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シャドーダンス2 東京炎上作戦  作者: 六青ゆーせー
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下着

天井の工事用鉄パイプのようなものに、丸い何かが貼り付き、転がって前進していた。


どうも磁石を内蔵したボール、テニスボールかソフトボールほどの大きさの、黒いボールが、鉄部に貼り付いて、誠を見下ろしていた。


距離はおそらく20メートルほど。

落とせるギリギリぐらいだが、誠が躊躇するのは、このボールの意味が分からないためだ。


もし、例えば炸裂弾で、任意のタイミングで爆発し、しかも爆弾内に鉄片などを仕込んだものだった場合、誠は透過を敵に使っている最中に不意を打たれて無数の鉄片を体に受ける、等ということになるかもしれない。


あるいは、さっき天井を這い進んでいた巨大ハンマーの人形のように、誠を自動追尾する人形かもしれない。

あの大きさでは、そう幾つもの機能を持っているとは考えなくともよいのかもしれない。


もしドールマスターが、そこらじゅうのマネキンの視力を得ているのなら、ただ誠を自動追尾するだけのボールなど無視していてもいいかも判らない。


だが、爆発物、とか、中に化学薬品を内蔵している、等の場合、20メートルは薬物飛散の射程範囲かもしれないので、断していると酷い目に合う。

落とすタイミングを間違うと、逆に被害を受けることにもなりかねなかった。


女性ものの下着とは、なぜこんなに華やかに刺繍などをしているんだろう?


人形を気にしながらも、つい目の前の下着に目が行く。


ようはパンツじゃないか。

簡単に脱げて、2,3年も着て汚れたら捨てればいい、そんなもんじゃないのだろうか?


誠は、天井を転がるボールを気にしながらも、下着の壁を迂回した。


男物の衣類はないのかな?


別に寒さは感じないが、外は12月だ。

シャツと上着は欲しかった。


そして何より…。


これほど女性物の下着ばかり見ていると、下半身が気になってくる。


美鳥さんに見られたくない…。

あ、そうか…。


さっき、フロアの下に落ちた時、自分の透過能力の視力を使って、今のフロアを俯瞰してみることができた。


下から見ているので、俯瞰というのもおかしいが、そういう感じだ。

全体を捉えられた。


あれで全体マップを確かめよう。


誠は、落ちた。

ちょうど、ショッピングモールの1階と2階の間で留まる。


すると誠を中心に半径30メートルほどの周囲を見渡せた。

女性下着の壁の先には、12月というのに水着のコーナーがあり、その先にはスポーツ用品のコーナーにつながっていた。一番先に、男物のテニスウェアらしいものがちらりと見えた。


誠は、ファッションフロアに戻った。

透過したまま前進できればいいのだろうが、影能力も無尽蔵に使えるわけではない。


あまり使いすぎると、スポーツでパフォーマンスが低下したり、動けなくなったりするように、倒れたりするようだ。

誠は、まだそういう経験はしていないが、よく箱根駅伝でランナーが倒れているように、動けなくなったりするらしい。

透過と、影の体を、同時に使うのは、影操りにとって掛け算で体力を消費することなのだ。


スポーツのように、何分走った、と計算できない分、影操りの体力消耗は本人にも判りずらい。

移動は、影の体のみで行う方が無難だった。


下着の壁は、かなり先まで伸びていたので、誠は仕方なく壁を透過して先に進んだ。

先は、カラフルな原色に溢れた水着コーナーだ。


いきなり飛び込んできた色彩に目を奪われる刹那、誠の左横のマネキンの胴体が、ゆっくりと回転していた。




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