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36話 

運営サイド。


後半にかなりのご都合主義が介入します。

ですので広い心で受け入れて頂けると嬉しいです。


実際に何か私もMMOプレイして勉強した方がいいのかな……。


 

「お疲れ~」


 彼が声を上げると、そこかしこから「お疲れ様でした~」とくたびれ切った声が上がった。


 実際、彼らはくたびれていた。


 モニタリング用のモニターだけで30台以上あり、その全てで目を光らせていなければいけなかったからだ。


「はいはい」


 パンパンッ、と手を叩いて注目を集めるのは目の下の隈が濃い男性。


 それを言えば誰もが目の下には濃い隈を作っているけれど。


「早く休みたい気持ちは俺も同じだ。だからさっさと終わらせよう」


 そう言われて始まるのは反省会、兼、気付いた事の意見交換。


「レア種の出現頻度、かなり渋くなかったっすか? プレイヤーから一度も遭遇しなかったって意見が寄せられてるっす」


「ああ、確かにそれは俺も感じた」


「モンスターデータのフルコンプ目指してたプレイヤーもいるだろうし」


「モンスター図鑑コンプ報酬とか設けちゃってますからね~」


「もう少し出現率高くしてもよかったか……。対策!」


「次回イベントでレア種モンスター使う場合は確率上げましょう。出現率3%くらいに」


「ん? 元々の出現率ってどのくらいだったん?」


「「0・01%」」


「確率改善希望でーす」


 いくつか出る改善案を議長を務めるイベント運営代表がまとめる。


 秘書を募ったけれど全員に袖にされた結果である。


 40分ほど様々な反省案、対策案が出る中、それに注目が集まった。


「でも結局、予想通りイベント連合でしたね」


「あれは勝ち馬に乗りたいプレイヤーが押し寄せて膨れ上がった結果だろ?」


「攻略組70人に対して連合820人だからな。連合1位で当然」


「約10倍じゃないっすか」


 そこでぽつりと、


「メイド兎隊、俺は応援してたな。少人数で上位に食い込めたのは素直に凄いと思う」


「ああ、あの耐性値99%重鎧の。あんなの用意してくるパーティがある事に驚いたわ」


「それにあのコたちだけなんですよね」


「何が?」


「スカイギルに対して【採掘】と【採取】試したの」


「お! それで素材が取得できる事に気付いたプレイヤーいたんだな!」


「…………でも何で【採掘】?」


「どっちかわかんなかっただけじゃない?」


 運営室に無言の空気が広がる。


 それを破るのは室長の役目でもあった。


「ここ最近の彼女たちのログを洗え。何かあれば報告」


「「「はい」」」


 しばらくの間、室内には静寂が広がる。


「っ! ありました!」


 声を上げた一人のエンジニアの周囲に集まる。


 モニターに映っているのは森。


 エンドワールドを作った運営陣には、ここがリシュティナだと見ただけでわかる。


 問題のシーン。


 グリフォンを引きずり下ろし、うさみみを装備したプレイヤーが【採掘】する事でアイテムをドロップしていた。


 そのシーンを見て運営の顔色が青褪める。


「おいおい、何で【採掘】で素材が落ちてんの!?」


「わかりません! 検証した時は何も……!」


「いや、あった。俺、覚えてるよ、このバグ。これ最終チェックの前に発見されて改善したバグだって」


「改善した? 改善されてねえじゃん! めっちゃ現役じゃん!」


「いや、わかんねえけど! でも確かに俺たちのチームで改善したんだって!」


 言い争う声が響く中、室長はコンソールを呼び出してリシュティナのデータを細かく調べ始める。


「確かに改善はされてるな」


 室長の言葉に疑われていた男性が、自分を疑っていた同僚に肘打ちする。


「でもこれ改善前のデータも同時に残ってるぞ」


「…………え゛? ぐふっ!?」


 肘打ちを返された。


 しかも強めに。


 見ろ、と見せられた敵エンカウントデータ。


 その出現モンスター一覧の中に『グリフォン』の名前は二つあった。


 出現率の調整もあり、改善前のグリフォンは極めて低い確率でしか出現せず、実際に今までで3回ほどしか出現していない。


 なお討伐されたのは千春たちに倒された一匹だけである。


 早急にバググリフォンの方は削除された。


 そして始まる対応会議。


「どうする? 普通ならバグ報告してない時点で厳罰に処す案件だけど……」


「完全にコイツの落ち度なのにプレイヤーを? 俺は反対だな。理不尽過ぎる」


「それに今回は【採掘】【採取】スキルでアイテムをドロップするって情報を公開する前の話でしょ? だったらプレイヤーには、それがバグかどうかなんてわからないんじゃない?」


「いっそなかった事にしたら? そう、バグなんてなかった! …………ダメ?」


「「「「ダメだろ」」」」


「あ、はい、すみません」


 話し合いの結果。


「今回は不正を行おうとして行動しているわけではない事から不正と問わない事とする。ただし今後の事も考慮し、できるだけ早い段階で【採掘】もしくは【採取】のどちらかでドロップアイテムを取得可能なモンスターもいる事を公開する。それ以降、今回のようなケースで不正行為でアイテムを取得したプレイヤーは審議の結果次第だが、厳しい処分も検討する事を通達するものとする。

 以上。解散!」


 室長の号令で運営職員たちは退室していく。


 室長もモニター管理を次の室長に引き継いで部屋を出た。


 翌日。


 運営はさっそくスキルの【採掘】【採取】のどちらかでモンスターから素材アイテムを取得できる情報を公開。


 発生していたバグに関しても通達し、謝罪文を載せた。


 それ以降、モンスターに対して【採掘】【採取】するプレイヤーが多くみられるようになる。


 そして千春たちを含むプレイヤーにはバグ情報公開後、お詫びとして各ステータスのブーストポーション×5が配布された。


 

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