75突撃
道の奥からは、レディが非常シャッターを破壊しようとする爆発音が、単調ともいえる確実さで、繰り返されていた。
だが誠たちの目の前には、甲冑姿の影繰りが立ち塞がり、道を塞いでいた。
直接的なダメージを与えられる影は、誠達4人の中では井口のカラスだけだ。
誠は落とす能力。
美鳥は蝶を貼って動かなくしたり、呼吸を阻害して殺すことは出来るが、近接戦闘の破壊力はない。
「ガッチガチの接近バカって訳ね…」
美鳥は口を歪ませるが、しかしそれが一人いるだけで、四人の前進は止まってしまっていた。
「落とせないなんて…」
誠は項垂れる。
どんな敵にも絶対優位、と思っていたので、通用しない奴がいる、というのは誠には衝撃だった。
「そんなことで、いちいち落ち込まないの。
どんな影にも相性の悪い敵はいるものなのよ!」
美鳥は、叱るように言った。
「そやけど、どーする?
あんままじゃあ、いつか非常シャッターを開けてまうで、あん子」
高屋は焦燥感を滲ませる。
「壁を透過して、男の背後に出ましょうか?」
誠は言うが、井口が。
「ダメダメ。
それじゃあ俺たちが、敵に挟まれる形になるだろ。
まだ、カブトやマッドドクターも向こうにはいるんだから」
4対4だが、パワーや破壊力は、向こうの方に利がありそうだった。
それに、マッドドクターの催眠術も、侮れない。
「うちも、マッドドクターいうの、ちょーっと聞いたことあるわ。
戦争やってた影繰りやで。
そういうのは、戦い、メチャ強いで!」
美鳥は、はぁ、と溜息をつき、
「ここで必ず、あの接近バカを殺しておくわ。
誠、接近すれば、奴が踏ん張れるより広い範囲を透過できるでしょう?」
「ええ。
もっと近くなら幾らでも範囲を広げられますから」
ならば、もう一度…、と美鳥が言う前に、甲冑男は、美鳥たちに向かって、ズシン、ズシン、と足音も重々しく、歩き始めた。
まるで重戦車のようだ。
そして…。
甲冑男は、剣を真っ直ぐ、美鳥に向けると、何かを発射した。
それは美鳥の眉間を打ち抜き、背後の通路の奥に飛んで、どぅ、と思い音を立てた。
「遠距離攻撃もあるようね…」
誠が透過をかけたので、美鳥に被害はない。
だが、眉間を撃たれた、という不快感は残る。
「火縄銃並みに遅いようだがな。
あの人間戦車は厄介だな…」
井口は、唸った。
その時、通路の奥から、ゴーン、という今までとは明らかに違う音が響き渡った。
「えっ、まさか、防御シャッターを破ったのかな!」
誠が叫んだ。
「まずいわね、これは。
とにかく奴を潰さないと!」
「しゃーないな、おばちゃんが、突っ込むさかい、あと付いて来てや!」
言うと、高屋は一瞬で丸い球体に変化し、バンバンと通路の壁、天井に当たりながら加速していった。
「す、すごい…」
誠は言うが、井口は、
「いや、高屋さんもパワーはあるが、甲冑男じゃ歩が悪いぞ、行こう!」
三人は、高屋に続いた。




