43必ず殺す
「えっ、まさか見ていたんですか?」
驚く誠に、美鳥は。
「いちいち気を散らさない!
見てはいないわ。
状況的に、死んでいると考えるのが、一番合理的なだけよ」
美鳥は自分の周囲に数百の蝶を飛ばしている。
360°、死角はないようだ。
ぞっ、と誠の体に鳥肌が立った。
今まで、普通に話していた人が、もう、殺されているなんて…。
クリスマスソングが賑やかに流れ、ショッピングモールの道の先には大きな噴水が現れた。
中央に、サンタの大きな人形がにこやかに笑っており、上空、サンタを取り巻いてトナカイとソリが、クルクルとサンタの周囲を回っている。
噴水の上は3階上までの吹き抜けで、渡り廊下が各階に通っている。
色鮮やかなイルミネーションで、渡り廊下は煌びやかに装飾されていた。
ポップコーンまで人形として操れるとしたら、この周囲は、ドールマスターの陣地の中を歩いているようなものだ。
誠は、ポケットの拳銃に目を落としたが、美鳥はそれも見ていたようで、
「銃は取っておくのよ。
人形には効かないけど、ドールマスター本人には見せるだけでも効果があるのだから。
それにしても誠。
あなた、人を殺したくないらしいけど、今回はやってもらうわよ」
「えっ?」
「無論こっちで間に合えば、あたしが殺すけど、遊びであんたを連れてきたわけじゃないのよ。
今回は、ドールマスターが誰だか判ったなら、即座に殺すの。
落とせば下は海、とかヌルい事は考えないで。
57人を同時に制圧できる影繰りなのよ。
死ぬまでの何秒かでも、何人も余分に殺せてしまうの、判る?」
また、殺すのか…。
誠は、暗澹たる暗い海を、自分の精神の底に発見した。
ほんの一か月前、誠は同級の松崎颯太を、自らの手で殺していた。
中一の時、江古田のお爺ちゃんが亡くなり、中二では、クラスメイトが学校から飛び降り自殺をしていた。
なんだか、どんどん死が身近になるようだな…。
思いながらも、
「判りました。
ドールマスターだけは、即死させます。
影の手の射程内だったら…」
「そう言うのはいいわ。
出来るんでしょう?
海の下、地面の中に落とすことだって」
そこまでは考えていなかったが、誠は息の飲み、頷いた。
「出来ます。
ドールマスターを射程に入れた瞬間、僕は海の底に奴を沈めます!」
頼りにしているわよ、と美鳥は、真っ直ぐ前を見ながら呟いた。
ちょっと酷い風邪をひいてしまい、お休みしていましたが、今日から再開します。
よろしくお願いします。




