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シャドーダンス2 東京炎上作戦  作者: 六青ゆーせー
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111/166

111正面

どの程度の力の影繰りなんだろう?


井口は無言で、出現した壁を睨みながら考えていた。

壁は、こうして間地かで見ても、何の違和感もない。

煤けた壁面、配線コードは横の通路から繋がっているように見えるし、よく分からない壁面パネルが幾つもついていて、さらに壁上部に小さなLED灯まで設置されていて、その煤けた光り具合まで、まるで周囲と同じだ。


壁の出来栄えに感嘆しながらも、井口の3羽のトンビが新しい立体地図を作り上げている。


どうやら、俺の前だけに壁が生まれたらしい。


敵は、井口と高屋の力を天秤にかけたのではないか。

そして、まず、最初に潰すべきは井口の能力、と見定めて、井口の前に壁を作ったのだ。


確かに高屋一人では、この本物と区別のつかない壁の作り手を相手に、成す術がないだろう。

井口だから、敵が移動したことも察知できたのだ。


移動…。


そうだ!


井口は気付いた。

もし、無限に構造物を作れる能力者だったら、井口でも判らなかったかもしれない。

だが、敵は移動をした。


パイプから、段ボールへ。


およそ廊下を歩いたとしたら数十メートルの移動だった。


パイプを消さずに段ボールが作れれば、井口でも判らなかった。

だから、そこは力の限界なはずだ。

仕方なく、パイプを消したのだ。


高屋が、標的になることを警戒して移動し続けたのが功を奏し、この偽壁つくりは、移動せざるを得なくなったのだ。


段ボールが消えているのをトンビが確認した。


移動だ。

今度は、およそ百メートル。


前の移動が、擬態を維持しながらの、ゆっくりした移動だったとすれば、今回はおそらく、能力を解いて走ったのではないか。


前回の三倍以上を、偽壁作りは動いたことになる。


その間、井口たちは何をしていたか?


高屋と話し、高屋はこのフロアーのどこかに必ず敵がいる、と言い、井口は再度トンビを飛ばした。

そしてパイプが消え、段ボールが出現した、と話し、高屋が出撃した段になって、おそらくは壁が出現したのだ。


話を聞いていたのか?

もしくは高屋が戦闘状態になったのを見て、慌てたのか、とにかく偽壁作りはこちらの行動に合わせて動いてきた。


だが、なんで…、という疑問も残る。


偽壁つくりには、あの強化服があったはずだ。

あれを使えば、高屋と井口ぐらいは、まとめて葬り去る事が可能だったのではないのか?


強化服を使うまでも無い、と考えているのか、もしくは使いたくない理由があるのか。


まぁ、確かに…。


井口は腰のホルスターから小型の拳銃を取り出していた。


俺相手なら、強化服を使うまでも無いのかもしれない…。


今、井口のトンビたちは、周囲を探りに行っていて、井口は裸同然だった。

井口は、強化プラスチック製の小型銃を両手で握った。


周囲、どこから襲ってくるかも判らない。


井口は、じりっ、と壁から離れた。


ノコギリ男だった時には、単純明快な動きをしていた偽壁つくりだが、こうなると、どう襲うのか予想がつかない。


パイプや、段ボールであれば、おそらく擬態をするカマキリのように、相手が油断をした隙に背後から襲えばいい。

例のノコギリでもいいだろうし、ナイフ一本あれば事足りる、とも考えられた。


が、今は廊下を堰き止める壁に変身していた。


背中からは襲えないはずだ…。

影に攻撃力が無いとするならば…。


銃か、もしくは、あの強化服だろうか…。


どのみち、高屋も状況の変化に気が付くだろう。

敵は、今しも攻撃を始めるはずだった。







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