15質問
レディは、カブトの戦略に思い至った。
森の魔術師、を中心とした墓地から魔法カードを使おうとする戦略だ。
これをされると、さすがに呪いの人形の、魔法を使えなくする、効果も威力は何分の一かに減少してしまう。
と、なると、後は場を水地形に変更する数々のカードのどれかを使い、青大将の防御されない攻撃で攻め切る腹なのだろう。
さすがにレディも、水地形に対応するカードは持っていなかったので、なんとか魔法カードの発動を阻止したかったが、妖怪の特殊効果で召喚されると、対応しずらい。
だが、問題の妖怪を墓地に落とす、ことはそれほど難しくなかった。
森の魔術師のタフネスは一。
愉快なピエロで落とせるからだ。
思っていたレディの目の前で、カブトは聖なる泉を場に出した。
呪いの人形の効果で全ての魔法は封じられていたが、アイテムは常に場に出せる。
場に出た時に効果を発揮するアイテムもあったが、聖なる泉はシンプルなカードだ。
タップすると、プレイヤーか、妖怪のダメージを2まで回復する。だが、回復量がダメージを上回ることは無い。
ようは、森の魔術師を守りに来たわけだ。
レディは、ブリキの兵士を場に出した。
エレベーターや、子供の多いデュエルルームには防犯カメラが付いているが、他は警備上重要な何か所かに付いているだけで、そこに個室デュエルルームは含まれていなかった。
「直接、水上バス乗り場に出られる出口は無いんですか?」
誠は尋ねた。
白髪頭の警備担当が、愛想よく教えてくれた。
「エレベーターの横が防火扉になっていましてな。
それを開けると、真っ直ぐ水上バスに乗り込めるようになっとります。
以前はゲームのレセプションなどで、よく開けたもんですよ。
最近では、去年ナイト&マジックのスマホ版発売で使いましたかな?」
「もし、個室デュエルルームから、そこに出るとしたら、どんなルートが考えられる?」
アクトレス教官が聞くと、警備担当は指を差す。
「ほれ、そこのエレベーターに出ますから、この出口から奥に進めば乗り場に降りられますよ」
「すると、警備員さん以外には、誰にも見られないで水上バスまで行けるんですか?」
「そうですねぇ。
人に見られたくない方なんかは、よく両国橋横の川沿いに降りて、ここから個室に入ったりしますな。
何年か前に、ほれ、スパイ大作戦の映画に出た…。
誠と美鳥は首を傾げるが、アクトレス教官は、トム・クルーズと言い当てた。
「そうそう。
あの人もここを通って個室に行きましたよ」
誠は、アクトレスの耳元で囁いた。
「青山さんに、このお爺さんを見てもらった方がよくないですか?」
内通者ねぇ…。
アクトレスは老人を眺めた。
とても、そうは思えない。
むしろ、簡単な偽造書類でもフリーパスで通してしまうのではないか、と思えた。
「今日の九時半~十時ぐらいの間で、誰か、ここからエレベーターに乗りましたか?」
誠の方は、勢い込んでいた。
「そうですな…」
老人は、指をぺろりと、舐めると書類を捲って。
「郵便配達が六人、あとは…たのめーるの配送業者が三人、ぐらいですな」
「ここから入ったんじゃないのかしら?」
美鳥は首を傾げるが、誠は続けた。
「荷物なんですが、一人がけの椅子とか、車輪なんかはありませんでしたか?」
「ああ。
たのめーるです。
椅子と大きな段ボールを、三人で運んでいました」
三人は、顔を見合わせた。
「それだとすると、どういう事?」
美鳥の問いに、ただ頷いて、誠は質問を続けた。
「誰が、そのたのめーるを依頼したのか、判りますか?」
「総務の岩井部長に電話確認を取っとります。
間違いありませんわ」




