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第68話:因縁再現の存在競売と、ただの目録整理

学園の廊下を進む俺たちの前に、天から「不気味な競売槌と漆黒の目録(因縁の宣告者)」が轟音を立てて降り注ぎ、空間の『存在定義』を急速に汚染し始めた。

その槌が怪しく振り下ろされた瞬間、周囲の景色は一瞬で血と欲望が渦巻く巨大な闇オークションの会場へと変貌し、俺とルナはステージの上の「出品物」として鎖に繋がれた状態で強制配置されていく。


世界の調停機構が発動した、過去の因縁を呼び覚まして存在を買い叩く最高位の制限魔導――『因縁再現・存在競売オークション・レプリカ』。


『――どれほどの全能の力を持とうとも、この絶対の競売場からは逃れられぬ。これより汝らの魂に『商品価値』を設定し、世界の富豪たちにすべてを売り払う。価格のついた存在の前に、如何なる尊厳も虚無に消えるのみだ!』


天の彼方から響く調停者たちの執念深い声と共に、激しく世界の法を書き換える競売汚染の波は、観客席を埋め尽くす不気味な影たちの欲望の叫びとなって響き渡り、俺たちの存在を完全に縛り付けようとする。


「主様! @&#$!? ……私たちの身体に『出品番号』が刻まれ、魔力のすべてが競売のルールによって凍結されています! 謎の調停機構の手によって、かつて私たちが潜り抜けたあの闇オークションの場面が、物理的に私たちを縛る呪いとして完全再現されています! このままでは、私たちがどれだけ強く結ばれていても、世界に買い叩かれて引き離されてしまいますぅぅ!」

ルナが「存在を買い叩かれる恐怖」を孕んだ完璧な解説役としての絶望顔を浮かべ、怪しく光る競売槌の覇気に怯えながら悲鳴を上げる。周囲の魔導器官も、存在の強制売却を前に消滅アラートを鳴らした。


唯一のヒロインであるルナが、完璧なリアクションを完了した。

その様子を眺めながら、俺は世界を欲望の色に染めようとする「汚染された競売場」を、退屈そうに見つめて鼻で笑った。


「オークションの場面再現ねえ。調停機構とやら、お前らがドヤ顔で発動させてるその嫌がらせシステム……。これ、俺が昔、まだ原初の魔導取引の監査をして全大陸の資産目録を組み立ててた頃に、過去の古い取引履歴の並び順がちょっと気に入らなくて、手元の端末に一時的にデータを呼び出して並び変えて確認してた時の『ただの目録整理(あるいはただの履歴確認)』の構造そのまんまじゃねえか。ガワだけ最高位の再現呪術っぽく見せてるけど、根本にあるのは俺のただの古い記録の確認作業だぞ」


『――警告。エラー。データの最深部に、原初の記述者による「全世界の総資産の絶対所有権マスター・ウェルス」の上書きを検知。バ、バカな、世界を買い叩く絶対の競売が、ただの汝の「ただの目録整理」の残骸だというのか……!?』


「俺のやらかした目録整理なんだから、どれだけ価格をつけられようが、俺が一言『――あ、これ全部俺の私物だから』と言って世界のシステムを書き換えてやれば、この瞬間に『この空間のすべての富、すべての観客、および競売場の全システムが俺の快適な観劇のためだけに完全掌握された絶対至高の買い占め状態(存在価値の強制無限化)』に書き換えることなんて朝飯前だろ」


指先で空中の魔導文字をトントンと2回叩く。

次の瞬間、世界を覆っていた忌々しい競売槌は一瞬で砕け散り、俺たちの存在に絶対の支配権を固定する美しい金色の総帥紋章マスター・オーソリティへと再構成されていった。調停機構の再現術式は、俺にとってはただの「古い目録を自分の棚に戻してやる」ような手間で、一瞬にしてただの快適な玉座の間へとデグレードさせられた。


「……世界を支配する再現処分を、昔のただの目録整理扱いして、一瞬で全宇宙最高の絶対の主賓席へと自動固定させたのですか?」

ルナが、ツッコミを忘れた虚無の目(しかし瞳は黄金に輝いている)で、いつの間にか世界最高峰の絹のドレスを纏い、極上の特等席で俺の膝の上に抱きしめられている己の状態を見上げる。ルナは、1秒前よりも深く俺を崇拝していた。


「おいおい、そんなに焦らなくても、この世界のすべての価値は俺のさじ加減ひとつさ。調停機構の用意したバグの修正も終わったことだし……」


俺が微笑み、指先を一突きして競売場の「空間」を軽やかにスワイプすると、唯一の美女であるルナの視線が一斉に俺の指先に引き寄せられる。俺たちの座る極上席の奥に、次の勝利へと続く「黄金のキャットウォーク(絶対無双の特等席)」が、極上の光の粒子を散らしながら自動生成されていく。


「さあ、お前の席はどこであろうといつでも俺のすぐ隣だ。完全に俺の支配下となったこの最高品質なステージで、次はどんな極上の退屈しのぎを見せてくれるのか、特等席からじっくり楽しもうじゃないか」


俺を中心に、完全掌握した競売場にして、すでに最高の配置で寄り添う唯一のヒロイン・ルナ。その圧倒的な調和の輝きを纏ったまま、俺たちは世界の規則(調停機構の法)すら完全にプライベートな玩具としたその先へと、優雅にステージを移行させるのだった。

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