14突入
呪いの人形、をヨシオドールに装備させたレディは、改めて手札を見た。
打ち消し呪文が三枚、それに防御に特化したアーテイファクト妖怪、ブリキの兵士がある。ブリキの兵士は、一/四でコストも安く、レディのデッキの防御の要だ。
呪いの人形と一緒に出すことも出来たが、それだと、レディに不利なカードを相手が出した時に、打ち消し呪文が使えない可能性がある。
一ターン辛抱することにして、レディはターン終了を宣言した。
カブトの番だ。
ここで呪いの人形の効果で、レディの持っている妖怪分のダメージ二が発生した。
レディは反射の鏡の効果を使い、ダメージをカブトに反射させる、と宣言した。
その時、カブトは変容の壁を能力を使った印にタップした。
変容の壁は、プレイヤーを標的としたダメージを、クリーチャーに移し替える特殊効果を持っている。
普通は変容の壁、自身がダメージを受け止めることが多いのだが、カブトは青大将にダメージを受けさせた。
青大将は再生を使い、タップした。
レディは、愉快なピエロ、をタップさせ、青大将に一のダメージを与えた。
青大将は死ぬ、かと思われたが、カブトは森の魔術師をタップさせた。
魔法カード、回復を発動させ、青大将を回復させる。
レディは、魔法カードは、呪いの人形、の影響下で使用できない、と言おうとしたが、気が付いた。
森の魔術師は、二つの特殊効果を持ち、どちらか一方を選び、使える便利な妖怪で、その一つが、コストを一出すこと。
もう一つは、自身の手札を一枚捨てることにより、墓地のカードを使用できる、という特殊効果だった。
カブトは、自分の手札の回復を捨て、墓地にある回復を魔法としてではなく、妖怪の特殊効果として使ったのだ。
にやり、とカブトが苦しげに笑った。
してやられた、とレディは舌打ちをしたが、考え直した。
どの道、墓地から使用したカードは、ゲームから除外される。
もう二度と使えないのだ。
次のターンは、同じことは出来ないはずだった。
アクトレスを先頭に、誠と美鳥もKCジャパン本社ビルに乗り込んだ。
入り口は、総ガラス張りの三階までの吹き抜けになっていて、天井に大きなシャンデリアがかかっている。
これが、その昔、KCジャパンが一部上場企業になった元を築いたアニメーション、スペースバトルシップのデザインを取り入れているのは有名だ。
何度来ても、誠はシャンデリアを見上げてしまう。
一階からだと、第三艦橋しか見えないのが残念だ。
アクトレスが受付で、一等陸尉の三つ星の階級章を警察手帳風にしたものを見せて、警備担当者を呼び出す。
二人の子供を連れた革ジャンの大柄な女が、軍の階級章を出したのだから、受付の女性も、かなり戸惑った様子だ。
受け付が混乱している間、手持ち無沙汰の美鳥に、誠はシャンデリアの話をした。
「おー、これ、大和かぁ!
そういやぁ、そうだな!」
喜んだのは、アクトレス教官の方だった。
何でもブームの当時、徹夜をして映画館に並んだそうだ。
えっ、アクトレス教官って何歳? と、誠は戸惑った。
「弟が見たがってねぇ。
そのくせ、始まったらスヤスヤ寝ちまいやがって、周りはムサいオタクだらけでよぅ!
ん、今、オタクとか言わねぇのか?」
アクトレス教官が弟話を始めると長い。
戦場話は、もっと長いのだが…。
やがてオタオタと太鼓腹の偉い人と、制服姿の警備担当が現れた。
「内調の山岸一等陸尉だ。
このビルの七階のデュエルルームって言うのか? を、凶悪犯罪者が使用しているのが確認された。
強力を願いたい」
背筋を正して、アクトレス教官が、有無を言わさぬ迫力で、ホールに声を響かせた。




