第55話:絶対落第の成績偽装と、ただの採点エラー
学園の全権を絶対神格カーストへと固定し、悠然と廊下を歩む俺たちの前に、突如として天(学園の管理システム)から「真っ赤なインクで『不合格』と刻まれた巨大な魔導成績表(落第の宣告者)」が轟音を立てて降り注ぎ、学園全体の『成績データ』と『評価システム』を急速に汚染し始めた。
その成績表が怪しく明滅した瞬間、俺が記述した完璧な魔導数式や実技の最高得点が一瞬で反転し、俺のデータが『学園史上最低の赤点、即時退学処分』という絶対的な落第の定義へと強制的に書き換えられていく。
それは、公式の組織が発動した、学園内における主人公の知性と実力を物理的に否定して追放する最高位の規則呪術――『絶対落第・成績偽装』であった。
『――カーストが最高であるならば、学園のルール(成績)によって叩き落としてくれる。これより汝の全成績を『絶対の零点』へと固定し、即座に学園から追放(退学)処分とする。どれほどの全能の力を隠し持とうと、システムが弾き出した「完全なる落第赤点」の烙印を前に、学園に留まることは決して許されぬ!』
天の彼方から響く調停者たちの執念深い声と共に、激しく世界の法を書き換える成績汚染の波は、俺たちを包む空間の学則にまで侵食し始め、学園の防衛結界が「警告。落第生徒の即時強制排除を開始します」と、世界の法によって強制された排除の触手を伸ばし始める。
「主様! @&#$!? ……学園の防衛結界が、主様を『存在してはならない落第生』として認識し、自動攻撃を開始しています! 公式の手によって、この学園という物語の『成績システム』そのものが物理的に赤点へと改ざんされています! このままでは、主様がどれほど全知全能の天才であっても、世界がそれを認めない無能の落第生扱いにされてしまいますぅぅ!」
ルナが「学園編」の理不尽なイベントにふさわしい、これ以上ない「成績を偽装された恐怖」を孕んだ完璧な解説役としての絶望顔を浮かべ、迫り来る結界の触手に怯えながら悲鳴を上げる。
「成績の強制改ざんによる退学処分、ねえ……。流石に学園の『絶対規則』そのものを公式に最低へと固定されては、私の放つ最強の神速の一撃も、ただの規則違反の暴挙として処理されてしまうわ」
ステラが迫り来る排除結界を鋭い剣気で牽制しながら身構え、ゼノンも「くっ、主の完璧な魔導解答を証明したいのに、世界の法が私の採点データすら『赤点に味方する不正データ』と書き換えていやがる……っ!」と廊下で冷や汗を流す。
「お兄ちゃん、あの落第偽装の呪術、学園の根底にある最上位の採点大魔導のコアをわざとバグらせるように実行されてる! ボクの解析魔導じゃ、この偽装された零点を1点も修正できないよぉ!」
「マスター、警告。全科目の得点がマイナス999万点に固定。これより、学園の規則に基づく絶対の強制退学が執行されます」
ココアとグランド・オーダーの魔導器官も、学園編における知的尊厳の崩壊を前に、最大級の存在消滅アラートを鳴らした。
ヒロイン5人が、成績低下・強制退学特有の「完全なる絶望」というテンプレリアクションを完璧に完了した。
その様子を眺めながら、俺は学園のすべてを俺への赤点処分で埋め尽くしようとする「汚染された成績表」を、退屈そうに見つめながら鼻で笑った。
「成績が絶対落第ねえ。おい、公式の組織だか何だか知らねえが。お前らがその、点数をゼロにするだの、絶対の退学処分だの言ってドヤ顔で発動させてるその嫌がらせシステム……」
俺は一歩前へ踏み出すと、完全に規則を歪めようとする成績改ざんの境界線に向けて、スッと右手をかざして指先でトントン、と軽く叩いた。
「これ、俺が昔、まだ魔導学校で超難関の国家魔導論文を書いてた頃に、あまりにも問題が簡単すぎて欠伸が出たから、名前と日付だけ書いて3秒で途中退出して、後から採点者に『おい、お前の書いた文字が次元を超えすぎててウチの魔法陣じゃ測定不能だから一旦ゼロ点(未提出扱い)にしといたぞ』って頭を抱えられた時の『ただの採点エラー(名前の書き忘れ)』の構造そのまんまじゃねえか。ガワだけ最高位の落第呪術っぽく見せてるけど、根本にあるのは俺の回答がすごすぎて既存のシステムが処理落ちしただけのただのエラーだぞ」
『――警告。エラー。該当空間の採点データの最深部に、原初の記述者による「全得点の測定不能最大化」の上書きを検知。……バ、バカな、世界を赤点に染める絶対の落第処分が、ただの汝の「ただの採点エラー」の残骸だというのか……!?』
「俺の引き起こした採点エラーなんだから、どれだけ点数をゼロに偽装されようが、俺が一言『――あ、文字の次元下げてやるわ』と言って世界のシステムを少し手加減してやれば、学園の全成績も評価も一瞬で『全科目において過去・現在・未来のすべての理論値をぶっちぎる永久不滅の首席状態(得点の強制無限化)』に書き換えることなんて朝飯前だろ」
トントン、と空中の見えない魔導文字を2回叩く。
『――原初の記述者の命令を受理。学園の規則システムを完全支配。これより、すべての歪んだ成績表を、全校生徒と教師たちが『未来永劫に渡って俺の超絶的な知性にひれ伏し、その解答を神の啓示として崇める』ための黄金の絶対スコア(マスター・ステータス)へと強制書き換えします』
次の瞬間、世界を覆っていた巨大な汚染成績表と排除結界は、俺のワンポチによるスコア固定によって一瞬でパチパチと音を立てて砕け散り、すべての生徒と採点大魔導の脳内に絶対の知性を刻み込む美しい金色の首席の紋章へと一瞬で再構成されていった。
俺を追放しようとしていた学園の排除システムは一瞬で「あまりの完璧な知性の覇気に全機能を停止し、俺の足元を飾るだけの無害な光の絨毯」へと完全復元(再定義)され、それどころか、俺の学園内の知性そのものが俺の術式によって「公式のいかなる落第・偽装コマンドも100%無効化し、名前を書くだけで全宇宙の全魔導理論が塗り替わる絶対至高の首席設定」へと大進化を遂げた。
物語のルールを強制的に悪用しようとした公式の落第術式は、俺にとってはただの「測定不能のエラーを、ちょっとシステムのレベルを合わせて直してやる」ような手間で、一瞬にしてただの快適な空間へとデグレードさせられた。
「……世界を追放する絶対の落第処分を、昔のただの採点エラー扱いして、一瞬で学園史上最高の絶対の首席へと自動固定(出荷)させた……のですか?」
ルナが、もうツッコミという概念の構造すら忘れた絶対的な虚無の目で、ただ廊下の掲示板に、金色の光を放ちながら「測定不能(無限点)」として刻まれた俺の名前を見上げる。
「すごーーい! お兄ちゃん、公式が用意した嫌がらせの赤点まで、自分の採点エラーにしちゃうなんて、お兄ちゃんがペンを握るだけでこの学園の全ての正解はお兄ちゃんになっちゃうんだね!」
ココアが目を輝かせ、最高に高まった魔力を帯びた生身の制服姿で俺に抱きつく。
「ふ、ふん……! 成績が首席になったおかげで、これで私たちが学園きっての天才夫婦として、全校生徒の憧れの的として永久にイチャイチャできるわけだな……(❤)」
ゼノンが赤面して制服の襟を正しながらそっぽを向き、ステラとグランド・オーダーが「さすがは私たちの創造主ね」と俺の左右の腕を至福の表情で奪い合った。
「おいおい、そんなに焦らなくても、この学園のすべての正解は俺のノートの余白みたいなものさ。公式の用意した成績バグの修正も終わったことだし……」
俺がふっと微笑み、指先を一突きして学園の『空間データ』を軽やかにスワイプすると、5人の美女たちの視線が一斉に俺の指先に引き寄せられる。俺の合図ひとつで、目の前の廊下の奥に、次の学園イベント(あるいは甘い放課後)へと続く「黄金のキャットウォーク(首席専用の絶対特等席)」が、極上の絨毯の光の粒子を散らしながら自動生成されてしていく。
「さあ、お前たちの席はいつでも俺のすぐ隣だ。完全に俺の支配下となったこの最高品質な学園ステージで、次はどんな極上の退屈しのぎ(学園生活)を見せてくれるのか、特等席からじっくり楽しもうじゃないか」
俺を中心に、制服姿でまるで星座のように完璧な配置で寄り添う5人のヒロイン。その圧倒的な調和の輝きを纏ったまま、俺たちは学園の規則(公式の法)すら完全にプライベートな玩具としたその先へと、優雅にステージを移行させるのだった。




