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シャドーダンス2 東京炎上作戦  作者: 六青ゆーせー
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25/166

25乗船

竹芝桟橋で陣頭指揮を執っているのは牧瀬三等陸尉だった。

報道などは完全にシャットアウトしていたが、空と飛ぶヘリまでは追い払えない。

空には10機を超えるヘリコプターやドローンが飛び回っていた。


「お、やっと鬼太郎君の登場だ」


「へ?

何ですか、鬼太郎って?」


「永田さんが、坊やをそう呼べって言っていたぞ」


誠は、はぁ? と首を傾げた。


「綽名が欲しいって言っているって、永田さんに言ったのよ」


と、美鳥は、少々意地悪げに言った。


「しかし、どうして鬼太郎なんだろう?」


ガハハ、とアクトレスも笑った。


「あのオッサンも古いからな。

まぁ、単身敵に乗り込もうという、お前の根性を褒めてるんだろ。


誠、本当に一人で乗り込むんだね」


「はい。

たぶん、ボディガード的な人を付けると言っても拒否されるでしょう。

敵の目的が遅延行為だったら、ダラダラ交渉を長引かせる分、敵が優位に立つはずです」


牧瀬三等陸尉が声を張り上げた。


「よし、鬼太郎君が乗り込むぞ。

銃などを持っている可能性もあるから、皆、気を付けろ」


誠は、手を上げて水上バスに近づいていく。





「ほら、見えるかい恭平。

あれが、何でも擦り抜けられる防御不能の影繰り、小田切誠だよ。

あいつがいれば、お前の怪我なんて、すぐ治るんだからな」


レディは、45度にリクライニングさせた車椅子に、苦し気に座った双子の弟に教え、指を差した。


恭平は、首を転がすように振り向き、窓から少年を見た。


「なんだ。

子供っぽい奴だな。

それに学校の制服にジャージのズボン?

何県の学生だよ…」


弱々しく、恭平は言った。


「あれで恐ろしい奴なんだよ。

遠くにいれば落とされる。

近づいたら心臓を手掴みだ。

俺の振り子だって、奴を素通りしちゃうんだ。


奴の唯一の欠点は、影繰りになった時に、友達を殺しちゃったとかで、人を殺せない事だけだな。

自分を襲ってきた影繰りを生かしていたものだから、早速情報が漏れてしまったんだ。

まぁ、それでお前が助かるんだから、神の祝福とも言えるけどな」



歌うようにレディは呟いた。


「ふーん。

強いんだな、あいつ。

でも、俺の地雷なら、きっと奴を吹っ飛ばせるよ…」


レディは、恭平の髪を自分の指で梳いて、顔を近づけた。


「そうだな。

お前の体さえ治ったら、誠にも勝てるよ」


ミオは、車椅子から離れた船室の一番後ろの壁にもたれて、そんなレディを眺めていた。

あの体は、確かにショックだった。

ミオも、もう心を決めている。

だが、今のレディは普通ではない。


確かに兄弟、しかも双子の兄弟があんな状態では、レディが必死に慰めるのは判る。

だが…。


何かが違う。

なにか、微かな違和感が拭えなかった。

なにかが、おかしな方向に転げ落ちていこうとしている…。

だがミオにも、それが何なのか判らなかった。

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