本当の目的
いつも読んでいただき、誠にありがとうございます。
正月は仕事だったので明日から僕は冬休みです!
奈良に行ってきます。
再開は18日の予定です。
宜しくお願い致します。
「三人目の影繰り?」
おうむ返しに井口が叫んだ。
「そいつがダンサーチームを倒した、って言うのか?」
「おそらく、虫がほぼ行動不能にしたのではないでしょうか?
しかし、虫にミオさんたちを消す力はない。
今、現にどこにも見当たらないのだから、何かの科学的な仕掛けがあるのか、もしくは3人目の影繰りがいることになります」
「科学的な仕掛け、って言う方が易しそうだけど、誠の透視で見つからないのなら3人目の敵、でしょうね…」
美鳥が唸った。
「それは4人を消す能力なのか?」
「消す、のでしょうか?
例え透明にしても美鳥さんには判るのでは?」
誠の問いに、美鳥は頷いた。
「匂い、温度、そう言ったものが健在ならば…、判るとは思うわ…。
今はまだ、隈なく探し切ってはいないから何とも言えないけれど…」
言いながらも、美鳥の蝶は硬質飛行船の内部を無数に飛び回っている。
一方、井口のトンビも、1回目のトレースが終わった瞬間から、二度目のトレースを始めている。
それで偽壁作りを見つけたのだから、むろん、二度でも三度でもするつもりでいた。
誠も透視を精一杯使って、隠し部屋の存在などを探しているが、実りはない。
「虫がいるから下に降りられないし、レディたちはいなくなるし、全く動きが取れないよな…」
井口は途方に暮れたように言った。
事実、硬質飛行船(仮)ハンペンは、着実にムーンライト号を目指していた。
誠は、不意に息を呑む。
「もしも…。
もしも今の状況で、大量の虫がムーンライト号に放たれたら…、内調の影繰りは、ほぼ全滅なのでは!」
なっ、と井口が叫び、誠を振り向いた。
「バ、馬鹿な!」
美鳥は唾を飲む。
「とにかく連絡をするわ…」
と、スマホを取り出すが…。
「圏外って、お年寄りが言う事があるけど、本当にあるものなのね…」
え、と誠と井口もスマホを出すが、電波がない、との表示が画面に浮かんでいた。
「え、という事は、奴らの狙いとは、このままムーンライト号に接触し、動けなくなる虫を大量にバラ撒いて内調を制圧する、ってことなのか?」
「だとしたら、マッドドクターの意図も判ります。
今はカブトの頭部を交渉材料に時間を稼いでおいて、このハンペンが船に接触し、影繰りが全て行動不能になってしまえば、後はゆっくり電磁波爆弾だろうが、個人情報だろうが、核爆弾だろうが、想い通りにすれば良い訳です」
美鳥が唸った。
「もしその通りならば、あたしたちがするのは捜索ではなくて、脱出なのではないかしら…」
誠達は視線を交わした。
と、急に(仮)ハンペン、がぐらりと揺れた。
「なんだ、風か?」
井口は、よろめいて中腰になりながら慌てた。
誠は、透視をして外を見た。
「どうも、僕らの言葉はスパイされているみたいです。
ハンペンが、急上昇を始めました」
「上昇すると逃げられなくなるの?」
美鳥は首を傾げた。
「僕の場合、決して飛んでいる訳ではないので…。
影の手が届かなければ、ただ落ちている事になります。
むろん、運を天に任せて、飛び降りることもできますが…」
「しかし、高度が上がった分だけ、ムーンライト号への到着は遅くなるわけだ」
井口は気がついて指を鳴らすが、
「そうです。
でも、虫も第三の影繰りも…」
誠が話し、美鳥が引き継いだ。
「あたしたちを潰しに来るわね…」




