11疑い
「マジかよ嬢ちゃん、水上バスで観光客を人質に取って、竹芝に上陸する?
そりゃあ、お前、テレビ中継までされちまうぜ。
影繰りにとっちゃあ動きづらいことこの上ない。
んー、そう考えると、蒼井聡ならやりそうに思えてくるな、確かに。
判った。
時間的に間に合うかどうか判らないが、出来る限りの手を打とう」
永田は、新しい煙草に火をつけた。
家では妻に禁煙を宣告されてしまった。
家で吸えない分を埋め合わせるように、永田は本部で紫煙を巻き上げていた。
「え?
坊やがコードネームを欲しがっている?」
永田は、気持ちよく吸い込んだ煙を、吐き出していた。
「ターン、エンド」
苦しそうにカブトは言った。
レディはテーブル上の配置を確かめた。
運のいいことに、とっておきのヨシオドールは二ターン目に引き当てた。
三ターン目に場に出すと、同時にアーティファクト、反射の鏡を装備させた。
ヨシオドールは、まだ一/一でしかないが、ここから複数のアーティファクトを装備させ、打ち消し呪文でヨシオドールを守りながら最凶アイテム、呪いの人形を召喚する。
持っているものに、自身が持つ妖怪分のダメージを与える上に、全ての魔法が使えなくなる悪夢のカードだ。
だが全ての魔法が封じられた世界で、ヨシオドールはアイテムであり妖怪なので、魔法以外の全てを支配できる。
そのまま殴るもよし、アイテムで攻撃も出来るし、第一。
自分に降りかかってきた呪いの人形によるダメージは、反射の鏡で相手に全て、撃ち返せる。
レディのデッキは、この戦略を構築するために、どうしても長い戦いが必要になるので、必要なカードを引き当てるまでのつなぎに、特殊効果を持つ妖怪を複数投入していた。
一点のダメージを相手に与える愉快なピエロ。
机に置かれたカードを手札に戻せる精霊サイクラー。
アーティファクトを一ターンの間、妖怪に変えられる、いい加減な魔導士、もアーティファクトの多いレディのデッキには無くてはならない妖怪だ。
それにしてもせっかちなカブトが赤ではなく、緑でデッキを組んだのは意外だった。
だが逆に、特殊効果を持つ妖怪たちは、力押しのバトルの得意な緑には、そもそも相性がいい。
しかし、レディは眉を顰める。
僕がヨシオドールを持っているのを知っていて、なぜ恭平は緑を選んだのか?
なにか裏がありそうだ…、とレディは警戒を強めていた。




