頭をすり抜けた、それは、壁に当たってペタンと潰れた。


真っ黒い泥の塊のようなものだ。

だが塊は平たく潰れたまま、壁に貼り付いた。

もし顔に当たっていたら、美鳥の蝶と同様の効果をもたらしそうだった。


高屋は、巨体に似合わぬ素早いフットワークで、蒼井の頭に蹴りを打ち込む。

蒼井は背後に飛んで蹴りをよけながら、再び高屋の足に粘性の塊を打ち込んだ。

横に飛んで身をかわした高屋に、蒼井は続けざま粘弾を数発、放っていた。


美鳥の蝶が、高屋を粘弾から守った。


誠は、影の手を飛ばして、蒼井の背中にパンチを当てた。


蒼井はよろけた。

そこに美鳥の蝶が襲い掛かった。


「やれやれ、今だに君は蝶々使いなんだね。

成長しないな」


蒼井は嘲笑った。


「そう思う?」


美鳥もまた、微笑んだ。




一方、部屋の前方ではダンサーチームとカブトが戦っていた。


ミオは、素早いジャブを連発して、前進しながら放っていった。


カブトの防御の火を、一つづつパンチで潰しているのだ。

カブトも、口から火を吐き出すが、どうも元プロボクサーであるミオのジャブの方が速いようだった。


ミオがカブトに接近する中、レディの分銅がカブトの頭上に襲い掛かった。


慌てて、カブトは飛び退く。

だが目前に落ちた分銅から、巨大な爆発と炎がカブトに押し寄せていく。


再び飛び避けたカブトの前に、ミオが先回りしていた。

巧みなコンビプレイだ。


ミオのパンチが、カブトのボディに、顔面に、突き刺さっていく。

ほんの一瞬の間で、カブトは全身を数十発も殴られていた。


よろけたカブトは、蒼井の絶叫を耳にした。




蒼井は、全身を虫に喰われていた。


蒼井の体に貼り付いた蝶が、一瞬で違う生き物に変化した。

カミキリムシだ。

その顎は長さ1センチにも達し、硬い木もバリバリと噛み砕く。

そのカミキリに全身を噛み切られ、蒼井は叫んだ。


叫びながら、虫を払いのけようとするが、虫は影でできていた。

蝶のようにピッタリと蒼井の体に貼り付いて、離れない。

転がって潰そうとしても、美鳥の虫は、蝶の鎧になるように、本物の昆虫よりもはるかに頑強だった。


「そこまでだ!」


頭上から声が聞こえた。

白髪をきれいにポマードで撫でつけた、白人の老人が立っていた。

マッドドクター、その人だった。


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