↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シャドーダンス2 東京炎上作戦  作者: 六青ゆーせー
PR
137/166

137作戦

「取り敢えず上に逃げましょう!

虫は強力ですが、小さい分、移動力は高くないはずです!」


誠は、奥に見える階段に急いだ。

が、盛大にすっ転ぶ。

軽金属の床が、まるでシンバルのように激しく鳴った。


誠は慌てて足を見た。


「太ももの裏の方に虫がついているようです!」


どーれ、見せて見ろ、と井口が誠のズボンを問答無用でずり降ろした。

太ももの裏、尻に近い辺りに一匹の影の虫が貼り付いていた。


「ほら、取ってやったぞ」


井口は言うが、誠は涙目で。


「…井口さん、僕、美鳥さんに見られちゃいました…」


美鳥は背中を向けていた。


「井口君、するなら、するって言ってからやってくれる!」


ああ、と井口は笑うが、


「こんな白パン、見たって、どって事無いだろうが」


誠は慌ててズボンを引き上げながら、


「これは色は白ですけど、ちゃんと1枚売りの奴で!」


「あー、3枚500円とかじゃないんだぞ! って事か。

まー、白って、誠っぽくて良いとは思うけどな」


「僕っぽいって、何です!

坊やって事ですか!」


つい逆上して誠は叫んだ。


「しかし、それより、なぜ2度とも誠が虫に襲われたんだ?

虫は、狙って動ける奴なのか?」


と、井口は周囲に視線を走らせた。


上階への階段までは、あと20メートル程だろうか。

フロアーの幅はほぼ均一、ぼんやりと外光を受け光る壁からガス室の吹き抜けまでの距離は30メートル前後のようだった。

天井にはささやかなLED灯が付けられ、ぼんやりとした光をフロアー全体に降り注いでいた。


床には、赤いカーペットが張られ、足音は抑えられている。

ただ走ろうとして転んだりすると、床はただの1枚の軽金属の板なので、さっきのように音が出る。

天井は、まあクラスで高くも低くも無い井口が手を伸ばして、ぎりぎり届かないほどの高さだ。

電車ぐらい、かもしれない。


「確実に迫ってきているわね…」


美鳥も、戦闘モードになって、顔を引きしめた。


誠は、


「登ります…」


呟いて、井口と美鳥を一本づつ影の手で持ち、もう一本の影の手で天井を透過して登った。


そこはブルーのカーペットのフロアーだった。

壁の硬質プラスチックが曲線を描いてすぼまっているので、下のフロアーよりは狭い。


「誠の推理では、直接攻撃は虫の影で、その後、姿を消すのが三人目の影繰り、で良いのね」


「全て推測です。

虫に第2の力があり、それがレディさんたちを隠しているのかも…」


「だが俺も、なんかもう一人いるっぽい感じはするぜ。

虫は動けなくはするが、息の根は絶てない。

普通、殺し役は用意するもんじゃないか?」


「そうね…、

そう想定しておいた方が確実でしょうね」


美鳥も頷いた。


「俺の考えだが、虫は多分、誠を狙っている。

たぶん誠を潰したら、第3の影繰りが登場すると思う。

どうだ?」


井口は声を潜めた。


「可能性は高いわね。

特に蜘蛛女を倒した事で、警戒は更に上がったでしょうね」


美鳥も囁く。


「…つまり、僕に虫が押し寄せる、と…」


誠も、微かに話が見えてきた。


「そうだ。

だから俺たちは距離を取って、何とか虫使いを探す」


はぁ、と誠は溜め息をついた。


「その間、僕は逃げ回るんですね?」


ニッコリ笑う井口と美鳥に、信用します、と囁くと、誠は走り出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。