124爆弾探し
誠は、五人を影の手に包んだまま、基地から浜松町の古びたビル街に、そして近辺では一番高いガラス張りのビルに影の手を飛ばし、ギリギリから手を爆発させて広げ、一瞬で飛び移った。
おおよそ、地上20階ぐらいのビルの屋上部に誠は仲間を下した。
空は嘘のように晴れ渡り、青が濃い。
雲は輝きながら、南の空に急かされたように飛んでいく。
12月、木枯らし1号が吹いてから、まだ間もない。
「思うんです…」
呟くように誠が言った。
「僕が見た時、カブトさんは手術をされたようには見えなかった…」
硬質飛行船は、雲よりも眩しく白く輝きながら、今しも浜松町上空を飛行しようとしていた。
「誠、今、そんなことを言ってる…」
美鳥が口を挟むが、レディは頷づいた。
「そうだ。
俺はずっと恭平の傍にいたんだ。
あの時、恭平は手術なんてされていなかった。
手の感触で判るだろ。
頭を撫でていたんだから。
恭平の髪だったし、恭平の匂いがした。
あの時、恭平は手術をされていない」
「だがそれでは、カブト君は内調の地下室で施術を受けたことになるぞ。
あそこにそんな設備は…、一つしかない…」
ミオは戸惑った声を出した。
内調で医療設備が整っている、と言ったら、吉岡先生の医療ラボしかありえなかった。
美鳥は、硬質飛行船を見上げながら、
「電話してみるわ。
だけど戻るとか、意味ないわよ!」
強く念を押しながらスマホに耳をつける。
永田に、内調の地下のどこかで手術をした可能性がある、と告げると、
「ああ。
今、連絡しようと思っていたところだ。
マッドドクターの奴が、カブト君の頭部を持っている、ここから出したら引き渡す、と交渉をしてきているんだ」
スピーカーホンで誠達も聞いていた。
「あのキ〇ガイ博士め!
ふざけやがって!」
レディは床を蹴るが、永田が、
「レディ、交渉はこっちに任せてくれ。
カブト君の頭は、必ず取り返す。
君達は飛行船に集中するんだ」
6人は、北風にあおられながら、しばし無言だったが…。
「レディ、行けるか?」
ミオは聞いた。
「…ああ、大丈夫だ、あんな飛行船なんて、すぐ吹き飛ばしてやる」
「あかん、レディちゃんは爆発させないように気張ってや。
何処に爆弾、入ってるか判らないのやで」
高屋の言葉に誠は、
「確か吉井一曹が教えてくれましたね。
最新式の核爆弾は、リンゴ一つぐらいの大きさだって…」
「そうや。
ついうっかり、なんて言ってたら、下は1300万人が住む都会なんやで」
「だがどうするか?
そんな小型の原子爆弾を発見できるだろうか?」
ミオは唸る。
あ、と誠は叫んだ。
「小金井さんなら爆発物が判るって!」
「小金井君は、たぶん…」
ミオは隅田川の上流に目を向けた。
「ムーンライト号の中、だろうな…」




