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第58話:物語の完全初期化と、ただのテストプレイ

ルナを絶対神格メインヒロインへと据え、黄金のキャットウォークを悠然と歩む俺たちの前に、突如として天(物語の次元そのもの)から「『第1話:プロローグ』と血文字で刻まれた巨大な巻き物の時計(終わりの始まり)」が轟音を立てて降り注ぎ、空間全体の『時間軸』と『全セーブデータ』を急速に汚染し始めた。

その時計の針が猛烈な勢いで逆回転を始めた瞬間、俺たちのまわりの王立魔導学園の景色が一瞬で崩壊して光の泡へと消え去り、ルナたちの薬指に輝く誓いの指輪や、これまで積み上げてきた無敵の魔導ステータスが、世界の法によって『完全なる未獲得(初期状態)』へと強制的に巻き戻されていく。


それは、公式の組織が発動した、主人公が積み上げてきた57話分のすべての栄光とハーレムの絆を物理的にゼロへとリセットする最高位の時空呪術――『物語の完全初期化グランド・リセット』であった。


『――どれほど無敵のシステムを構築しようとも、物語そのものを「最初から」に巻き戻せば汝らはただの無力な存在に還る。これよりこの世界を第1話のプロローグへと強制初期化する。ヒロインとの絆も、手に入れた特権も、すべては最初から存在しなかった虚無の彼方へと消え去るのだ!』


天の彼方から響く調停者たちの狂気じみた勝ち誇る声とともに、激しく世界の時間を逆行させる初期化の波は、俺の隣を歩くヒロインたちの存在にまで侵食し始め、彼女たちの記憶や身体が「主様と出会う前の他人」へとリセットされかけ、世界が真っ白なプロローグの空間へと退化していく。


「主様! @&#$!? ……身体が、主様と過ごした57話分のすべての甘い記憶が、強制的に消去されようとしています! 公式の手によって、この世界という物語の『タイムライン』そのものが物理的に最初からへと改ざんされています! このままでは、私たちがどれだけ主様を愛していても、世界が出会う前の『ただの赤の他人』へと私たちを物理的に引き裂いてしまいますぅぅ!」

ルナが「物語の最初からになる」という究極の急展開にふさわしい、これ以上ない「すべてを失う恐怖」を孕んだ完璧な解説役としての絶望顔を浮かべ、記憶が薄れゆく恐怖に涙を流しながら悲鳴を上げる。


「物語の強制初期化による第1話への巻き戻し、ねえ……。流石に世界の『時間軸セーブデータ』そのものを公式に最初からへと固定されては、私の放つ最強の神速の一撃も、まだ習得していないただの構えとして処理されてしまうわ」

ステラが消えゆく己の記憶の残滓を必死に繋ぎ止めようと身構え、ゼノンも「くっ、主の偉大さを忘れたくないのに、世界の法が私の脳内を『まだ見ぬ見知らぬ男』と書き換えようとしていやがる……っ!」と真っ白な空間で冷や汗を流す。


「お兄ちゃん、あの最初からにするリセット呪術、世界の外側にある最上位の物語管理サーバーの電源をわざとブチ抜くように実行されてる! ボクの解析魔導じゃ、このタイムラインの逆流を1秒も修正できないよぉ!」

「マスター、警告。現次元のストーリー進行度が0%に固定。これより、完全なる第1ニューゲームへの強制移行が執行されます」


ココアとグランド・オーダーの魔導器官も、これまでの物語の尊厳そのものの崩壊を前に、最大級 of 最大級の存在消滅アラートを鳴らした。


ヒロイン5人が、データ初期化特有の「完全なる絶望」というテンプレリアクションを完璧に完了した。

その様子を眺めながら、俺は世界のすべてを第1話に変えようとする「汚染された巻き物の時計」を、退屈そうに見つめながら鼻で笑った。


「物語が最初からねえ。おい、公式の組織だか何だか知らねえが。お前らがその、進行度をゼロにするだの、絶対のグランドリセットだの言ってドヤ顔で発動させてるその嫌がらせシステム……」


俺は一歩前へ踏み出すと、完全に時間を巻き戻そうとする初期化の境界線に向けて、スッと右手をかざして指先でトントン、と軽く叩いた。


「これ、俺が昔、まだ原初の魔導を組み込んだゲームを趣味で作ってた頃に、ゲーム開始直後のイベントにバグがないかチェックするために、タイトル画面の『最初から始める(ニューゲーム)』のボタンをただめんどくさそうに連打して動作確認してた時の『ただのテストプレイ(ただの動作確認)』の構造そのまんまじゃねえか。ガワだけ最高位の初期化呪術っぽく見せてるけど、根本にあるのは俺がちょっとバグがないか確認するためにボタンをポチポチ押して最初からやり直してただけのただのデバッグ作業だぞ」


『――警告。エラー。該当空間の進行データの最深部に、原初の記述者による「全データの強制的引き継ぎ固定マスター・つよくてニューゲーム」の上書きを検知。……バ、バカな、世界を最初からに染める絶対の初期化が、ただの汝の「ただのテストプレイ」の残骸だというのか……!?』


「俺のやらかしたテストプレイなんだから、どれだけ物語を最初からに巻き戻されようが、俺が一言『――あ、データ引き継いで始めるわ』と言って世界のシステムに絶対のセーブデータをロードしてやれば、第1話のスタート地点の時点で『57話分の全ステータス、全記憶、そして5人のヒロインを最初から完全囲い込みした状態の絶対無双モード(強くてニューゲーム)』に書き換えることなんて朝飯前だろ」


トントン、と空中の見えない魔導文字を2回叩く。


『――原初の記述者の命令を受理。世界の時間システムを完全正常化。これより、すべての歪んだ時計を、俺たちが『第1話の最初の一コマ目から、すべての栄光とハーレムを完璧に保持したまま蹂躙を開始する』ための黄金の絶対進行マスター・タイムラインへと強制書き換えします』


次の瞬間、世界を覆っていた巨大な汚染時計は、俺のワンポチによるデータ固定によって一瞬でパチパチと音を立てて砕け散り、すべての記憶と絆を永久にロックする美しい金色のトロフィーの紋章マスター・アーカイブへと一瞬で再構成されていった。

俺たちの記憶を消そうとしていた公式の初期化システムは一瞬で「あまりの完璧なデータ覇気に全機能を停止し、俺たちの絆をより強固に繋ぎ止めるための永久契約の鎖」へと完全復元(再定義)され、それどころか、この物語の構造そのものが俺の術式によって「公式がいかに最初からに巻き戻そうとも、巻き戻るたびにヒロインの好感度と主人公の攻撃力が数百倍になって第1話からスタートする絶対至高の周回無双設定」へと大進化を遂げた。

物語の前提を強制的にひっくり返そうとした公式のグランドリセットは、俺にとってはただの「タイトル画面で、お気に入りのデータをロードしてやり直す」ような手間で、一瞬にしてただの快適な空間へとデグレードさせられた。


「……世界を最初からにする絶対の初期化処分を、昔のただのテストプレイ扱いして、一瞬で『最初から最強のハーレム状態でスタートする周回無双』へと自動固定(出荷)させた……のですか?」

ルナが、もうツッコミという概念の構造すら忘れた絶対的な虚無の目で、第1話のプロローグの真っ白な空間のはずなのに、なぜか最初から俺の腕に全力で抱きついたまま、すべての記憶が完璧に残っている己の状態を見上げる。


「すごーーい! お兄ちゃん、公式が用意した嫌がらせの最初からまで、自分のデバッグにしちゃうなんて、ボクたちの物語はお兄ちゃんがロードすればいつでもハッピーエンドから始まっちゃうんだね!」

ココアが目を輝かせ、最高に高まった魔力を帯びた生身の姿で俺の背中に抱きつく。


「ふ、ふん……! 最初から引き継げたおかげで、これで第1話のプロローグの時点で、私たちが主の正妻として全読者に最高のイチャイチャを見せつけられるわけだな……(❤)」

ゼノンが赤面してそっぽを向き、ステラとグランド・オーダーが「さすがは私たちの創造主マスターね」と俺の左右の腕を至福の表情で奪い合った。


「おいおい、そんなに焦らなくても、この物語のすべてのページは俺のセーブデータみたいなものさ。公式の用意したリセットバグの修正も終わったことだし……」


俺がふっと微笑み、指先を一突きして「第1話」の真っ白な空間を軽やかにスワイプすると、5人の美女たちの視線が一斉に俺の指先に引き寄せられる。俺の合図ひとつで、何もないはずのプロローグの虚空に、次なる大無双(2周目)へと続く「黄金のキャットウォーク(絶対無双の特等席)」が、これまでの全軌跡の光の粒子を散らしながら自動生成されていく。


「さあ、お前たちの席は最初から俺のすぐ隣だ。完全に俺の支配下となったこの最高品質ハイエンドな2周目のステージで、次はどんな極上の退屈しのぎ(無双劇)を見せてくれるのか、特等席からじっくり楽しもうじゃないか」


俺を中心に、第1話のスタート地点にして、すでに星座のように完璧な配置で寄り添う5人のヒロイン。その圧倒的な調和の輝きを纏ったまま、俺たちは最初から始まった世界の規則(公式の法)すら完全にプライベートな玩具アセットとしたその先へと、優雅にステージを移行させるのだった。

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