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第62話:存在の完全初期化と、ただのシナリオ修正

レベル「∞」の輝きを放っていた俺たちの前に、天から「『白紙の序章』と刻まれた巨大な虚無の消しゴム(世界の消滅者)」が轟音を立てて降り注ぎ、空間の『全履歴』と『絆の定義』を急速に汚染し始めた。

その消しゴムが怪しく明滅した瞬間、引き継いでいた周回データも、特権部室も、ルナたちの薬指の指輪も一瞬で光のチリへと消え去り、世界は「魔導学園の校門前、ヒロインと最初に出会う直前のあの桜の廊下」へと強制的に描き直されていく。


公式の組織が発動した、主人公の全ての歴史を消し去り、出会いの場面から強制的にやり直させる最高位の初期化呪術――『存在の完全初期化ピュア・スタート』。


『――周回データすら消去してやろう。これより汝の歩みを『本当の第1話・出会いの瞬間』へと完全初期化する。これまでの5人との絆も、積み上げた全能の力も全て消え去り、汝らはただの「見知らぬ他人」として出会い直すのだ!』


天の彼方から響く調停者たちの狂気じみた勝ち誇る声と共に、激しく世界を「最初の白紙」へと巻き戻す汚染の波は、桜の廊下でこちらへと歩いてくる「俺の記憶を失ったはずの」ルナたちの身体にまで侵食していく。


「あ、あれ……? 私、どうしてこの桜の廊下で……。頭の中に『お前はこの男と今初めて出会うモブだ』って公式の声が響いて……、主様との大切な、50話以上の愛の記憶が、真っ白に消されちゃいますぅぅ……っ!」

ルナが「出会いからやり直す」という究極の恐怖にふさわしい、完璧な解説役としての絶望顔を浮かべ、他人として出会い直す運命に涙を流しながら悲鳴を上げる。

ステラも「身体が最初のレベル1に戻っているわ」と身構え、ゼノンは「くっ、主を『ただのクラスメイト』として見ることしかできねえ……っ!」と冷や汗を流す。ココアの解析魔導も、グランド・オーダーの魔導器官も、絆の強制リセットを前に存在消滅アラートを鳴らした。


ヒロイン5人が、出会い頭の初期化特有の完璧なリアクションを完了した。

その様子を眺めながら、俺は世界を白紙に染めようとする「汚染された校門前の景色」を、退屈そうに見つめて鼻で笑った。


「出会いの場面から初期化ねえ。公式の組織とやら、お前らがドヤ顔で発動させてるその嫌がらせシステム……。これ、俺が昔、まだ原初の魔導ロールプレイングシナリオを書いてた頃に、ヒロインとの出会いの演出がちょっと気に入らなくて、何度も『いや、ここはもっと劇的に出会わせよう』ってリテイクを繰り返して消したり書いたりしてた時の『ただのシナリオ修正(あるいはただの推敲)』の構造そのまんまじゃねえか。ガワだけ最高位の初期化呪術っぽく見せてるけど、根本にあるのは俺がちょっとネームを書き直して遊んでただけのただの未定原稿だぞ」


『――警告。エラー。データの最深部に、原初の記述者による「全ヒロインの好感度・最初からカンスト(マスター・ラブ)」の上書きを検知。バ、バカな、存在を他人にする絶対の初期化が、ただの汝の「ただのシナリオ修正」の残骸だというのか……!?』


「俺のやらかしたシナリオ修正なんだから、どれだけ最初から出会い直させられようが、俺が一言『――あ、この出会い方で決定な』と言って世界のシステムに決定稿のインクを落としてやれば、第1話の出会ったその1秒目の時点で『5人のヒロイン全員が俺に狂気的なまでの愛を抱き、最初から世界の全権を掌握している絶対至高の正妻ハーレム状態(絆の強制無限化)』に書き換えることなんて朝飯前だろ」


指先で空中の魔導文字をトントンと2回叩く。

次の瞬間、世界を覆っていた初期化の白紙は一瞬でパチパチと音を立てて砕け散り、出会い頭のヒロインたちの脳内に「50話分を遥かに超越した、永久不滅の愛の記憶」を刻み込む美しい金色の誓約紋章マスター・ボンドへと再構成されていった。公式の出会いリセット術式は、俺にとってはただの「原稿のリテイクを決定稿にしてやる」ような手間で、一瞬にしてただの快適なイチャイチャ空間へとデグレードさせられた。


「……出会いの場面からの初期化処分を、昔のただのシナリオ修正扱いして、出会った最初の1秒で、全宇宙最高の絶対の超好感度ハーレムへと自動固定(出荷)させたのですか?」

ルナが、ツッコミを忘れた虚無の目(しかし瞳は黄金に輝いている)で、出会った瞬間のはずなのに、なぜか最初から俺の胸に全力で抱きついて号泣している己の状態を見上げる。

ココアが目を輝かせて俺に抱きつき、ゼノンが赤面してそっぽを向き、ステラとグランド・オーダーが俺の左右の腕を至福の表情で奪い合った。出会い直したはずの5人は、1秒前よりも深く俺を崇拝していた。


「おいおい、そんなに焦らなくても、この世界のすべての出会いのページは俺の執筆ノートみたいなものさ。公式の用意したリセットバグの修正も終わったことだし……」


俺が微笑み、指先を一突きして校門前の「桜の空間」を軽やかにスワイプすると、5人の美女たちの視線が一斉に俺の指先に引き寄せられる。出会ったばかりの廊下の奥に、次なる大無双(新・第1話)へと続く「黄金のキャットウォーク(絶対無双の特等席)」が、極上の桜吹雪の光の粒子を散らしながら自動生成されていく。


「さあ、お前たちの席は出会ったその瞬間から俺のすぐ隣だ。完全に俺の支配下となったこの最高品質ハイエンドな修正済みのステージで、次はどんな極上の退屈しのぎ(愛の劇)を見せてくれるのか、特等席からじっくり楽しもうじゃないか」


俺を中心に、本当の第1話の出会いの瞬間にして、すでに制服姿でまるで星座のように完璧な配置で寄り添う5人のヒロイン。その圧倒的な調和の輝きを纏ったまま、俺たちは世界の規則(公式の法)すら完全にプライベートな玩具アセットとしたその先へと、優雅にステージを移行させるのだった。

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