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シャドーダンス2 東京炎上作戦  作者: 六青ゆーせー
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44/166

44罠

美鳥は、吹き抜けを見上げながら、10羽の蝶を上階に飛ばした。

チラチラと、優雅に羽ばたきながら、影の蝶は吹き抜け2階に飛んでいく。


「いい?

ドールマスターにとっては、誠が一番ヤバい相手なの。

丹精込めて作った戦闘用の人形を30体も駄目にされたんだから。


ドールマスターは、直接、あなたの命を狙ってくる。

むろん、私の命も狙うわ。

それが、あなたへのダメージになることが判っているから。


もう、分かりやすいお人形遊びなんてしてこないわよ」


言いながら美鳥は、用心深くショッピングモール2階に向かうエスカレーターに歩いていく。


パン。


どこか遠くで、クラッカーが鳴ったような小さな爆発音が聞こえた。

誠は、思わず足を止めるが、美鳥が。


「動きを止めない!

全て、奴の陽動よ」


言いながら、エスカレーターに足をかける。


と…。


バンッ、と激しく火花が散り、エスカレーターが火を噴いた。


「美鳥さん!」


誠は慌てるが、美鳥は、エスカレーターの手前で立ち止まっていた。

蝶を、エスカレーターに触れさせたようだ。


「判るわね。

高圧電流を流していたわ。

完璧に殺しにかかっているのよ。

覚悟を決めて…」


言いながら、美鳥は、誠に、顎で2階を指した。

誠は、美鳥を影の手で抱えると、ひょい、と2階の渡り廊下に影の手で登った。


と…。


渡り廊下を彩っていた電飾が、突然、蛇のように鎌首をもたげると、誠に襲い掛かった。

予め、誠がその位置に立った時に電飾が切れるよう、仕込んだ罠のようだった。


誠の顔面に、ばね仕掛けのように電飾が飛んでくる。


息を飲みながら、誠は自分の顔を透過した。


電飾は、そのまま階下に落ち、噴水に触れると、ドンッ、と煙を上げて爆発した。


「まるでランボーが仕掛けた罠みたいですね…」


映画ランボーの第1作では、スタローンのランボーは、銃器を全く使わずに、ナイフや森の動植物だけで警官隊をせん滅していく。

後の戦争請負人とは、別人格だ。


「古い映画を知っているのね。

おそらくドールマスターは、幾重にも罠を仕掛けているわ。

気をつけるのはもちろんだけど、逆に、慣れないでね。

慣れた頃に、奴は仕掛けてくるわよ」


2階渡り廊下は、車がすれ違えるほどに広い。

豪華なグリーンのカーペットが敷き詰められ、森を歩いているように足に優しい。

廊下の先には、様々なゲームのデモ画面が映るモニターが並んでいた。


ゲームの購買ブースのようだが、日本の物とはセンスが違うようで、わざと暗くした店内に大画面が浮き上がり、ゲーム機にはスポットライトが当たり、そこだけ鮮明に浮き上がっていた。


とてもスタイリッシュで格好が良い。だが、この場合、暗いことが、ドールマスターに利するようにも思えた。


「行くわよ…」


美鳥と誠は、暗い中にゲーム画面が躍動する購買ブースに、ゆっくりと歩みを進めた。


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