↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シャドーダンス2 東京炎上作戦  作者: 六青ゆーせー
PR
83/166

83切断

螺旋分銅を使われたら、おそらく防御シャッターも長くは持つまい。

誠は10枚のシャッターを透過するまで、必死に走り続けた。

百メートル以上を一気に走り、誠たちは、息を荒げながら、四面がシャッターに囲まれた場所で廊下に座った。


「な、なんでやねん!

説得、成功した思たわ!」


「それだけ強力な催眠術なんでしょう。

やはり危険すぎる相手です」


誠も、袖で汗をぬぐいながら言った。


「どーすんの、これから?

レディちゃん、いたら、ここも危ないで!」


「それなんですが…」


誠がこれからの事を話そうとした途端、誠は消えた。





巨大なディーゼルエンジンが、低い音を立てて唸っている。


誠は、戸建家屋並みもある鉄の塊を見上げていた。


「…」


いきなり異様な情景の中に飛び込んでしまったので、話そうとしていた言葉を、誠は失ってしまった。


「えーと、…はっ!」


これは何かの影攻撃なのか!

と誠が慌てた瞬間。


「よぅ、早かったな」


突然タバコの強烈な臭いと共に、永田が現れた。

いつものように人指し指と中指の間には、燃えかけのタバコが挟まれている。


「な、永田さん?

という事は、ここは本部なんですか?」


「ここはムーンライト号の動力室だ。

爆弾が見つかった、って話は美鳥に聞いたな?」


「えっ?

ええ、それは聞きましたが、状況が判らないんですが?」


「この爆弾は困ったことに、エンジンを止めれば爆発しちまうんだ」


誠は考えた。


「映画で見たような仕掛けですね?」


「まー、こういうのも流行りとかあってな、今、この手の爆弾が流行中なのさ。

そこで、誠、お前と俺の協力プレーで切り抜けよう、って訳だ。


あと10分もしないうちに豪華客船は佃大橋と激突する。

そしたら、爆弾も破裂するし、インフラも壊れて大打撃だ。

都市機能もマヒしちまう。

まぁ、その前に爆弾が破裂したら、東京は終わりそうなんだがな」


誠は、薄暗い、そしてとても広い部屋を見回した。

巨大なエンジンが置かれただけの部屋だ。


「それは判りますが、僕はいったいどうやってここに運ばれたんでしょう?

夢でも見ているみたいです」


困惑する誠に、永田は笑った。


「宝田と法力っていう、そいつらは二人で一人の影繰りなんだが、自分と、他の場所にある何かを入れ替える能力を持っているんだよ。

彼らが、今、入れ替わりに本部にいる訳だ」


A地点ªがあり、B地点にbがあるものを、ªとbを入れ替えるのだという。

なんとなく、判ったような、判らないような、手品だが…。


「今、レディさんの説得に失敗して、逃げていたところなんですよ!

もし、何かあったら!」


ちゃんと連絡してるから問題ねぇって、と永田は親指と小指を伸ばして、電話の手真似をした。


「全部、自分で何とかしよう、とか思わないことだな鬼太郎君。

お前がいなくたって、美鳥も井口も高屋さんも、皆一人前の影繰りなんだ。

それに、すぐ帰れるよ。

宝田、法力の転送ブラザースがいるんだからな」


誠は、やや納得して、だんだんと落ち着いてきた。


「判りました。

何かするんですね?

何ですか協力プレィって?」


「おう。

まずお前が、そこの奥で回っている鉄の柱、スクリュウーの軸、を透過する。

その隙間に俺がバリアーを張る。

それから、お前が透過を解くと、俺のバリアーが、あの電信柱みたいなスクリュウーの軸を切断できている、って寸法だ。

判るだろ?」


誠は、考え込んだ。


「理屈はそうでしょうが。

そんなに上手くいくでしょうか?」


「まぁ、影の力は心の力だ。

ネガティブに考えるな。

今は、とにかく何でもやってみて、失敗したら、改めて考えればいいんだ」


そう言われれば、時間もないのだし、永田の言うとおりだ。

誠は頷いて、巨大なエンジンから伸びた、電柱よりも太い鉄の塊に接近した。


「さっき屋形船に船を透過させただろ。

あれが出来るんだったら、これだって出来るはずだぜ」


「爆発させちゃいましたが…」


誠は肩を落とすが、永田は笑って言った。


「あれがあるから、未だ東京は存在しているんだ。

お前はいい仕事をしたんだよ」


言って、そして永田の表情は一変した。

おそらくアクトレス教官に、首切り信二郎と呼ばれた男の顔だ。


「始めてくれ!」


誠は、オイルで艶々と濡れた巨大な鉄柱を透過した。

誠が透過した部分と、透過していない部分の回転がずれるので、すぐそれと分かった。


場所を見定めると、永田はバリアーを張った。


バリアーは、誠も1か月前に中に入っているので、薄く透き通った影の壁面として理解できる。

それを目視で確認してから、誠は透過を止めた。


瞬間、激しい火花がスクリュウーシャフトから散って、ムーンライト号の船体が小刻みに揺れた。

爆弾は大丈夫なのだろうか、と誠は肝を冷やす中、永田は、うんっ! と唸って、バリアーを張り続ける。


エンジンが、ごぅ、と唸った。


やがて…。


ごつ、と鈍い音がして、シャフトのエンジン側と、スクリュウー側の回転が、全く違った。

直径50センチはあるかという、鋼鉄のシャフトが切断されたのだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。