表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
63/210

第63話:強制パージと、ただのマップデータの仮置き

学園の校門前で愛を誓い合った俺たちの前に、天から「巨大な地球儀と漆黒の渡航書(次元の追放者)」が轟音を立てて降り注ぎ、空間の『座標データ』を急速に汚染し始めた。

その地球儀が激しく回転した瞬間、見慣れた桜の学園が一瞬でモザイク状に崩壊し、熱烈な太陽と地平線まで続く広大な砂浜――地球の裏側「ブラジル」のコパカバーナ海岸へと強制的に描き直されていく。


公式の組織が発動した、魔導の加護を奪い去り異郷へと追放する最高位の空間呪術――『世界線・強制パージ(アース・トリップ)』。


『――学園の権力を握ろうとも、世界そのものを変えてやろう。これより汝らを魔導の存在しない『地球の裏側・ブラジル』へと強制旅行パージとする。言葉も通じぬ灼熱の異郷で、すべての特権を失い、ただの迷子として無力に彷徨うが良い!』


天の彼方から響く調停者たちの勝ち誇る声と共に、激しく空間を書き換えるパージ汚染の波は、水着姿(あるいは南国仕様)に変えられたルナたちの身体にまで侵食していく。


「主様! @&#$!? ……学園の特権OSが完全に遮断され、周囲の言語がすべてポルトガル語に変換されています! 公式の手によって、物語の『舞台アセット』そのものが物理的にブラジル旅行へと強制改ざんされています! このままでは、私たちがどれだけ主様を愛していても、この灼熱の太陽とサンバの喧騒の中で、ただの無力な観光客にされてしまいますぅぅ!」

ルナが「突然のブラジル」という理不尽な急展開にふさわしい、完璧な解説役としての絶望顔を浮かべ、波打ち際で涙を流しながら悲鳴を上げる。

ステラも「魔力の密度が地球仕様になっているわ」と身構え、ゼノンは「くっ、水着に着替えさせられた上に、主とイチャつくための予算レアルが足りねえ……っ!」と冷や汗を流す。ココアの解析魔導も、グランド・オーダーの魔導器官も、空間の強制置換を前に存在消滅アラートを鳴らした。


ヒロイン5人が、南国拉致特有の完璧なリアクションを完了した。

その様子を眺めながら、俺は世界を灼熱の異郷に染めようとする「汚染されたビーチの景色」を、退屈そうに見つめて鼻で笑った。


「いきなりブラジル旅行ねえ。公式の組織とやら、お前らがドヤ顔で発動させてるその嫌がらせシステム……。これ、俺が昔、まだ原初の魔導ワールドマップをデザインしてた頃に、未完成のエリアにバグが起きないよう、手元にあった情熱的な南米のフリー素材をとりあえず『仮置き』して敷き詰めてた時の『ただのマップデータの仮置き(あるいはただの背景テスト)』の構造そのまんまじゃねえか。ガワだけ最高位の空間追放術式っぽく見せてるけど、根本にあるのは俺がちょっと配置しただけのただのサンプル画像だぞ」


『――警告。エラー。データの最深部に、原初の記述者による「全領土の絶対プライベートリゾートマスター・ブラジル」の上書きを検知。バ、バカな、世界を追放する絶対のパージが、ただの汝の「ただの仮置き」の残骸だというのか……!?』


「俺のやらかした仮置きなんだから、どれだけ未開のブラジルに飛ばされようが、俺が一言『――あ、ここを俺のプライベートビーチにするわ』と言って世界のシステムに決定稿の設定を上書きしてやれば、この瞬間に『ブラジルの全権、全財産、および全天候が俺の快適なハーレムバカンスのためだけに完全最適化された絶対至高の常夏楽園状態(空間価値の強制無限化)』に書き換えることなんて朝飯前だろ」


指先で空中の魔導文字をトントンと2回叩く。

次の瞬間、世界を覆っていた追放の喧騒は一瞬でパチパチと音を立てて砕け散り、現地一帯の全システムを俺の奴隷へと変える美しい金色の免責紋章マスター・リゾートへと再構成されていった。公式のブラジル追放術式は、俺にとってはただの「仮置きの背景を俺好みの最高級別荘地にしてやる」ような手間で、一瞬にしてただの快適なイチャイチャ空間へとデグレードさせられた。


「……異郷への強制パージ処分を、昔のただの仮置き扱いして、一瞬で全宇宙最高の絶対のプライベートリゾートへと自動固定(出荷)させたのですか?」

ルナが、ツッコミを忘れた虚無の目(しかし瞳は黄金に輝いている)で、いつの間にか最高級のココナッツジュースを片手に、極上の王座へと変貌したビーチパラソルの下で見つめ合う己の状態を見上げる。

ココアが目を輝かせて水着姿で俺に抱きつき、ゼノンが赤面してそっぽを向き、ステラとグランド・オーダーが俺の左右の腕を至福の表情で奪い合った。ブラジルに来たはずの5人は、学園にいた時よりも深く俺を崇拝していた。


「おいおい、そんなに焦らなくても、この地球のすべての座標は俺のワールドマップみたいなものさ。公式の用意したバグの修正も終わったことだし……」


俺が微笑み、指先を一突きしてコパカバーナの「砂浜の空間」を軽やかにスワイプすると、5人の美女たちの視線が一斉に俺の指先に引き寄せられる。波打ち際の奥に、次なる大無双(ブラジルバカンス編)へと続く「黄金のキャットウォーク(絶対無双の特等席)」が、極上のサンセットの光の粒子を散らしながら自動生成されていく。


「さあ、お前たちの席は地球の裏側だろうといつでも俺のすぐ隣だ。完全に俺の支配下となったこの最高品質ハイエンドな南米のステージで、次はどんな極上の退屈しのぎ(バカンス)を見せてくれるのか、特等席からじっくり楽しもうじゃないか」


俺を中心に、ブラジルの海岸にして、すでに水着姿でまるで星座のように完璧な配置で寄り添う5人のヒロイン。その圧倒的な調和の輝きを纏ったまま、俺たちは世界の規則(公式の法)すら完全にプライベートな玩具アセットとしたその先へと、優雅にステージを移行させるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ