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シャドーダンス2 東京炎上作戦  作者: 六青ゆーせー
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36/166

36艦橋

ムーンライト号の艦橋は、一等デッキに付随する熱帯植物園のガラスの多面体の上に、白いアーチをかけるように融合している、最新鋭の電子機器を備えた、ビルなら5階分ぐらいはある建物だった。


「まずいぞ!」


井口は、誠の影の手の中で叫んだ。

鴉の視界で物が見えるため、井口は文字通りの鳥瞰視を備えていた。


「もう、勝鬨橋まで一キロもない!」


勝鬨橋は、隅田川にかかるもっとも外側の橋で、晴海埠頭と銀座を結んでいる。

船はどうやら、勝鬨橋に向かって進んでいるようだった。


誠は温室を登り、すぐに艦橋の白い外壁を越えて、180度の視界を持つ艦橋に全員で透過した。


最新鋭らしい機械がぎっしり並び、ちょっと宇宙船のような面持ちの、小学校の教室ぐらいはある部屋だった。

が、室内は…。


「無人ですね…?」


誠は、首を傾げた。


「さっきの放送、きっと艦橋からしたんだろう、と思ったんですが…」


吉井一曹が腕を組み、


「船は、様々な場所にマイクが敷設されているはずだ。

状況に応じて、艦橋と連絡を取ったり、スピーカーにして船に放送したりするために」


それは、ちょっと誠には思い至らなかった。


「だけどさ。

ここが空って言うのはどういう訳だろう。

操船はどうしている?」


井口が言うまでもなく、吉井一曹は機敏に操舵席に滑りこみ、スイッチをいじる。


「駄目だな。

自動操縦か、遠隔操作なのか、ここからでは船がコントロールできなくなっている」


「いやぁ、橋が迫ってるわぁ」


高屋が悲鳴を上げる。


「そうだ!

爆弾!

爆弾を探さないと!」


誠の叫びに、全員が室内を見渡すが、それらしいものは見つからない。


「最新の原子爆弾と言うのは、ちょっとしたポーチぐらいの大きさらしいからな。

ただ探しても、何かに偽装されていたら、とても見つからない。

食堂のリンゴの1つがそうだったとしても、半径数キロは吹き飛んでしまう」


吉井一曹が、様々な機械をチェックしながら言った。


「あれや! 小金井君、言うたっけ?」


「ああ。

彼なら!」


高屋の言葉に、吉井一曹が頷いた。

ポカンとする誠に、美鳥が、


「小金井君は、爆発物を探知できる影能力者なのよ」


「で…、でも、その小金井さんを探知できないと、すぐに橋にぶつかってしまいますよ!」


誠は叫んだ。

船と橋との距離は、何百メートルかに迫っていた。


そして、この180度視界の艦橋から見ると、勝鬨橋を完全に見下す形になっている。

一等デッキより上は、間違いなく橋にぶつかりそうだった。


「慌てることは無いわ」


美鳥は言って、スマホを取り出した。


「はい、アクトレス教官。

現在、あたしたちは艦橋にいるんですが…」


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