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シャドーダンス2 東京炎上作戦  作者: 六青ゆーせー
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28/166

28作戦

一方、蒼井聡が作業服の男、緑川と交渉している間に、誠は、ミオと手を繋いだ時に、ミオの体に移した影の手をミオの耳元に這わせた。


「ミオさん。

いったい何があったんですか?」


ミオは囁いた。


「カブトが怪我をしているのは君も見ただろう。

あれは、後、何日持つかも判らない重症なんだ。

レディはカブトの傷が癒えるまで、カブトに寄り添う気でいる」


「僕の方は、あなたと同席していた医師が、催眠術の影能力を持つ影繰り、マッドドクターだと、ほぼ断定しました。

ミオさんたちは、催眠術にかけられていた可能性があります」


「なんだって!」


ミオは、思わず大きな声を出しそうになった。


あの、レディの態度。

確かにおかしいことは沢山あった。

だが…。


「我々はカブトの傷を実際に見たんだ。

人工皮膚に包まれているが、皮膚の大半を失い、内臓が飛び出していた。

とても作り物には見えなかった」


「その時の様子を詳しく教えてください」


ミオは話した。

医師が点滴を直し、針を弄ったため、痛みでカブトはカードを落としてしまった。

その後、蒼井人工皮膚をペラペラとめくり、内臓が露出した無残な姿が現れた。


「マッドドクターの催眠術は、光が関係している可能性があります。

その時、何か、光はありませんでしたか?」


ミオは考えた。

デュエルルームの照明はカードテーブルの真上にあった。

確か、医師が点滴を直した時、何かが光ったような気もするが…。


「そんな気もするが、ハッキリとは覚えていないな…、すぐ前の事なのに、変だが…」


戸惑うミオに、誠は話しかける。


「すぐに僕でも指摘できる問題点を言ってもいいですか?

まず、着脱可能な人工皮膚というのは聞いたこともありません」


「最新技術だから、見たことは無いだろう、と言いていた」


「そうですか。

でも、いくら最新技術でも、無菌状態の部屋ならともかく、デュエルルームで、いきなり皮膚をはがす、と言うのはどうでしょう?

雑菌が体内に入り放題ですよね?

感染症の恐れは無かったんでしょうか?」


ミオは、はた、と気づいた。

それは確かにおかしい…。


「もう1つ、あります。

皮膚から人工臓器と肝臓が露出していて、その上にオシメをしている、と言いましたよね。

しかもそのとき、おしっこをしていた?

尿が体内に入ってしまいます。

せめて陰部に管を入れて、尿が入らないようにするのが本当じゃありませんか?」


ミオは愕然とした。


そうだ! 全くおかしい!

オシメはあり得ない。

なぜ、こんな初歩的なことに気が付かなかったんだ!


「催眠術です。

気づかないまま、影能力にかけられていたんです。

恐らくカブトさんは健康体でしょう、点滴は生理食塩水か何かですよ。

術を解く方法が分かればいいんですけど…」


誠は言い、ともかく、こんな茶番をする必要は無くなった、と呟いた。


金属製の重たいドアが開き、若い職員がノートパソコンを持ってきた。

作業着の緑川の前に置く。


「ほら、若いの。

お望みの機械だ…」


言うと、若い職員と共にスタスタと部屋を出ていった。

誠はいきなりミオの胴体を影の手で掴み、叫んだ。


「昇ります!」



天井から影の手が伸びて、誠の手を掴み、ぐいっ、と引き上げていく。

蒼井が異常に気が付き、立ち上がった。


緑川と若い職員はドアを閉めると、鍵をかけた。


誠とミオも天井に消えた。


1階上の広い部屋には、永田や美鳥が待っていた。

誠は、美鳥の蝶と交信して、蒼井聡を絶対に出られない部屋に閉じ込める作戦を立てたのだ。


部屋の防犯カメラには、閉じ込められた蒼井聡の荒れ狂った姿が映っていた。


「ちょっと待ってくれ!

蒼井は爆弾のスイッチを!」


ミオが取り乱すが、美鳥は言った。


「鬼太郎君曰く、カブトを殺すはずがない、そうよ。

だいたい、無線なんて、この地下では通じていないわ」


「実際、水上バスは、今も無事だよ」


永田はハハハ、とさすが鬼太郎君だ、と笑った。


ミオは頭を抱えた。


「まだ、僕は催眠術にかかっているのか?

確かに爆弾など、誠君が来るまで一言も話していなかった。


それに…、思い出せないんだが、鬼太郎って、誰なんだ!」



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