第54話:学園カーストの強制最底辺化と、ただの席の勘違い
至高の気まぐれにより、世界の設定を絢爛豪華な『王立至高魔導学園』へと塗り替え、制服に身を包んで悠然と廊下を歩む俺たちの前に、突如として天(学園のシステム)から「漆黒の烙印が刻まれた巨大な出席簿(カーストの支配者)」が不気味な影となって降り注ぎ、学園全体の『認識』と『評価データ』を急速に汚染し始めた。
その出席簿が怪しく明滅した瞬間、全校生徒や教師たちの脳内にあった俺への敬意が一瞬で反転し、俺のステータスが『触れることすら汚わらしい、学園最底辺の奴隷(いじめられっ子)』という絶対的なカースト最下層の定義へと強制的に書き換えられていく。
それは、公式の組織が発動した、学園内における主人公の尊厳と人間関係を物理的に崩壊させる最高位の認識呪術――『スクールカースト強制最底辺化』であった。
『――舞台を学園に変えようとも無駄だ。これより汝の学園内における価値を『絶対のゴミ』へとリセットする。数万人の生徒、教師、すべてが汝を蔑み、嘲笑い、いじめる対象として認識するのだ。どれほどの力を隠し持とうと、誰からも見下される最底辺の烙印からは決して逃れられぬ!』
天の彼方から響く調停者たちの陰湿な声と共に、激しく生徒たちの認識を書き換えるカースト汚染の波は、俺の隣を歩くヒロインたちの認識にまで侵食し始め、すれ違うエリート魔導生徒たちが「おい、なんだあのゴミは……? なぜあんな底辺の奴が、最高峰の美少女たちを連れて歩いているんだ……?」と、世界の法によって強制された嫌悪の視線を向け始める。
「主様! @&#$!? ……学園中の生徒たちの目つきが、一瞬で『主様をゴミのように見下す不条理な敵意』に変わっています! 公式の手によって、この学園という物語の『評価ステータス』そのものが物理的に最底辺へと改ざんされています! このままでは、私たちがどれだけ主様を王子様のように慕っていても、世界がそれを許さない最底辺のいじめられっ子扱いにされてしまいますぅぅ!」
ルナが「学園編」のテンプレな嫌がらせにふさわしい、これ以上ない「カーストを落とされた恐怖」を孕んだ完璧な解説役としての絶望顔を浮かべ、周囲からの冷ややかな視線に怯えながら悲鳴を上げる。
「学園カーストの強制改ざん、ねえ……。流石に全校生徒の『認識』そのものを公式に最悪へと固定されては、私の放つ最強の神速の一撃も、ただの底辺の悪なあがきとして処理されてしまうわ」
ステラが周囲の不届きな視線を鋭い眼光で威嚇しながら身構え、ゼノンも「くっ、主を学園の王として称えたいのに、世界の法が私のステータスすら『底辺に付き従う憐れな身内』と書き換えていやがる……っ!」と廊下で拳を握り締めて冷や汗を流す。
「お兄ちゃん、あのカースト改ざんの呪術、学園の根底にある最上位の管理名簿のデータをわざとバグらせるように実行されてる! ボクの解析魔導じゃ、この評価の低下を1ポイントも修正できないよぉ!」
「マスター、警告。学園内における信頼度および好感度がマイナス999万に固定。これより、全校生徒による完全孤立化が執行されます」
ココアとグランド・オーダーの魔導器官も、学園編における存在尊厳の崩壊を前に、最大級の存在消滅アラートを鳴らした。
ヒロイン5人が、学園カースト低下特有の「完全なる絶望」というテンプレリアクションを完璧に完了した。
その様子を眺めながら、俺は学園のすべてを俺への蔑みで埋め尽くそうとする「汚染された出席簿」を、退屈そうに見つめながら鼻で笑った。
「学園のカーストが最底辺ねえ。おい、公式の組織だか何だか知らねえが。お前らがその、評価をゴミにするだの、絶対のいじめられっ子属性だの言ってドヤ顔で発動させてるその嫌がらせシステム……」
俺は一歩前へ踏み出すと、完全に認識を歪めようとするカースト改ざんの境界線に向けて、スッと右手をかざして指先でトントン、と軽く叩いた。
「これ、俺が昔、魔導学校の入学初日に、クラス替えの掲示板の前に人だかりができてて見に行くのがめんどくさかったから、名簿の一番端っこにあった目立たない『補欠・空き枠』の席に適当に座って、先生から『お前そこ出席簿の外だぞ』ってツッコまれた時の『ただの席の勘違い(出席簿の端くれ)』の構造そのまんまじゃねえか。ガワだけ最高位のカースト最底辺呪術っぽく見せてるけど、根本にあるのは俺がちょっと席を間違えて隅っこに座ってただけのただの勘違いだぞ」
『――警告。エラー。該当空間の評価データの最深部に、原初の記述者による「全校カーストの絶対神格化」の上書きを検知。……バ、バカな、世界を蔑みに染める絶対のカースト最底辺化が、ただの汝の「ただの席の勘違い」の残骸だというのか……!?』
「俺が勝手に座った隅っこの席なんだから、どれだけ名簿の端っこに追いやられようが、俺が一言『――あ、席ここじゃねえわ』と言って教壇の真ん中に立ち直れば、学園の全権も生徒の好感度も一瞬で『俺を絶対の絶対君主として崇拝する超高カースト状態(評価の強制最大化)』に書き換えることなんて朝飯前だろ」
トントン、と空中の見えない魔導文字を2回叩く。
『――原初の記述者の命令を受理。学園の認識システムを完全支配。これより、すべての歪んだ出席簿を、全校生徒と教師たちが『未来永劫に渡って俺を絶対の学園の神(総帥)として崇め奉り、一瞥を浴びるだけで卒倒する』ための黄金の絶対カースト(マスター・ステータス)へと強制書き換えします』
次の瞬間、世界を覆っていた巨大な汚染出席簿は、俺のワンポチによる評価固定によって一瞬でパチパチと音を立てて砕け散り、すべての生徒の脳内に絶対の崇拝と狂信を叩き込む美しい金色の校章の紋章へと一瞬で再構成されていった。
俺を蔑もうとしていた数万人のエリート生徒たちは一瞬で「あまりの覇気と気高さに言葉を失い、その場に両膝を突いて平伏する絶対服従のモブ」へと完全復元(再定義)され、それどころか、俺の学園内の地位そのものが俺の術式によって「公式のいかなるカースト低下コマンドも100%無効化し、座っているだけで全校生徒がひれ伏す絶対至高の学園総帥設定」へと大進化を遂げた。
物語の威厳を強制的に剥奪しようとした公式のカースト術式は、俺にとってはただの「間違えた席から、一番偉い特等席に移動する」ような手間で、一瞬にしてただの快適な空間へとデグレードさせられた。
「……世界を蔑みで満たす絶対の最底辺化処分を、昔のただの席の勘違い扱いして、一瞬で全校生徒がひれ伏す絶対の学園の神へと自動固定(出荷)させた……のですか?」
ルナが、もうツッコミという概念の構造すら忘れた絶対的な虚無の目で、ただ廊下の左右で一斉に跪き、俺たちを崇拝の眼差しで見上げる全校生徒の景色を見上げる。
「すごーーい! お兄ちゃん、公式が用意した嫌がらせのカーストまで、自分の席替えにしちゃうなんて、お兄ちゃんがここにいる限りこの学園のルールはお兄ちゃんそのものなんだね!」
ココアが目を輝かせ、最高に高まった魔力を帯びた生身の制服姿で俺に抱きつく。
「ふ、ふん……! カーストが最高になったおかげで、これで私たちが学園の公認おしどり夫婦として、全校生徒の前でイチャイチャしても誰も文句を言えないわけだな……(❤)」
ゼノンが赤面して制服の襟を正しながらそっぽを向き、ステラとグランド・オーダーが「さすがは私たちの創造主ね」と俺の左右の腕を至福の表情で奪い合った。
「おいおい、そんなに焦らなくても、この学園のすべてのルールは俺の授業時間みたいなものさ。公式の用意したカーストバグの修正も終わったことだし……」
俺がふっと微笑み、指先を一突きして学園の『空間データ』を軽やかにスワイプすると、5人の美女たちの視線が一斉に俺の指先に引き寄せられる。俺の合図ひとつで、目の前の廊下の奥に、次の学園イベントへと続く「黄金のキャットウォーク(総帥専用の絶対特等席)」が、極上の絨毯の光の粒子を散らしながら自動生成されていく。
「さあ、お前たちの席はいつでも俺のすぐ隣だ。完全に俺の支配下となったこの最高カーストな学園ステージで、次はどんな極上の退屈しのぎ(学園生活)を見せてくれるのか、特等席からじっくり楽しもうじゃないか」
俺を中心に、制服姿でまるで星座のように完璧な配置で寄り添う5人のヒロイン。その圧倒的な調和の輝きを纏ったまま、俺たちは学園の規則(公式の法)すら完全にプライベートな玩具としたその先へと、優雅にステージを移行させるのだった。




