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第50話:世界存在の強制完全初期化と、ただの忘れ物

世界の表現を無限のインクで満たし、悠然と歩みを進める俺たちの前に、突如として天から「世界の全記述を覆い尽くす巨大な白銀の虚無(初期化の奔流)」が圧倒的な質量となって降り注ぎ、空間全体の光、影、物理法則、そして存在の全定義を凄まじい速度で「真っ白な無」へと還元し始めた。

その奔流が触れた瞬間、周囲の神聖な城塞や美しい大宇宙のデータが一瞬で消去され、全ての存在がプログラムの初期コードすら残らない完全な白紙へとリセットされていく。


それは、公式の組織が発動した、この物語の構造そのものを根底からデリートする最高位の絶滅呪術――『世界存在の強制完全初期化オール・デリート』であった。


『――インクが無限であるならば、そのキャンバスごと存在を消去する。これよりこの世界にある全50話の歴史、設定、主人公という定義を『存在しなかったこと』へとリセットする。どれほどの絶対の力を誇ろうと、汝を形作るソースコードそのものが最初から消滅すれば、汝は誕生すらしていないただの無へと還るのだ』


天の彼方から響く調停者たちの狂乱した声と共に、激しく世界をまっさらに塗りつぶす初期化の波は俺たちの足元から存在そのものを吸い上げ始め、物語の全歴史が世界の法によって物理的にフリーズ、および完全消去の危機に瀕する。


「主様! @&#$!? ……身体が、私の存在データや主様との思い出の記憶が、白い光の中に溶けて消えかけてしまいます! 公式の手によって、この世界という物語の『存在システム(全設定)』そのものが物理的に初期化されています! このままでは、私たちが紡いできた第50話までの気高き奇跡が、ただの『未記入の白紙』にされてしまいますぅぅ!」

ルナが第50話の節目にふさわしい、これ以上ない「存在の全消去という恐怖」を孕んだ完璧な解説役としての絶望顔を浮かべ、輪郭を失いかけた半透明の姿で悲鳴を上げる。


「物語の存在そのものの初期化、ねえ……。流石に世界を形作る『ソースコード』そのものを公式にデリートされては、私の放つ最強の神速の一撃も、それを放つ私という存在の定義ごと消し去られてしまうわ」

ステラが消えゆく己の爪先を見つめて身構え、ゼノンも「くっ、主を守るための騎士の設定すら、世界がこれを『存在しない無』と書き換えているせいで、力が入らん……っ!」と床に膝を突いて冷や汗を流す。


「お兄ちゃん、あの完全初期化の呪術、世界の外側にある最上位の根源システムをわざとフォーマットするように実行されてる! ボクの解析魔導じゃ、この白銀の消去を1文字も引き留められないよぉ!」

「マスター、警告。世界存在の残存データが残り0.001%。これより、全歴史の完全消去リセットが執行されます」


ココアとグランド・オーダーの魔導器官も、世界の存在そのものの初期化を前に、最大級の存在消滅アラートを鳴らした。


ヒロイン5人が、完全初期化特有の「完全なる絶望」というテンプレリアクションを完璧に完了した。

その様子を眺めながら、俺は世界のすべてをまっさらにしようとする「白銀の虚無」を、退屈そうに見つめながら鼻で笑った。


「世界の存在が完全初期化ねえ。おい、公式の組織だか何だか知らねえが。お前らがその、設定を全部デリートするだの、絶対のリセットだの言ってドヤ顔で発動させてるその消去システム……」


俺は一歩前へ踏み出すと、完全に世界を無に還そうとする初期化の境界線に向けて、スッと右手をかざして指先でトントン、と軽く叩いた。


「これ、俺が昔、魔導学校の入学初日に、緊張のあまりカバンに教科書もノートも筆記用具も全部丸ごと入れ忘れて登校して、自分の机の上が何もない綺麗な状態だった時の『ただの忘れ物(新品の白紙ノート)』の構造そのまんまじゃねえか。ガワだけ最高位の完全初期化っぽく見せてるけど、根本にあるのは俺が昔、先生から『初日から忘れ物とは大物だな』って呆れられた時のただの真っ白な机の上だぞ」


『――警告。エラー。該当空間の初期化システムの最深部に、原初の記述者による「全設定の自動再配置マスター・リカバリ」の上書きを検知。……バ、バカな、世界を無に還す絶対の完全初期化が、ただの汝の「初日の忘れ物」の残骸だというのか……!?』


「俺のやらかした忘れ物なんだから、どれだけ机の上がまっさらになろうが、俺の一言で『引き出しの奥から予備の最高級魔導具を無限に引っ張り出して配置する(設定の一括復元)』ことなんて朝飯前だろ」


トントン、と空中の見えない魔導文字を2回叩く。


『――原初の記述者の命令を受理。世界の存在システムを完全復元。これより、すべてのまっさらな白銀の虚無を、俺たちが『未来永劫に渡って最も豪華に無双を謳歌する』ための黄金の絶対設定マスター・ソースへと強制再構成します』


次の瞬間、世界を覆っていた巨大な白銀の虚無は、俺のワンポチによる設定復元によって一瞬でパチパチと音を立てて砕け散り、すべての存在に不滅の神格を付与する美しい金色のプログラムコードの濁流へと一瞬で再構成されていった。

消えかけられていた城塞や大地、ルナたちの身体は一瞬で「神話級の超解像度描写」へと完全復元され、それどころか、世界の存在基盤そのものが俺の術式によって「公式のいかなる削除・改ざん・初期化コマンドも100%無効化し、永久に最強の存在として固定される絶対不滅のバグフィックス設定」へと大進化を遂げた。

物語の歴史を強制的に消去しようとした公式の初期化術式は、俺にとってはただの「学校の机の上に、カバンからノートを取り出して広げる」ような手間で、一瞬にしてただの快適な空間へとデグレードさせられた。


「……世界を無に還す絶対の完全初期化を、昔のただの忘れ物扱いして、一瞬で全宇宙最高の不滅の設定へと自動復元(出荷)させた……のですか?」

ルナが、もうツッコミという概念の構造すら忘れた絶対的な虚無の目で、ただ元通り以上に神々しく構築される世界の景色を見上げる。


「すごーーい! お兄ちゃん、公式が用意した嫌がらせのリセットまで、自分の忘れ物にしちゃうなんて、本当の意味でお兄ちゃんが存在する限りこの世界は絶対に終わらないんだね!」

ココアが目を輝かせ、最高に高まった魔力を帯びた生身の体で俺に抱きつく。


「ふ、ふん……! 存在が不滅になったおかげで、これで私たちのハーレムの歴史も、全宇宙のシステムが壊れても絶対に消えないわけだな……(❤)」

ゼノンが赤面してそっぽを向き、ステラとグランド・オーダーが「さすがは私たちの創造主マスターね」と俺の左右の腕を至至福の表情で奪い合った。


「よし、公式の初期化バグ(デバッグ)も終わったことだし。大台の50話も超えたことだしな。……さて、完全に俺のソースコードとして快適に管理されるようになったこの世界の先には、次はどんなアセットを配置して遊ぶかね」


俺は5人の美女たちを背後に従え、公式のシステムすら完全に自分の引き出しの一部としたその先へと、悠然と歩みを進めるのだった。

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