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シャドーダンス2 東京炎上作戦  作者: 六青ゆーせー
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54/166

54、影の体

カスッ、カスッ、という音がしている気がしていたが、あれは三輪車のペダルが動くたびに聴こえる、プラスチックのペダルの回転音だった。

子供の三輪車を利用し、完全取り付け型の自動人形になっているようだ。


見たところ駆動は後輪で行っており、サドルから外付けで長射程のライフル銃が、前輪ハンドルを支柱にして、誠に狙いを付けている。


そもそも大きく動けるような構造ではなく、早く動けもしないようだ。


だが、この三輪車ライフルは今、完全に標準を誠に合わせていた。


同時に、鶏は誠に突進しており、反対側のブースの影から、幼児人形はボーガンを構え、飛び出そうとしていた。


誠は、それらを影の目と透視を使って目視し、自分が、透過、で床下へ落ちた。


瞬間、銃弾は誠の隠れていたブースを吹き飛ばし、鶏人形は、反動で斜め上に吹き飛んだ。


誠は、影の手でフロアの下に掴まっていたので、すぐにフロアに浮かび上がった。

フロアの下にいれば、誠は透過の感知能力、透視で、フロアを俯瞰することが出来る。


今、気づいたが、実際にフロアにいるよりも、ずっと大きな視界が得られた。


誠は、鶏を水底に落とした。


残念ながら、ライフルは射程外だ。


ボーガンの幼児は、走り去っていた。


まずい!

美鳥さんの方に向かってしまう。


動きたかったが、誠は、今、止血状態で、動けば血流が盛んになり、止血が維持できなくなる。


あ、そうか!


誠は、影の足を出して、歩くことにした。


自分の体は、空中に浮かせる形になる。

丁度、影の体が、誠の首とお尻を持って、抱っこしているようなビジュアルになる。


普通の人が見たら、かなり異常な風景が見えるだろうが、この暗いブースでは判らないだろうし、そもそも無人の船だ。

気にすることは無い。


ボーガンの幼児を追う。


ライフルから遠ざかることになるが、あの仕掛けでは、そうそう動く標的に射撃などは出来なさそうだ。

誠自身、ライフルの操作も習っていたが、あの手のライフルの残弾は、十発以下だと思う。

あくまでスナイパースタイルの人形なのだ。


影の足は、誠よりずっと早く走れる。

影を重ねて十人並みだと、ずっと思っていたが、実は影の体は、もっと途方もない力を持っていたらしい。

考えてみれば、五人を抱えて船の壁を走っていたのだから、当たり前だ。


ま、でも重ねた方がいい部分もあるんだけど…。


誠は、この一か月で、かなり筋肉質の体になっていたし、実はタポタポしていたお腹も、微かに縦の筋が浮いていた。

影を重ねると、自分の体も使うので、疲れるし、筋トレにもなる、という事だ。


すぐに幼児人形に追いついた。

幼児人形は背中の弓をボーガンに装てんし、振り向き様、誠を撃った。


誠は、矢を透過し、幼児人形を落とした。


「止まりなさい…」


美鳥の声が、黒い蝶からしていた。


「まぁ、あなたなりにやったようね。

でも、こっちも、もう片付いたから、先に進んで。

この蝶に付いて行けばいい。


だけど、注意してね。

ドールマスターは、ピンピンしてるんだから…」


誠は頷き、黒い蝶を追って、ゲームブースの先、衣料店ブースに向かって歩いていった。

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