24バイク
ハーレーダビットソンは車の間をバンバン抜けて、遅い車は容赦なく影の手で弾き飛ばした。
若葉マークの軽トラが、交番に突っ込んでいく。
可哀そうに、只じゃ済まないな…、と思いながら、誠はアクトレスの胴体に、きつく抱き付いた。
初めは遠慮して腰を持っていたのだが、アクトレスが車の隙間にグイグイ入り込んでいくので、突然、横Gがかかり、吹き飛ばされそうになり、慌ててしがみついてしまった。
バイクは、カーブでは膝が付きそうなほど傾き、ほとんど減速せずに曲がっていく。
アクトレスは、どうやらそこで車を抜くことを楽しんでいる様子だ。
直線では、あみだくじのように車の間に入り込み、常に車体は左右に傾いている。
後ろを追いかける美鳥が心配だが、振り返る余裕はない。
急にアクトレスは喋り出した。
身体を密着させているので、誠にも話が伝わる。
「なに、一瞬だけ姿が見えた、だと。
どんなだ?
白い背広を着た白髪の白人?
すぐ本部に戻り、似顔絵を作ってくれ。
多分、昔のマッドドクターの写真と整合するだろう。
よくやったぞ、青山」
一旦電話を切り、また、アクトレスは喋り始める。
「暗いスナックで、岩井の煙草に、白い服の白髪の白人が、マッチで火を点けたんだそうだ。
火が消えると同時に、岩井の記憶も消し飛んだらしい。
どうやら光と催眠に関係があるのは確からしいな。
今のところ、これが限界だ。
だが、あたしも聞いたことがあるだけの古い影繰りだから、微かでも記録が残っていればありがたい。それは本部で調べてもらおう」
永田を呼び出し、マッドドクターの依頼をしている内に、バイクは竹芝桟橋に到着した。




