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シャドーダンス2 東京炎上作戦  作者: 六青ゆーせー
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79/166

79爆弾

アクトレスは漁船に乗せてもらい、墨田川から水路で内調に向かっていた。

濃厚な潮風が、アクトレスのゴージャスなロングヘアーを巻き上げていたが、全く意に介していなかった。


スマホが鳴り、アクトレスは黒い革製のスーツ仕立ての革ジャンの胸の谷間に手を突っ込み、無造作に電話を受けた。


「はっ!

あの箱、爆弾だったのかい?

エンジンと連動していて、エンジンが止まると爆発する?

やってくれるね、それで、原爆なのかい?

えっ、違うのかい?

何だい、電磁波爆弾って言うのは聞いたことがないねぇ」


永田は受話器に怒鳴っていた。


「俺もよく分からん。

なんでもムーンライト号の喫水線の下にぶっとい電磁ケーブルが巻かれていて、それで爆発的な電磁波を空に打ち出すんだそうだ。

それが上空の電離層にぶち当たると、範囲がどのくらいになるかは判らないが、全ての電子機器がぶっ壊れる。

心臓のペースメイカーからスマホ、飛行機や電車、車を含むあらゆるコンピュータ、最近は信号も電子機器なんで、どんな被害が出るのか、想像もつかない」


漁船が波にぶつかって、大きく弾んだ。


「で、どうすりゃあいいんだい?

ん、エンジンを止めずに、佃大橋にもぶつからないようにするしかない?

なんだそりゃあ?

えっ、スクリュウーシャフトを切断する?」


アクトレスは電話を切ると、叫んだ。


「至急、宝田と法力を探せ!

二人は船に逆戻りだよ!

急げ、東京壊滅だってよ!」




「僕が影の手で押さえている間に美鳥さんが蝶で包んでしまう、というのはどうでしょう?」

「レディを説得するつもりだったら、やめた方がいいでしょうね。

相手は、ますます怒ってしまうわ」


うーんと唸って、誠は閉ざされた通路を歩き回った。

どうししてもアイデアが浮かばない。

体を動かせなくしても、分銅は自在に動かせる相手には、誠の透過も美鳥の蝶も、烏や高屋さんの球も、ほぼ無力だ。


「友好的に落ち着いて話せば、ミオさんに言ったように、話の矛盾なんて、幾らでも話せるのに!」


頭を両手で掻きむしった誠を、突然、高屋が抱きしめた。

と、同時に高屋は膨らんだ。

誠を包む、肉の布団、いや肉の壁のようになる。

しばらく抱きしめられていた誠を、高屋が放した。

誠は、ヘロヘロと床に崩れ落ちて、呟いた。


「参りました…。

なんですか、これは?」


ははは、と高屋は笑い、教えた。


「男にはなぁ、これが案外効くんやで。

力抜けるやろ?」


「はい、全身の力が抜けます…」


誠は黙り込んだが、やがて口を開いた。


「つまり、これでレディさんをフニャフニャにさせて、説得できる空気を作ろう、と…?」


「案外、理詰めで話すよりも、こういう方が効く場合も多いんやで」


しかし美鳥は懐疑的だった。

腕を組んで、黒い上着の袖を握りしめている。


「もし、間違えたら高屋さんの背中に分銅が突き刺さるのよ」


「そこは僕たち3人で防ぐしかないですね」


「あれは爆発するのよ。

ちょっと防げる自信がないわ。

まず、あの分銅をどうするのか、ちゃんと考えないとまずい」


「僕の影の手で分銅を掴めれば、数は3つと決まっているので、だいぶいいんですが、レディさんは自在に分銅を動かせるので、うまく掴めないと大ごとですね」


「爆発後の火だけならば、蝶で消火は出来るわ。

爆発までは、無理かもしれないけど」


井口は、ははは、と、


「俺は小田切が分銅を掴めるよう、誘導するよ。

俺にできることは、それぐらいだ」


「では井口さんに協力してもらい、僕の影の手で分銅を抑える。

爆発は仕方ないけど、その後の火は、美鳥さんが消火をする、でしょうか」


高屋はププッと笑いだす。


「消火で、しょうか」


「別に、そんな下らないダジャレを言うつもりでは…」


誠は赤面した。


「えーやないの、面白いこと言ーたら、胸張ってええんやで」


美鳥は溜息をついた。


「いいわ。

それでやってみましょう」


誠達は、1階下に落ちた。

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