86作戦
「でもボン。
まだ強そうな、知らない影繰りが2人と、レディちゃんも残っとるんやで。
そうや、カブトも元気やそうやない。
ボンが強いのは判るで。
でも5人じゃ、歯ぁたたへんの違う?」
「ミオさんが本当にマッドドクターの催眠術から解放されていれば、レディさんはこっちについてくれると思うんですが、僕も確証はありません。
なので、皆さんで決めてください」
誠は思いつめた表情で言った。
「という事は、レディはとっくに催眠術が解けている、ってこと?」
美鳥が聞いた。
「レディさんは入り口を破壊するとき、盛大に爆破していましたから、僕の方法で正しかったなら、あの時点で催眠術は解けていたはずなんです」
「じゃあ、今、敵についているのは?」
「僕の考えでは、ミオさんの身を案じての事だと思うんですが、断言はできません」
「僕は、光を浴びる前でも後でも、、何も変わらない気がするが…」
ミオは自分の手を見つめた。
「おそらく、マッドドクターの催眠術は、そうと知らなければ、青山さんが心を覗いても判らないほど巧妙なものです。
ただ、さっきレディさんと会話をした感じでは、意図的にミオさんの事を話さないように気を使っている、と感じたんです。
それは多分、マッドドクターにミオさんの事を思い出させないためじゃないのか…、と、すいません、全部推測なんですが…」
「それじゃあ、仮定として私たちが出口で待ち構えるとしましょう。
高屋さんが言うように、未知の影繰りが2人、それにレディとカブト、どちらも互角なほどに戦闘力は高い子たちよ。
そしてマッドドクターも傍観してはいないはず。
それらをどう対処するつもりなの?」
「最初はシャッター越しに対峙します。
そして、レディさん一人を、再び透過でこちらに引き寄せます。
そこでレディさんを説得できれば、こちらにも勝機はあると思うんです。
その上で防御に徹していれば、いずれアクトレス教官たちが来てくれるはずなんです。
爆弾が解除できれば、ですが…」
「待つほど有利になる、って事やね」
「そうです」
「しかし、悪いが机上の空論だぞ、全部。
もし永田さんたちの方に向かったらどうする?
それこそマザーコンピューターまで下りていける」
と井口が訝った。
「敵の動きは、永田さんたちも掴んでいるはずです、本部内なんですから。
連絡さえ密にすれば、決定的なミスは避けられるはずです」
井口は、しばらく誠の作戦を考えている様子だったが。
「ここで問答を続けていても仕方ないな。
だが小田切の作戦で行くにせよ、敵は今、どこにいるんだ?」
「依然、動きはありません。
僕たちがレディさんを説得しようとした1階と2階、レディさんが螺旋分銅であけた穴の場所にいます」
誠は、透視して教えた。
「でも、あそこから全く動かないのは不自然じゃない?」
美鳥は言いながら、永田にも情報を求めたが、誠の言葉を裏付けるものだけだった。
「ぼんのさっきの話だと、まだ催眠術が解けてない、ってことやねぇ…」
「でなければ、マッドドクターが本当に相当なダメージを負っているのかもしれません」
「少し近づいてみないか?
そうすれば誠君も、もっと詳しい様子が見えるかもしれない」
ミオは言った。
「そうですね。
その方がいいと思います。
この場所にいる事には、何の利点もありませんし…」
誠達は、再度、マッドドクターの傍まで接近することを選択した。




