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シャドーダンス2 東京炎上作戦  作者: 六青ゆーせー
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72/166

72地下通路

コンクリート剥き出しの地下道に、高屋の悲鳴が響き渡った。

誠や美鳥は慣れたものだが、高屋は転びかけ、影の力で、ボヨン、と跳ねた。

井口は、三羽のカラスに自分の服を掴ませ、ふわりと軟着陸していた。


だが芝離宮地下の内調本部の地下道は、かなり複雑な構造だ。

経路によって、銀座のデパートの地下駐車場にもつながっているし、新橋や有楽町の駅前にも出る事が出来るのだ。


「敵がいるのは何処?」


美鳥も、いきなり何の目印もない天井の高い地下通路、しかも前後左右に道が通じている場所では方角を見失う。


「正面です!」


車二台がすれ違える道幅の地下通路、その奥の道から自動ライフルを持った男が現れた。


「下がっとき!」


高屋が、誠達を道の横に押し込んだ。

誠達が立っている場所もまた、十字路だった。


ぱん、と乾いた銃声が地下通路にこだました。


「高屋さん!」


誠は叫ぶが、高屋はすぐに通路に入ってくる。


「うち、へーきやねん」


高屋が着ていたグレーのナイロンジャケットには丸い穴が開いているが、高屋は服に手を突っ込み、潰れた弾丸を取り出して見せた。

円錐形の弾丸が、散々噛み捨てられたガムのように潰れていた。


「言っとくけど、物凄ー、痛いんやで!」


と、大きな目をグリンを回した。


「わ…、判ります。

ありがとうございました」


でも…、と誠は通路を出ようとするが、にぃ、と井口が笑った。


「あんなのは俺に任せろよ、病み上がりなんだから」


誠はコンクリートを透視していた。

井口の場合は、その必要すらない。

三羽のカラスの視線が、そのまま井口の視線だからだ。


ライフルを持ったスーツの男の左右から、影色の二羽の巨大な鳥が襲い掛かる。

こうしてみると、カラスというより猛禽のようだった。

決して貧相とは言えない鍛えられた男の片腕の長さと、黒い鳥の大きさは、ほぼ等しかった。


男はライフルを棒として使ってカラスを撃退しようとするが、背後に回り込んだ三羽目のカラスが、男の首を背後から嘴で刺し貫いた。


男は、砂袋のように倒れ伏した。


誠は唸った。

井口さんも、やはり手慣れた内調職員だった。

躊躇なく敵を殺していく。


誠は、結局ドールマスターを殺せなかった。

アクトレス教官は誉めてくれたが、これでは坊やでも仕方がない…。


レディは、三つの分銅を肩口から現し、内調本部への入り口の、分厚い鋼鉄の隔壁を、連続攻撃していた。

爆発は隙間なく、連続して巻き起こっていた。その背後には白髪の医師の姿の白人と車椅子に乗ったカブトが見守っていた。


ライフルを持った二人のスーツ姿の男が、井口に対抗するために倒れた仲間のところに走っており、その後ろから、大柄な、カウチンセーター姿の男がゆっくりと歩んでくる。


誠でも、このセーターの男が影繰りなのは、その余裕を持った歩き方から推察できた。


井口は、手慣れた動きで、二人の、おそらく無難な色遣いのスーツを着用してはいるものの、鍛えられた傭兵の類だろう、二人の男を三羽のカラスで葬り去った。


二羽が正面から男たちを襲い、そのうちの一人は、直進してきたカラスに顔面を突き刺され、倒れる。

もう一人は、カラスを避けて地面に伏せるが、三羽目のカラスが、その動きを読んでいて地面すれすれの低空飛行で男の頭を、ガッシと足で掴んだ。


男の首が、ぽきり、と草の幹のように軽々と折れてしまった。


強い…。


誠は唸るが…。


すぐ後ろで、カウチンセーターの男の体を、黒い影が覆い始めていた。


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