13張り込み
カブトの戦略はこれか?
レディは手札を見ながら考えていた。
カブトは、緑の妖怪、青大将を出してきた。
これは場の地形が水であれば、無条件で敵を攻撃できる、水渡り、を持っている。
しかも特殊能力、再生を持っているため、なかなか潰しずらい、嫌な小型妖怪だ。
ただ、レディの側には愉快なピエロ、が出ている。
相手のターンエンドで、一ダメージを与え、再生を使わせて、自分のターンになったら、もう一回攻撃してやれば、タフネスが一しかない青大将は葬り去れる。
打ち消し呪文を使うまでもない。
だが、こっちは小学生当時のままのデッキ、向こうは当然、それを頭に入れた上で、新たに組んできたデッキだ。
それほど簡単に除去されないだろう。
たぶん、森の静寂、が入ってくるはずだ、とレディは考えた。
森の静寂は、全てのアーティファクトを破壊する魔法カードだ。
おそらく、そのために組んできた緑デッキなのだろう。
主力がアーテイファクトのレディのデッキには、これは手痛いダメージになる。
決定打になってしまうかもしれない。
だが、カブトは知らないだろうが、恭平がカブトになってからも、レディはクラスでヨシオドールを遊んでいた。
そしてフォトンの杖をデッキに組み込んだ。
これはレディのような遅いデッキは、持っていても当然な便利なカードだ。
使い終わって捨てられた、通称、墓地にあるカードを山札に戻すのだ。
つまり、一度、森の静寂でアーティファクトを墓地に送られても、レディにはまだ勝機があった。
カブトとなって、仲間と遊ばなくなった恭平は、それを知らないはずだった。
カブトは妖怪で攻撃せずにターンエンドを宣言した。
レディは一枚、山札を巡った。
引いた!
呪いの人形、だ。
いよいよ、レディの攻撃が始まった。
ハーレーダビットソンとカワサキNINNJA400Rは、KCジャパン本社に向かった。
敵がダンサーチームを捕獲して水上バスを占拠するならば、相応の人員は配置されているとみるべきだった。
さらにKCジャパンにも内通者がいると考えて間違いない。
「中の状況は判らないんですか?」
KCジャパンから少し離れた向かいのビルのオフィスの一室が、現在、現場指令所になっていた。
オフィスの小さな一室を借り受けただけだが、本社ビルはよく見える。
だが、残念ながらKCジャパンの本社ビルに隠れて、水上バスの乗り場までは見えなかった。
「今のところ、内通者に気取られるのを考え、KCジャパンに直接連絡は取っていないよ。
だけど周りの防犯カメラから、九時四九分にミオの車がKCジャパンに入っているのは確認されている。
さらにビルに配置したスナイパーのスコープで、個室で車椅子の人間と、多分レディらしい少年がゲームをしているのを確認した。
隣りにミオもいるようだね」
アクトレスは、スラスラと状況を説明した。
全て、頭に入っているようだ。
「坊やは水上バスを押しているが、KCジャパンには屋上ヘリポートもあるし、無論、駐車場もある。
今のところは三つとも警戒対象だ」
「レディを確認しているのなら、相手の出方待ち、ってことね。
いつ動くのか、問題はそこね」
「内通者がいるのなら、KCジャパンに乗り込むのも手ですよね。
向こうは動いてくれるでしょう?」
誠も口を挟む。
「こっちから動いて、向こうを慌てさせるか。
それでカブトが、本当に病気なのか判るかもしれないね」
「レディとミオを人質に、立て籠ることも考えられるわ」
美鳥の言葉に、誠は。
「それなら、相手が動けないように周りを固めてしまえば、逆にやりやすいと思います。
もちろん、ダンサーチームの身の安全は考えなければなりませんが」
「人質なら、逆に、そうそう傷はつけないか。
動いてみるか」
アクトレスは頷いた。
、




