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シャドーダンス2 東京炎上作戦  作者: 六青ゆーせー
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影の手の爆発

「ぼん、ほんま、もうええの?」


高屋は誠の心配半分、己の心配半分、といった調子で問いかけた。


誠たちはムーンライト号の船首に向かって歩いている。

勝鬨橋までは、2、300メートルぐらいだが、多くの船に反対方向に引っ張られているにも関わらず、船はジリジリと橋に近づいていた。

艦橋がぶつかるのは時間の問題だった。


報道ヘリも何機も飛ぶ中、誠たちは影を纏って歩いていく。


「はい。

吉岡先生に見てもらって、血液中の麻酔成分を影で消滅してもらいましたから。

今見ても…」


誠は自分の腕を透視した。


「…一粒…、二粒しか残っていません!」


「あるんやない!」


「どんな猛毒でも致死量以下では死にません。

この程度の量ならば、肝臓で普通に排泄できますよ」


「おトイレ行っといで!」


船首の柵を乗り越え、ギリギリ勝鬨橋までの最短距離まで進む。

まさに手が届きそう、ではあるが、まだ200メートル以上は離れていた。


誠の場合、透過で射程距離は30~35メートル、影の手なら25メートルというところなのだが…。


影の手には、もう一つの射程があった。


影がある限り、それを伝って這わせることができる。

とはいえ、無限には伸ばすことは出来ない。

頑張って50メートルというところか。

ちゃんと伸ばすならば、だ。


誠は、伸ばすのではなく、一瞬跳ばす、という技法をレディに教わっていた。

レディの爆発する分銅も、鎖の長さ分だけ、射程は30メートル、というところなのだが…。


「その分銅が爆発すれば、当然、火はもっと先まで飛ぶわけだ。

要はイメージってこと、判るかな、真面目君は?」


そう、言われた。


影の手は爆発しない。

しばらく誠は悩んだものだが、爆発させてみようか、とある時咄嗟に思い立ち、影の手を投げるイメージで、50メートル先で爆発させた。


隅田川の波頭の上を、無数の影が走っている。

稲妻のように50メートル飛ばされた影の手が、爆発した。


それは線香花火の一瞬の火花のように幾何学的な亀裂を空中に走らせ…。


誠は、美鳥たち3人を抱いて、勝鬨橋を掴んで空中を飛んでいた。


「ひえぇぇ!

飛んでるぅ!」


高屋は叫んでいた。

誠は疑問に思った。


「高屋さんって、降下訓練とか受けていないんですか?」


「誠。

あれは嫌なら断れる訓練よ」


美鳥が教える。


「うち、別にスカイダイビングは平気やねん。

自分のタイミングで落下傘出せば良いんやから、何も怖くないねん。

だけど…」


勝鬨橋の橋げたを影の手が掴むと、そのまま6本の手を出し、墨田川沿いを進んでいく。

誠は影の手を長く伸ばす練習がしたいため、200メートル先前後を掴んで、空中を滑っていった。


やがて浜離宮の上空を飛び越え、芝離宮を目指す。


「なんで、こんな地面すれすれを飛んでるの!

ぶつかりそうで怖いわぁ」


「影の手はいくらでも出せるんだから、ぶつかりそうになったら新しい手を出すんで、平気ですよ。

高度は、手を伸ばしているだけだから、これ以上高くは…」


頭上を報道ヘリが飛んでいく。


「あ、あれを掴めば、もっと高度をとれますが…」


「止めなさい。

どこに行くか判らないんだから。

もう、芝離宮は見えているわよ」


浜離宮を飛び越え、ゆりか過めを通りすぎると、もう芝離宮は見えてきていた。


「このまま、上空から降ります!」


芝離宮の池の中央にある小さな島。

そこに、パラボラアンテナが建てられ、数人の男たちが盛んに機械をいじっていた。





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