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シャドーダンス2 東京炎上作戦  作者: 六青ゆーせー
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69/166

69島

簡易パラボラアンテナを、美鳥の蝶は黒い塊に変えてしまう。


誠は敵に向かって走ったが、あっさり高屋に追い抜かれた。


誠は、あれ、まさか影の体を重ね忘れて走っちゃったのかな、と慌てたが、そんなことはない。

影の体を重ねて走っても、誠の100メートルのタイムは、ギリギリ14秒に収まるぐらいのものだった。

重ねないタイムは絶対に秘密だった。

因みにクラスでも一番遅い数人の内、一人であることは事実だ。

女子より遅いのだ。


「ぼん、下がっとき!」


高屋は言うと、叫んだ。


「おばちゃんを、なめんなっ!」


高屋が、膨らんだ。

ガスを入れた風船のようにまん丸く膨らみ、手足はおまけのようになる。


そのまま巨大な人間玉は、島に向かう橋の上を大きく跳ねながら一瞬で飛び越え、三人の男にぶつかった。


一人は3メートル以上跳び、池に落ちた。

もう一人は、地面に置いた機械の上に頭から突っ込み、機械を粉々に破壊した。

もう一人は、高屋の真下に押しつぶされて、土の地面に突き刺さった。


誠が島への端に辿り着くと、池から立ち上がった男が、スーツから銃を取り出していた。

地面なら、頭だけ出して埋めてしまうのだが、下が水のため、普通に埋めると死んでしまう。

敵の組織のこと、計画など、尋問が出来れば大いに助かるので、殺したくはない。


誠は、狙われた高屋を透過した。


男が銃を撃った瞬間、誠の影の手が男の襟首を掴み、引き寄せた。

男は銃を誠に向けるが、男の手から銃を透過させた。


手の届く距離に近づくと、誠は男の体に自分の手を透過して入れる。

喉には、食道があるとともに、気道も存在する。

物を食べるときには、この気道は蓋を閉めて、誤飲をしないようにする。

笑いながら牛乳を飲んだりすると、気道に牛乳が入るので、鼻から牛乳がこぼれたりするのだ。


その軌道を塞ぐ。


吉岡先生の受け売りだ。


心臓を掴むより効率よく、また動脈血の流れを止めるより危険性も少ない方法だった。


「がっ…!」


突然、息が出来なくなり、男は喘いだ。

誠に震える手を伸ばそうとするが、白目を剥き、男は、落ちた。


誠は池のほとりに首だけ出して、男を埋めた。


それから100メートル14秒で必死に走り島に渡ると、高屋が男と共に破壊した機械を、再度、影の手で叩き潰し、地面から伸びた細い線を発見した。


「それが言っていた有線?」


駆け付けた美鳥が話しかけた。


「迂闊でした。

あの時は、急いで蒼井聡を閉じ込めようととか、ミオさんをどうやって説得しようか、とか色々考えて、蒼井が線を引きずって歩いていたことなど、全く気がつきませんでした」


「気にする事無いで、ぼん。

沢山の大人が見ていて、誰ーれも気ぃつかんのに、良く、ぼん、気ーついたわ、偉いで!」


元の小太りに戻った高屋が、ニコニコと誠を褒めた。

誠は地面を透過し、影の手を驚異的な速度で動かして、線を巻き取った。


「これで情報の漏洩は無くなったわね」


美鳥の言葉に、誠は首を振った。


「本部はがら空きです。

皆、ムーンライト号にいるんですから。

今、本部を襲われて、コンピュータの情報を持っていかれたら同じことです。

だいたい、蒼井聡はスーパーコンピューターのすぐ近くにいるんですから…」


その時、どんっ、と地面が震えた。





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