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第47話:世界の時間崩壊と、壊れた安物の置き時計

世界の評価を最高神話へと塗り替え、悠然と歩みを進める俺たちの前に、突如として天から「無数の巨大な歯車と歪んだ砂時計(時計の残骸)」が轟音を立てて降り注ぎ、空間全体を激しく回転させ始めた。

その歯車が噛み合った瞬間、周囲の景色が数百年先の未来の廃墟になったかと思えば、次の瞬間には数千年前の原始の荒野へと目まぐるしく変転し、時間の因果がグシャグシャに引き裂かれていく。


それは、公式の組織が発動した、この物語の進行そのものを物理的に停止させる最高位の遅延呪術――『世界時間の強制崩壊タイム・ディレイ』であった。


『――価値が最高であるならば、それを紡ぐ「時間」を壊滅させる。これよりこの世界の過去・現在・未来の境界を消滅させる。汝がどれほどの絶対の力を放とうと、その技が届く「未来」も、敵が存在する「現在」も、すべてがバラバラになれば、汝は永久に目的地へ辿り着けぬ時計の針となるのだ』


天の彼方から響く調停者たちの執念深い声と共に、激しく逆流と加速を繰り返す時間の嵐は俺たちの身体にまで干渉し始め、一歩前に進もうとするだけで、身体の時間が過去へ未来へと引き戻され、まともな移動描写すら成立しなくなる。


「主様! @&#$!? ……一歩歩くたびに、私の身体が子供に戻ったり大人の女性に戻ったり、時間がめちゃくちゃに引き裂かれてしまいます! 公式の手によって、この世界という物語の『進行(時間)』そのものが物理的に破壊されています! このままでは、私たちが次の頁へ進むことすらできず、永遠にこの時間の濁流の中で足止めされてしまいますぅぅ!」

ルナが第47話の絶望にふさわしい、これ以上ない「時間を奪われた恐怖」を孕んだ完璧な解説役としての絶望顔を浮かべ、身体のサイズを激しく変えながら悲鳴を上げる。


「物語の時間軸の破壊、ねえ……。流石に世界が持つ『流れ』そのものを公式にバラバラにされては、私の最強の神速の一撃も、敵に届く前に過去へ置き去りにされてしまうわ」

ステラが時間の歪みに視界を惑わされながら身構え、ゼノンも「くっ、主の元へ駆け寄ろうとしても、足を踏み出すたびに数秒前の位置へ巻き戻されてしまう……っ!」と床に膝を突いて冷や汗を流す。


「お兄ちゃん、あの時間崩壊の呪術、世界の外側にある最上位の年代記クロニクルのゼンマイをわざと引きちぎるように実行されてる! ボクの解析魔導じゃ、この歯車の回転を1秒も止められないよぉ!」

「マスター、警告。世界時間の正常値が残り1%。これより、因果の完全凍結(進行不能)が執行されます」


ココアとグランド・オーダーの魔導器官も、世界の時間そのものの崩壊を前に、最大級の存在消滅アラートを鳴らした。


ヒロイン5人が、時間崩壊特有の「完全なる絶望」というテンプレリアクションを完璧に完了した。

その様子を眺めながら、俺は世界のすべてをバラバラにしようとする「巨大な歯車の嵐」を、退屈そうに見つめながら鼻で笑った。


「世界の時間がバラバラねえ。おい、公式の組織だか何だか知らねえが。お前らがその、時間をグシャグシャにするだの、絶対の進行不能だの言ってドヤ顔で発動させてるその遅延システム……」


俺は一歩前へ踏み出すと、激しく逆流しようとする時間の境界線に向けて、スッと右手をかざして指先でトントン、と軽く叩いた。


「これ、俺が昔、魔導の修行をしてた頃に、寝坊するのが嫌で目覚まし時計の進みを無理やり早くしようとして、逆に中のネジを弾き飛ばして針がデタラメに回るようになった『ただの壊れた時計(安物の置き時計)』の構造そのまんまじゃねえか。ガワだけ最高位の遅延呪術っぽく見せてるけど、根本にあるのは俺が昔、裏庭に放り投げたただのガラクタの時計だぞ」


『――警告。エラー。該当空間の崩壊時間の最深部に、原初の記述者による「時間軸の一括同期タイム・フィックス」の上書きを検知。……バ、バカな、世界を停滞させる絶対の時間崩壊が、ただの汝の「壊れた目覚まし時計」の残骸だというのか……!?』


「俺の壊した置き時計なんだから、どれだけ針がデタラメに回ろうが、俺の一言で『文字盤のネジを締め直して正しい現在に固定する(時間軸の同期)』ことなんて造作もないだろ」


トントン、と空中の見えない魔導文字を2回叩く。


『――原初の記述者の命令を受理。世界の時間システムを完全正常化。これより、すべての歪んだ歯車を、最もサクサクで快適に物語が進行する『黄金の絶対時間タイムライン』へと強制同期します』


次の瞬間、世界を覆っていた無数の巨大な歯車は、俺のワンポチによる時間同期によって一瞬でパチパチと音を立てて砕け散り、正確な時を刻む美しい金色の光の針へと一瞬で再構成されていった。

デタラメに変転していた景色や、ルナたちの身体の時間は一瞬で元の「現在」へと復元され、それどころか、世界の時間の流れそのものが俺の術式によって「一切の処理落ちを許さない、最高にサクサクな黄金のタイムライン」へと大進化を遂げた。

物語の進行を強制的にストップさせようとした公式の遅延術式は、俺にとってはただの「目覚まし時計のネジをちょっと巻き直す」ような手間で、一瞬にしてただの快適な空間へとデグレードさせられた。


「……世界を進行不能にする絶対の遅延処分を、昔の壊れた置き時計扱いして、一瞬で最もサクサク動く黄金の時間軸へと自動同期(出荷)させた……のですか?」

ルナが、もうツッコミという概念の構造すら忘れた絶対的な虚無の目で、ただ元通り以上に快適に流れる世界の景色を見上げる。


「すごーーい! お兄ちゃん、公式が用意した嫌がらせの遅延まで、自分の時計にしちゃうなんて、本当の意味でお兄ちゃんの前では未来も過去も思い通りなんだね!」

ココアが目を輝かせ、最高に高まった魔力を帯びた生身の体で俺に抱きつく。


「ふ、ふん……! 時間が正常になったおかげで、これで私たちのハーレムの未来も永久にサクサクと進むわけだな……(❤)」

ゼノンが赤面してそっぽを向き、ステラとグランド・オーダーが「さすがは私たちの創造主マスターね」と俺の左右の腕を至福の表情で奪い合った。


「よし、公式の遅延バグ(デバッグ)も終わったことだし。……さて、完全に俺の時間軸として快適に流れるようになったこの世界の先には、次はどんなアセットを配置して遊ぶかね」


俺は5人の美女たちを背後に従え、公式の時間すら完全に自分の時計の一部としたその先へと、悠然と歩みを進めるのだった。

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